正直SRPGが苦手だ。経験値を稼げる「フリーステージ」がないと絶望する。無心でレベリングして圧倒的な戦力差で蹂躙するパワープレイしかできないのに、ゆっくり鍛えることも出来ず死んだらキャラロストのプレッシャーに耐えきれない。
今回お話を伺った『南部休み』氏の作品「Indomitable Blade(インドミタブルブレード)」は、キャラロスト有のローグライクSRPG。最初は「あー終わったな…」と思いましたが、遊んでみると独自システムを絡めた戦略性の高さに思わず没頭。
この記事では本作の概要と見どころについて、実際にプレイした体験談と取材メモを参考にしながら紹介します。『ステータスを攻撃できる仕組み』がSRPGにどんな影響を及ぼすのか想像しながらご覧ください。
ステータスを殴って敵を処理する独自性の強いSRPG

「Indomitable Blade(インドミタブルブレード)」はステータスに直接攻撃できる一風変わったSRPGローグライクです。ほかのRPGで見かけるステータスダウン技ではなく、各種能力値を直接殴って減らすことで被ダメを抑えられるのが特徴といえます。
例えば、凄まじい火力を持つベルセルクも、アーチャーの遠距離攻撃でSPDを削って機動力を奪い去ってしまえばでくの坊と化します。カチカチのタンク役であっても、STRを削って無力化すれば何も脅威のない駒にならざる得ません。

HPと同様に能力値をガツガツ減らせるため、恒久的なデバフを掛けていくイメージに近いかもしれません。また特定のステータスを減らすと、1ターン行動不能となる「スタン」や「攻撃/移動不可」などのバッドステータスも付与できます。
ユニットを組み合わせた戦略性はもちろん、ステータスに干渉できることで選択肢の幅も広がっています。DEFを下げて別ユニットの連撃で押し切るも良し、倒せずともSTRを下げて被害を最小限に留めるもよし。

またSPDによって行動順が変化するため、相手を鈍足にして手数で圧倒する昔ながらのタコ殴り戦法も可能。HPへのダメージが通らなくてもステータス攻撃なら通ることも多く、サポートユニットの行動が腐りにくいのもポイントだなと思いました。
ステータスへの攻撃が単なる差別化要素ではなく、SRPGの基本となる「被ダメを減らす」手堅いプレイングと密接な関係を結んでいます。筆者はSRPGに明るくないのですが、要諦を押さえることで被害が減っていく感覚にハマりそうでした。
南部氏、信じられないくらいSRPGが上手いらしい

事前準備として作品を下調べしてから試遊版に挑んだのですが、3面で主人公のフレイヤが倒されてあっけなく終了。「えっ?ちょっと待って?まだ3面なのに下手くそ過ぎんか???」とパニックになりましたが、結構難しく作ったとのことで一安心。
開発者の南部氏に、「やっぱり多少の犠牲は出るものなんですか?」とお聞きすると、「いや、このくらいだったら無傷で完封できますね~」と笑顔で返されて衝撃を受けました。どうやっても無理だと思ってたので、戦術ってすげぇなと感心。

不甲斐なくボコられてからイメトレを重ね、翌日になって南部さんのレクチャー(ずかずか立ち回りを聞きまくった)を受けた結果、かすり傷だけで3面の突破に成功。「レベリングしなくても行けるのか…」とこれまた衝撃。めっちゃおもろいやんけ……。
筆者が「めちゃくちゃSRPG上手いですね…」悔しがりながら伝えると、「僕、信じられないくらいSRPG上手いんで(笑)」と覇者のような笑顔で返されました。相当練られたシステムであると同時に、ホントにこのジャンルが好きなんだなと伝わってきます。

今作に限らずSRPGの基本は『被害を減らすこと』であり、ユニットの誘導やステータス攻撃によって被ダメを最小限に抑えることが戦略性に繋がるとのこと。状況に応じて適切な能力値を攻撃することで、無傷で勝利を収めるケースも珍しくないそうです。
SRPGに造詣のある方向けかなと思ったのですが、被ダメを抑える仕組みさえ分かってしまえば人を選ばずに楽しめる印象を受けました。選択肢の多さに戸惑うかもしれませんが、自分の考えた戦略が枠にハマった時の「してやった感」は随一です。
見慣れないステータス『Will』の存在が超超超重要

ステータスに干渉する際、とくに重要となるのが「Will」のステータス。HPへのダメージ計算はSTRやDEFを参照しますが、各種能力値に関する攻撃・防御はWillで決定します。従ってユニットの役目がハッキリ分かれている印象です。
Willステータスの登場によって、低火力でも前線に出て相手の能力値を下げるムーブが重要になりそう。小難しく書きましたが、補助役の立ち回りが鍵を握るゲーム性であることは間違いありません。そうですよね、南部さん!(ファクトチェック済)

従来のSRPGはスキルによって相手を阻害、もしくは戦力の整える流れが主流だと思います。タンク役が挑発のスキルでターゲットを集めたり、後衛でスタンバイするサポート要員が攻撃力・防御力にバフを掛けて殴るといったイメージです。
今作は通常攻撃でステータスに干渉できるため、いってしまえばノーゲージでも相手ユニットの無力化が可能。相手を倒しきれなくても、攻撃力を削れば擬似的に制圧できますし、立ち回りに色が出やすい作品といえるでしょう。

また今作はローグライク形式を採用しており、加入するユニットはほぼランダム。火力で押し切るのが得意なキャラもいれば、Willの高さを活かして敵をコントロールするのが得意なキャラが入り乱れます。
試遊した際に感じたことは、レベリングで鍛えた強キャラで無双する作品ではなく、各ユニットが忠実に役割を守ることで劇的に被害を減らす印象でした。余談ですが、筆者の前に遊んでいた方も絶賛していたので、SRPG玄人の方も唸る面白さだと思います。
HARF-WAY コマーシャル

SRPG玄人の思考をなぞる

今作は敵兵の基本火力が高く、強引に攻め込むのが難しい印象を受けました。難易度について南部氏に伺うと、「属性の概念もあるので、どれだけレベル差があっても一人で戦うと勝てませんね」とのことです。
相手ユニットを孤立させてから自キャラで囲み、丁寧に処理して被害を減らす立ち回りが重要になりそう。また今作はキャラの飛び越えが禁止されており、アルゴリズムを逆手に取って相手の動きを縛っていくムーブが強そうでした。

前述したステータスを殴る独自性と存在も相まって、難易度は高めの印象。しかし緩和処置の導入も考えているようで、セーブ機能にテコ入れして再挑戦しやすい環境を整えていくとのこと。これなら鍛え込んだパーティをリセットしなくて済みますね。
取材のなか「分かりずらい部分もありますが、リトライしながらコツを掴んでいって欲しい」と南部氏は仰っていました。やれることを一つづつ試しつつ、周回しながら知識を深めるゲームバランスのようです。

筆者はSRPG下手くそマンなので南部氏にアドバイスを聞きまくって超絶ズルしたのでそれっぽく遊べましたが、システムを理解して基本的な戦い方を身に着けるまで苦戦するかもしれません。
今作はSRPG玄人の片鱗というか、思考をなぞるような手触りでした。相手の動きを見極め、試行錯誤するSRPGの醍醐味が『ステータス攻撃』によって気持ち良く機能していたので製品版も楽しみです。無力化した敵をボコりたい方は是非どうぞ。
ストアリンク
https://store.steampowered.com/app/2679040/Indomitable_Blade