HARF-WAYライター陣による「エロゲ背景写真グランプリ」in summer。いざ開幕!
ルールはシンプル。それぞれが思う夏っぽい写真を撮ってきて、妄想、いやリビドーをぶちまけていくぜ!
ノベルADVあるあるを攻めるものから、ライター独自の世界観が光るものまで。超自由形式なラインナップです。8月は終わっちゃったけど、ちょっとだけ暑い日に帰ろっか。
阿呆の写真
クローズド・サークルな山奥の旅館で、就寝前に一人推理するやつ
「ぐががががが」
『マリカ』のあまり可愛くないイビキが聞こえる。
まったく、こんな状況だってのに。
肝が座っているのか、単に馬鹿なのか。
でも僕も少しは彼女を見習おう。
ビクビクしていてもしょーがない。
眠れないなら誰が一番怪しいか考えてみよう。
――犯人は誰だ?
①「ミキモト」
②「マリカ」👈選択
③「女将」
➃「若女将」
⑤「カヤマ」
「犯人は….マリカだ。」
口に出してみて、呆れる。そんなわけがない。
彼女は僕の幼馴染。男勝りな性格で、気合の入ったショートヘアー。平均身長はある僕よりも背丈は高く、曲がったことが大嫌い。
小さい頃、虐められていた僕も何度も助けてくれた。
そんな彼女が人殺しなんてするわけが無い。
….やっぱりこの極限状況で僕も疲れているようだ
マリカを疑うなんて。
――ゾクリ。
突然、背後を冷たい汗が通った。
なにか違和感がある。
この蛍光灯?いや特に変わってない。
音?いや変わらないはずだ。
蛙の鳴き声、さっきから蛍光灯にぶつかる虫の羽音。
そうだ!いつの間にかマリカのイビキが止んでいる。
マリカはまだ寝ているのか!?
薄い掛け布団から飛び起きて、ゆっくりとマリカのベッドを確認する。その瞬間、首筋に冷たいモノが当たった。
「な、かはっ」
僕が言葉を発する前に、頸動脈から止めどなく血が吹き出す。徐々に暗くなっていく視界の端で、ナイフを持ったマリカの姿を捉える。悲しんでいる、ように見えるのは僕の自惚れだろうか。
なんでこんなことになってしまったのだろう。
意識が消えゆく頭で、マリカが犯行に及ぶほどの何かに気付けなかったことを僕は悔やみ続けた。
―BAD END 「幼馴染の本性」―
別シナリオ(タップで開く)
BAD END
「囚われた夏」
――この田舎じゃ、バイトに行くだけでひと苦労である。さらに38度を超える酷暑。チャリで通うのは限界だ。そろそろ免許を取れっつーことだろう。ダルいったらありゃしない。
….あの日以来、彼女と会話を交わすことはなかった。お互いすれ違っても居ないような素振りのまま、気づけば高校を卒業していた。全てにおいて優秀で努力を欠かさなかった彼女は、当然いい大学に進学し、この町を出ていった。
頑張る理由を失った私は、堕落の一途を辿った。思うに私は、彼女のそばに居てふさわしい人間でありたいだけで、それ以外どうでもよかったのだ。
それなのに、今も後悔している。一歩踏み出す勇気がなかったこと。彼女に憧れながら、彼女自身のことは何も理解できていなかった未熟さを。いい加減、過去ばかりに目を向けず、長い命の残りについて考えなければいけない。
いっそこのまま橋から飛び降りて全部終わらせてしまおうか。…バカバカしい。熱さで頭がイカれちまってんだ。さっさと過ぎちまえばいい。
ーBAD END「囚われた夏」ー
NORMAL END
「ひとときの幸福」
「さおりのおきにいり」と書かれたカセットテープを、慣れた手つきでプレイヤーにセットする。再生ボタンを押すと、カチリという金属音と共にモーターが駆動し、ノイズまみれの70年代フォークが流れる。うーん、やっぱり趣味じゃないなぁ。
このサブスク全盛期に、わざわざ音楽をカセットテープで聞くなんて。沙織はなぜかこういう古臭いモノが好きだった。ブラウン管、レトロゲーム、ポラロイドカメラ。当時の私には場所を取るガラクタにしか思えなかったけれど、今は彼女の遺した物がたくさんあることが救いになっている。
――ブチッ
突然、プレイヤーが止まった。…元々古かった物だ。3年近く毎日流していたので、寿命が来てもおかしくない。むしろよく保った方だ。
こうやって手許から不意に失われてしまう前に、やれることがたくさんあったのではないか、と時々後悔する。しかし、私にできることはあれが精一杯だった。そう思えるようにもなった。
今はまだ彼女と過ごした季節を、かみしめていたい。
きっと一生忘れられない夏を。
ーNORMAL END 「ひとときの幸せ」ー
みんなの感想(別エンド)
沙織に対しての気持ちがおもすぎるんだが何があったんだ我ぇ
やっぱ自動販売機にしろ現物を撮影した写真は強い。
みんなの感想
女将ルートのエロサムネに期待。
なんか見たことある!
