服に苦手意識を持っている。服を見るのは好きだけど組み合わせ方が分からない。好きな服と好きな服を着重ねたはずなのに、鏡に映る自分が丁度良くダサくて好きになれない日もある。むずいよね、服選びって。
今回インタビューさせて頂いた『Ugokuware ワタナベ』(以下ワタナベ)氏の作品は、『着せ替えデッキ構築』。最初こそ「その組み合わせってホントに合うの??」と怪訝な目をしていましたが、蓋を開けるとシステムとの兼ね合いも良くて面白いんです。
この記事では、ワタナベ氏が制作する『Dress the Duel』の特徴や魅力を紹介します。筆者のように着せ替えに苦手意識を持っている人も、MMOで着せ替えばかり楽しんでいる人も楽しめる内容になっていたので是非ご覧ください!
『シールド』の役目を持つ衣装を着回すデッキ構築作品

『Dress the Duel』は、様々な衣服に着替えながら戦う一風変わったデッキ構築ローグライクです。装備品特化のカードゲームとしても、異国味溢れる装飾を眺める衣装ゲーとしても楽しめます。
着替えられる部位は下記の4つに分類されます。
- トップスインナー
- ボトムズインナー
- トップスアウター
- ボトムズアウター
インナー/アウターごとに分かれている時点で開発者『ワタナベ』氏の熱量も伺えます。もちろん、闇雲に入れている訳ではありません。

衣装はシールドの機能を持っており、敵の攻撃に対処しながら隙を見て着替えていく形。今作は衣装を介して自身にバフを付与できるため、守りを固めながら徐々に戦局を有利に進められます。
例えば、『好姿勢』と呼ばれるバフはカウンターの数だけ攻撃力が増加。ドレスコードには姿勢を矯正して美しく魅せる機能もありますし、良い言葉遣いだなと思わずうっとりしました。

現時点でサイズ別に3名のキャラが登場するとアナウンスされており、試遊させて頂いた際は『Lサイズ』のキャラを操作。戦闘衣装も角のない柔らかいフォルムで設計されており、もっちもちで可愛かったです。
システムとして面白いことはもちろん、衣装そのものが大好きだと伝わってくる温度感が印象的でした。シールドの機能を担っているので戦闘の軸にもなりますし、独自性が違和感なく溶け込んでいる作品です。
脱衣を絡めた攻防と一転攻勢に繋がる『好姿勢』

立ち回りの肝となるのが着衣の対となる『脱衣』。従来のデッキ構築ローグとは異なりシールドの重ね掛けができないため、衣服を着脱しないと守りを固められない。これがまた良くできているんです。
コストを無駄なく回すために衣服を定期的に替えたいところですが、攻撃を受けて破壊されるor自分で脱ぐまで同じ部位の衣服は着替えられません。これを許すと無限にシールドを回収できてしまうので、当然といえば当然かもしれませんね。

今作には衣服を脱いだ際に効果を発揮する『脱衣カード』も用意されており、衣服を脱ぎつつ自身にバフを掛けることも。所作的にもシステム的にも不整合がなく綺麗な設計だなと思いました。
衣服が単なるアクセサリーとして存在しているのではなく、メカニズムとして明確な役割を持っている点にグッときました。「まだまだ着れるけど着替えておくべきか」「衣装が破けるのを承知で攻撃するべきか」など独自性の高い攻防が展開されます。

服を着脱していても均衡状態から抜け出せませんが、前述した『好姿勢』などの火力増加バフで一転攻勢できる仕組みも整備。見た目のインパクトに目を奪われがちですが、バトルシステムにも注目です。
MMOの着せ替えにStSを合体

ワタナベ氏に「衣服をテーマにしたデッキ構築を何故作ろうと思ったのか」尋ねると、「MMORPGなどの着せ替え機能が好きだからです!」と教えてくださいました。システム的な都合ではなく、ご本人が好きだからこそ生まれたとのこと。
言われてみると、今作の衣装はゲームの世界観に即した装飾を思わせる節が多い。現実世界のアパレルとはどこか違っていて、どことなく民俗味のあるデザインを彷彿とさせます。あくまで主観ですが。

またワタナベ氏は「ゲーム内アクセの着回しとスレイザスパイアを合体させた作品を目指しました」と仰っており、試遊時には双方の良いとこ取りをしている印象を受けました。どちらの要素も大切にしていることが伝わってきます。
キャラクターの衣服は可愛いだけではなく細かい装飾も施されており、好きじゃないと気付かないディティール部分にも目配りしている印象です。筆者は見た目そっちのけで強けりゃ良かろうで遊ぶタイプなので、異文化交流している気分になりました。
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クローゼットって良いですよね

今作には『SML』のサイズ別に異なるキャラクターが存在し、試遊版で触らせて頂いたキャラはLサイズのキャラクターとのこと。勝手に勘違いしていましたが、全キャラがモチモチしているわけではありません。
Lサイズのキャラはゆとりあるデザインが施されており、ワタナベ氏は「各キャラで体格にあったコーディネートを楽しめるようにしたい」と仰っていました。キャラ別に衣装も違うので、性能だけでなく見た目の面でも注目ポイントといえるでしょう。

ワタナベ氏はゲーム性のみならず着回しを楽しむことにも重点を置いており、どうすれば両立できるのか頭を悩ませているようでした。デッキ構築のメカニズムを崩さず、好きな衣装を身に纏う要素を合致させるのは確かに骨が折れそうです。
ワタナベ氏は「戦闘とは別枠で『クローゼット』の機能があったら面白そうですよね~」と柔やかに話してくださり、コーディネートを心から楽しんでいるように見えました。(念を押して記載しておくと、確定ではなく冗談交じりのお話です)

デッキ構築型の作品はメカニズム的な面白さに注目しがちですが、今作は強さに寄与しない部分も丁寧にケアしている印象でした。システム的に面白い試みであることはもちろん、アクセ等の着回しが好きな方も満足できる仕上がりになりそうです。
キャラを可愛く、カッコ良くするのが好きな人へ

「着せ替え要素とデッキ構築のどちらが起点になっているのですか?」とワタナベ氏にお聞きすると、「どちらが先ということもなく自然と溶け込んでいた」とのこと。一番理想的な形だなと思いました。
また「どちらの要素も楽しめる作品を作りたかった」とも仰っており、ゲームシステム面が幅を効かせるジャンルで『ドレスアップ要素』が浮くことなくゲームと調和している部分にこだわりを感じました。

「着せ替えをゲーム性の核にする」。アイデアは面白くてもバランス良く実現させるのは簡単ではありません。見た目だけ着飾れば良いなんて考えは毛頭なく、着脱を起点に戦闘を進める独自性の高さが光ります。
デッキ構築ローグライクの華とされる、『カードコンボ』や『スキルシナジー』だけでなく、衣装が持つ絢爛さや艶やかさで作品がグッと引き締まる印象。システム用語も端正な言葉使いで統一感を感じました。
ワタナベ氏は「デッキ構築が好きな人はもちろん、キャラを可愛く、カッコ良くするのが好きな人にも遊んで貰いたい」と仰っており、着せ替えを軸にした間口の広さも今作の醍醐味だといえるでしょう。
ドレスアップで目を惹く独自性の根底には、根っからの着せ替え好きが考える理想の作品像がありました。ルックの力強さに負けない着脱を絡めたゲーム性も見所なので、気になった方はウィッシュリストに登録して続報を待ちましょう!
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