いやでもこんなかわいい女の子に殺されるなら本望じゃないですか?
私なら本望だ、俺を殺してくれかわいい女の子よ…
そしてマリカが「マリオカート」に見えてきた……
凄惨であればあるほどよくないですか?!(問題発言)
のるんの写真
ループ系ノベルADVの1周目エンド
※主人公は東京都世田谷区に住む割とガチ寄りの引きこもり女性。そのため帰巣本能が強く、自分の住処(巣)を拠り所として大事にする。家の中をきれいにすることに(掃除だけでなくインテリアなど)異常にこだわる。
やっとマンションに辿り着けた。あれからそんなに時間は経ってないのに、久しぶりに戻ってきたような感覚に陥る。
空の色が禍々しいからだろうか、辺りは異様な雰囲気に包まれていた。もともと賑やかな立地のはずなのに、いつもと違って全く人気を感じられない。「人っ子一人いない」とはこういう状態を指すのだろう。ただ自分の足音だけは妙に響く気がする。
マンションの外観自体にはあまり変化が見られなかったけれど、まるで捨てられた街にぽつんと残された城のようでどこか気味が悪かった。
今エレベーターを使うのは危険に思えたので、逃げるようにエントランス脇の階段を上る。……真正引きこもりにはいささか辛い運動だが、そうも言ってられない。それに、うちは5階だからまだマシな方だろう。
ーー5階。ぜえぜえと過呼吸になりそうなくらい荒い息でその場に座り込む。そのままぼんやり辺りを見回すと、不審者が住みつくのを防止する目的だろうか、各部屋のドアノブにはどれも有刺鉄線がぐるぐると巻かれていた。もちろんうちのドアも同じ状況だ。
その辺に置いてあった傘を使って有刺鉄線と格闘する。誰かが見ていたら怪しい賊そのものだが、その時は正直に「ここの家に住んでいる者です」と言うつもりだ。幸い身分証はある…この「東京」でも通用するかわからないけど。逆に武装した暴漢に襲われる可能性も思い浮かんだが、あまり考えないことにした。
有刺鉄線をなんとかゆるめてガチャっと解錠成功、とりあえず中に入る。もともと玄関周りにはあまり物を置いていなかったから、パッと見はいつもと変わらない。ただ、内側からよく見ると玄関ドアがたわんでいるというのだろうか?大きく歪んでいるみたいだ。
居間に続くドアを開けてみると、うちの中でもひときわ大きな窓が見事に割れていた。外から勢いよく吹き込む風にカーテンがバサバサと音を立てて翻っている。雨ざらしになっていたせいで、今まで買い集めた家具のほとんどが水と埃にまみれてボロボロだった。
この窓からは毎晩ライトアップされたスカイツリーと東京タワーの両方が見えて、それがとてもお気に入りだったんだけれど、ここにあるのは窓の外がぼやけてまともに見えないほど濃い霧と、黄色く汚染された空だ。今はもう、どんなに目を凝らしてもスカイツリーも東京タワーも見えなかった。そもそもこの「東京」にスカイツリーと東京タワーは存在するんだろうか?
この「東京」には空がない。私の知ってる2024年の「東京」には白い雲の浮かぶ青い空があった。それが私のいた世界。私が住んでいたはずの家、私の部屋。
けれど、その記憶にもだんだん自信がなくなってくる。あれは妄想だったとか、記憶がおかしくなってるとか。つまり私の気がふれてしまっただけで、この現実は元から「こう」だったんじゃないの?って。私の大好きだった景色は写真か何かで見た、現実には存在しないゆめまぼろしなのかなって…。
奇跡的にあまり汚れていなかったソファにもたれかかると、急な睡魔に襲われた。次に目を開けた時は元の「東京」に戻っていればいいのに、とべそをかきながら私は眠りに落ちていった。
<end.1>
みんなの感想
むしろ使ったことがありそうだ!
摺りガラスの向こうに景色が見えそうで見えない写真もいい
かぷの写真
(のるんさんの世界線で挑戦)
ゆっくりと意識が持ち上がっていく。背中に感じる感覚が自室のソファであること、またそれがくたびれた感覚のないことにいくばくかの期待が胸に押し寄せる。けれど、頭の片隅で「まだそんな無駄なことを」という声も聞こえてきて諦めに近い感覚とともに目を開ける。
ーーー薄暗い
よりも「暗い」の方が近いかもしれない。気付いたのが自室なのは今回は運が良いのか悪いのか。何度か瞬きして目を慣らす。室内にそれほど荒れた様子はない。1人暮らしのため最低限の大きさのダイニングテーブルと1脚の椅子、来客時に椅子としてでも使えればと買っておいたスツール。
基本的にチェーン店で安価に家具はそろえていたが、唯一こだわったカーテンの方に目を向け、喉の奥で息が詰まるのを感じた。
嗚呼。
スカイツリーと東京タワーの両方が見えて、それを映えさせるようにと選んだカーテンだ。だが映えさせるためのそのふたつを窓から見ることは叶わなかった。半ば予想していたとはいえ、体が脱力するのを感じながらもゆっくりと体を起こす。
関節がぱきぽきと軽い音を立てる。ほぐしながら窓に近づいた。窓越しに外を見る。暗くても分かる風に流されるように舞う黄色。その粒にでも目を凝らそうとして、思わず目を見開いた。
ーーー明かり?
スカイツリーの方だ。方向を間違えるわけはない。ただ本当にそれが明かりなのか信じ切れずに、何度か瞬きをしたり目頭をほぐしたりして確認する。しかしたしかに。記憶にある綺麗なライトアップではないが、そこに明かりを見た。
衝動的に、スカイツリーへ向かいたくなる。この「東京」がどうなっているかの把握もできていないのにそんな行動は自殺行為だなんて「何度も」わかっている。でも今までになかった光景は私の心を動かすのに十分だった。
玄関に向かう。玄関のドアがバットで殴られたかのように内側へと凹んでいるのをみて心がひるんだが、それは一瞬のことだった。デニムのポケットに使えるかどうか確認するのも無駄なスマホがあるのを確認し、家の鍵を取り出す。
PC作業用にと買っておいたブルーライトカットの眼鏡は少しは黄色を防いでくれるだろうか。そんなことを考えながらドアを開ける。ドアはやや引っかかりを感じたが、少しの力で難なく開いた。とたんに顔に吹き付ける黄色に思わず首をすくめる。
ーーー行きは良い帰りは辛い
そんなことを考えながら5階分の階段を降りていく。私はそこにいって何を確認するつもりなんだろう。無駄に終わるかもしれない。なんなら死ににいく行為なのかもしれない。いろんな考えが渦巻くが、少なくとも何もしないよりはましだ。
そう思い私は一路、スカイツリーへ向かうこととした。
みんなの感想
日用品の描写に生活感があって良き!
by地方民
こうゆうの写真
先に進むとしばらく戻れなくなるタイプの選択肢がでる場所
俗にいうラストダンジョン前の分岐点的な写真。ここから先に進むと二度と戻って来れないぞ的な奴。自販機の品揃えが優等生過ぎてギャップが効いてるものも良い。『最後の自販機』って書いてあるのも好き。
【あらすじ】
失踪した同級生の幼馴染『三ツ橋結城(通称みっちゃん)』を探しに近所の裏山を探索している主人公の『袋田』と三ツ橋の妹『三ツ橋里奈』。山の入り口で最後の自販機を見つけたものの、好きな飲み物がないからパスしようとする。
山奥を探索している最中にみっちゃんの幻影を見つけた里奈が離脱。自販機イベントで何を選択したかによってルート分岐となる。
【自販機イベントの分岐】
①好きな飲み物がないから何も買わない
②ミネラルたっぷりのお茶を買う
③激甘ドリンクを買う
①を選択した場合
枝に破れた衣服を発見し、辺りを見渡すと急斜面を下った先で血痕の付いた岩を発見。その先で頭をぶつけて死亡した里奈を発見してバッドエンド。
②を選択した場合
里奈捜索時に小さな祠を発見し、魅入られるように中に入ってしまい画面暗転。月日が流れて描写が変わり、里奈がみっちゃんを見つけて無事に保護されていたことが判明するも、袋田が失踪し何故か一切騒がれずバッドエンド。
(村の風習と月日が関係している……?)
③を選択した場合
間違って買ってしまった振りをして「甘い飲み物苦手だからこれ飲んでよ」と言って里奈に缶ジュースを渡すイベント発生。
山奥で里奈がみっちゃんの幻影を追いかける際、手に持っていたジュースが抜け落ちた拍子に岩へ当たって音が鳴る。異変に気付いた袋田が必死に追いかけ滑り落ちる里奈の手を掴んで生還ルートに移行。
みんなの感想
これってジャンルホラーだったの?
ステータスによっては見つけられる分岐が減る。
『滲んだ置き手紙』には何が書いてあったんだ…(こういうの気になる)
あきらの写真
不可逆性きょうだい。
今年も当然曇天。
それでも緑、黄色、ピンク……色とりどりの吹き流しがキレイに飾られていた。
「で、ねーちゃん、俺はどこまで着いていけば良いわけ?」
後ろから本日13度目の文句が聞こえた。
[選択肢]
>行けるところまで
とりあえず飾りを一通り見るまで
行ける所まで。
そう返したら見る間に顔を顰められた。
「はいはい、おっしゃるとーり付き添わせていただきますよ。どこまでだろーと」
おまけ
皆さんの思い思いの記事を見て、私も何か気の利いたことをしたいな!と思ったのですが……
思いつかなかったのでゲームにしてみました!
(ヤバすぎる…)
そのまま写真を組み込むとあまりに映えない……!
やっぱりゲームにするには写真そのままは厳しいですね……!
ほとんど隠してしまいました。
みんなの感想
こんな弟がほしいけどこんなかっこいい男がいてたまるかよ
えっ…幼馴染の可能性もあるってことですか!?
幼児のころからお互いを知ってるってもうエモさの塊じゃないですか…
そんな相手が欲しい人生だった…
続きは!!?
もへじの写真
「どこかで聞いたことあるな……」
「ナニがぁ?」
「永遠にループして終わらないタイプの夏休み」
「ダイジョブよ、アイデアに著作権はナイからネ~」
そういう問題ではない。
「マダ遊んでナイ夏、タクサンいっぱいデショ!」
あからさまにはしゃいだ様子で俺の影を追い越し、白いワンピースをなびかせて駆けだした。
麦わら帽子のてっぺんを突き抜け、頭から生えている謎のポンポンが海風に揺れる。
彼女は宇宙人である。
カタコトだが外国人ではない(いや……”母星”に国があるなら、外国人ではあるのか?)
あと、終わらない夏の真犯人である。
そう、この間ようやっと終わらない春を抜けたと思った俺を待ち受けていたのは、むべなるかな、終わらない夏だったのである。
「この暑さじゃ大して出かけらんねえよ。熱中症で倒れるぞ」
「ネッチューショー?」
「人間ってタンパク質の固まりだからさ、耐用限界温度ってのがありまして……」
「ふじゆうネ~、じゃあタマに涼しくなったり、ものすごく寒くなったりさせよッカ?」
それもう四季だよ。時間止めとく意味ないから。
「この道を真っすぐ行って、行き止まりになったらそこで夏終わりにせん?」
「ならなかったら続けてイイ?」
「いいよ」
永遠に進むことのない時間、止まった風力発電機の足元を、自由が駆け抜けていく。
帰り道でコレが全部動いているところを見せるのが楽しみだ。
みんなの感想
私これ百合でもBLでもどっちもいける
時々性別不詳も良い。
幽乃れれの写真
このゲームは「全ルート回収しろ、絶対に」のツイートを発端に話題になりました。エンド到達と共に追加される「彼女」の新しい一面に何度も胸を撃ち抜かれることから、ネタバレ厳禁、いいからとにかく最後までやれと一部界隈で人気を博しています。
発売から三周年を迎えた夏に、青年向け雑誌でのコミカライズ連載開始が発表されました。
キャッチコピー
「私にはあなたが一番だったのに!」
裏キャッチコピー
「罪悪感と後悔しかないや、もう。」
(TRUE解放後にOPの表記が変わります)
ギリR18にならない表現を使用していますが、YouTubeではBAN対象になりかねない肌色量のため、実況配信時、コメントで「この先危ない!」と注意することは認められる(むしろそれを楽しむ)雰囲気が出来上がっています。
「初見なんだけどヤバいところがあるのは風のうわさで聞いている、既プレイ勢は「やばい!」ってだけ言って教えてくれると助かる。それ以外はネタバレ禁止で!」から始まりがちです。
以下公式HPからの紹介文引用
各地で梅雨明けが発表され始めたころから彼女の仕事は忙しさを増し、帰宅は連日深夜に及んでいた。僕が用意した夜食に手もつけず、始発とともに職場へトンボ返りする背中を行ってらっしゃいと見送る日々。誰もいない部屋に帰ってくると、寂しさに弱くなったことを思い知る。
そんな彼女が「お盆休みもぎ取ってきたぜ!」と嬉しそうに宣言した。久しぶりの休みを謳歌しようと、僕らは学生みたいに遊びまわる。お祭りに花火、蝉取りに海遊び。アイスを半分こして手をつないで、深夜の街をゆっくりゆっくり歩いたりして。
こんな時間が永遠に続けばいいと思う。僕らは何十年も先、しわしわになって、自分のことすらわからなくなってもきっと、お互いのことだけは分かるんだ。そう伝えると彼女もそうだったらいいね!と笑う。
だけどその顔にはどこか影があるようで――?
その他前提の説明
・彼女はすでに6月末の時点でスリップしたトラックに轢かれ命を落としましたが、その交通事故を止められなかったことを悔やんだ道祖神が気まぐれで現世にとどまれるよう計らってくれています。
・「僕」に彼女の死が伝わったのはずいぶんあとのことでした。家族に同棲中であることを伝えておらず、会社でもそのような話題を避けていたためです。結婚って大事ですね。
・「彼女」と「妻」は二人とも嫉妬深い女性であり、互いのことをこう思っています。
彼女:「まあ私が彼の心の一番深くて柔らかいところにいるけどね」
妻:「盆にしか一緒にいられないような死んだ女に出る幕はないわ」
ここから派生した「彼女」と「妻」のドロドロした百合二次創作も多く存在しています。
END2「そして彼女はいなくなった」
「彼女」が消えた日の様子です。
毎晩の選択肢「散歩に出かける」「このまま寝る」から前者を3回以上選ぶとたどり着けます。
彼女はアイスを買いに出ただけだった。すぐに帰るつもりだった。今夜はなにをしようかしら。ホラー映画鑑賞会もいい、徹夜でゲームも楽しそう。ここのところずっと遊び歩いてばかりだったから、家でゆっくりするのがいいかもしれない。
ふと、鼻につく煙の臭いがした。
送り火だ、と思う間もなかった。私は本来この煙に乗って帰るべきなのにと一瞬でも感じてしまって、だから、それで終わりだった。
アイスとスマホの入った袋だけが重力に従った。
なにかとても嫌な予感がして僕は家を飛び出した。アイスを買うだけだと言っていた。家の裏にあるコンビニなら10分もかからないはずだ。どうしたんだろうという単純な疑問は足を進めるごとに焦りへと姿を変える。どうしたんだろう。おかしいな。事故に遭ったのかもしれない。こんな近くで?でもすれ違うはずの姿がない。彼女にメッセージを送りながらコンビニに入る。いない。どこへ行った?
蝉のやかましさに苛立ちを感じた次の瞬間に、地に落ちた死体が目に入る。すぐそばに中身の入ったレジ袋があった。そんなものは今どうだっていい。
スーパーに行ったのかも。いない。なにか別の買い物を思い出してドラッグストアにでも行ったのかも。いない。ああいや、そうだ。迷子になったときは両方が動いちゃいけないんだった。もう家に帰ってるかもしれないじゃないか。いやだなぁ、たった数十分にいい歳した大人がこんなに取り乱しちゃってさ。
電話を掛けながら家に戻ろう。1コール、2コール、3コール、トイレかな? ああ、汗かいちゃってシャワー浴びてるのかも。
ジリリリリン ジリリリリン
大音量の耳障りな音が聞こえて全身が震えた。「びっくりしちゃうくらいの音じゃないと聞き逃しちゃうでしょ?」と言っていたあの音が響き続けている。さっきどうでもいいと思ったあのレジ袋から。
おそるおそる近寄って拾い上げると、やっぱり、彼女のスマホだった。画面には大きなひびが入っている。「そこに入れるとあとで探し回ることになるよ?」と何度言ったかわからない。めんどくさそうに「大丈夫、だーいじょうぶだって!」と応える声が、僕の脳内にだけ響く。ねえでも、ほら。やっぱりこうなるじゃないか。
アイスは全部ドロドロに溶けて、もう一度冷やしたところでどうにもならないのがすぐにわかった。これはいつも彼女が食べるやつ。これは僕が前に食べてみたいって言ったやつ。これは最近並ぶようになった秋しか買えないさつまいものやつ。
ごう、とトラックが通り抜けて強い風にあおられたレジ袋がベりべり音を立てる。
ふと、鼻につく煙の臭いがした。
送り火だ、と僕は思った。
別エンド(タップで開く)
以下、TRUE END
すべてのエンディングを解放したのちに「この人と結婚して過程を築く」「ずっと彼女を追い続ける」の選択肢が出ます。どちらを選んでも行き着きます。
最初に忘れるのは声である、と言われている。数十年前の彼女を、僕はもう姿すら正確に思い出すことができない。ベリーショートの髪を撫でるときのあのちくちくした感触を覚えている気がするし、キスした時に舌で舐められた自分の唇の厚さと熱さを覚えている、ような気がする。
僕は何も変わっていない。何も変わらないまま歳を重ねた。AIに頼って「この写真の女性を十数年加齢させて」なんて入力したこともあった。それで自分を慰めることもあった。最悪の気分だった。だけどそんな気分の時にだけ彼女が身近にいてくれるように感じられて、それで、僕は、ずっと、あの頃のままだ。
お盆のたびに、迎え火のたびに、送り火のたびに、あの時の煙の匂いがする。それが本当に彼女の匂いなのか、私の先祖と混じりあってしまったのか僕にはもう確かめるすべがない。
「お父さん! お餅ちゃんと食べて!」
しっかり者に育ってくれた娘の名前はあの時に死んだ彼女と話し合って決めた名前だ、もちろん妻には言っていない。彼女のことを何と説明すればいいか分からなかった。そんなことは一切悟らせずに結婚生活を送れたと思うけれど、あの妻のことだから、気付いていたかもしれない。
墓に手を合わせる。僕の心には彼女と妻とがいる。僕は一体どちらに手を合わせている?
「君のこと、僕はちゃんと愛せていたかな」
誰もなにも答えなかった。
みんなの感想(別エンド)
(奥付イラスト付きで!)
みんなの感想
(なおエロゲ企画である)
死んでしまった彼女。
(混乱をはじめる)
(※この企画でわいわいしていたのはちょうど8月中旬だったのです)
まとめ
複数ライターによる企画が初ということもあり、全員手探りに進めた為、本当にそれぞれが好きなことをやった感じになりました。
反省点でもありますが、これはこれでライターごとのゲーム遍歴の違いが伺えて面白いんじゃないか、と思います。
…というか、「夏でエロゲっぽい写真撮って妄想を書いてみよう」って企画でこれだけ集まったのが怖い。
みんなこんなことばっかり考えて生きているのか?まったく最高だな。