緊急アプデで評価が一転することはあるのか。答えはイエスだと思う。世の中の一般的な意見ではなく、自分の言葉でハッキリと断定したい。何故なら、評価がV字回復した作品を遊んだばかりだからだ。
今回取材させて頂いた『よーらい』氏の作品は、釣りを題材にした一風変わったフィッシングRPG。『ミニゲームの釣りが好きな人向け』という明確なコンセプトはもちろん、飽きが来ないように戦闘ギミックをミチミチに盛り込んでいます。
この記事では、よーらい氏が制作する『シーファンタジー』の誕生秘話や、リリース直後のアプデ対応の裏側について記載しました。筆者は絶賛プレイ中に難易度緩和の恩恵をもろに受けていたので、当時の心情も踏まえてお伝えします。
厨二心くすぐる『ダークネス』
魔物っぽい『サカナイム』

『シーファンタジー』は、魚釣りがそのまま戦闘になっているフィッシングRPGです。世界各国に生息する『シーアズ』は一つ一つ丁寧にデザインされており、図鑑を埋めるだけでもワクワクします。
一風変わったコンセプトながらも、マップと睨めっこしながら新しいシーアズと出会うために冒険する体験は王道RPGに近い手触り。過去に紹介記事を書いているので、気になる方は覗いてみてください。

開発者の『よーらい』氏は今作について「ホントの釣り好きには刺さらないと思います」と仰っており、ミニゲームとしての釣りが好きな人に遊んで欲しいとのこと。入れ食い状態で魚が釣れるため、戦闘も数秒で終わってサクサク楽しめます。
脱線するのですが、好きなシーアズについて尋ねると「※サカナイムですかね~。仙薬の材料を持っているボスです。モンスターっぽい感じが上手く出てて好きですね。」と教えてくださいました。渋い!!
※物語の鍵を握る光龍の傷を癒やす仙薬を作るために戦う



筆者は甲冑を着た海老『ムシャブロス』と、中盤頃に出てくる『ライトニング』と『ダークネス』が好きだったのでお伝えすると、開発チームの『飯島』氏も同じシーアズがお気に入りだったことが発覚。やっぱりカッコいいよねと意気投合しました。
今作ってホントに図鑑埋めしたくなるゲームなんですよね。見たことないシーアズに会いたくて物語を進めたくなって、新しいエリアの敵が倒せないから釣り竿を改造したくなる。モチベーションの引き出し方に無理がなくて個人的に大好きです。
「とにかく飽きさせない」を胸に寝ずの爆速アップデート

筆者は今作を発売日に買って遊んでいたんですが、最初は難しいゲームだなと感じていました。敵の攻撃が痛すぎてすぐ倒されるし、強化要素の一つでもある『釣り針』の強化が分かりずらかったんです。
当時は「ちょっと辛口の意見になりそうだな~」と思いながら遊んでいましたが、数週間も立たずにパッチが適用。難易度の緩和や強化要素の最適化など、凄まじく遊びやすくなったことを覚えています。


「あの時のアプデ早かったですね!」と感嘆符を撒き散らしながら伝えると、よーらい氏は「レビューや配信に毎日齧り付いてフィードバックを確認していました…」と苦笑してました。確かに、あの時のレビューは賛否両論だった気がします。
よーらい氏に当時の話を詳しく伺うと「本来は2月に出す予定だったんですが、某有名タイトルと被るので1月リリース急遽変更しました(笑)」と教えてくださり、当時の慌ただしさが伝わってきて身震いしました。多少の粗があっても出すのって心苦しいですね…

「良いアイディアがあれば積極的に採用して、ブラッシュアップする気で身構えていました」とのことで、リリース直後は寝れなかったそうです。筆者が苦戦していた時にアプデが反映されたので、寝ずに対応して頂いた皆様には感謝しかありません。
取材中にお二人が「とにかく飽きさせない」という言葉を多く口にしており、ここに全てが詰まっていると感じました。遊び手目線で変化を付けて楽しんで貰う姿勢が、現在の評価に繋がっている気がします。
(執筆時点でsteamストアの評価は非常に好評)
6月完成予定のDLC『魔界編』も順調に進行中?

既存プレイヤー向けの内容になるのですが、DLCの『魔界』についてもお話を伺ってきました。「詳細については公にされていなかったんですよね…」と原稿下書きに書いてますが、4月12日に公式アナウンスされてました。公開遅くなってごめんなさい!!
取材日(3月8日)の時点で進捗度40%~50%で順調に進んでおり、6月下旬リリースにも間に合いそうとのこと。シナリオやマップはおおよそ完成し、シーアズやギミックを詰め込んで完成と仰っていました。こういう情報は最速で出すべきなので真似しないように。

「シーアズが増えるということは、もちろんルアーも増えます!6月中には出したいですね~」というよーらい氏の発言に対し、横で聞いていた飯島氏は「ホントにいけんの??」という視線を送っていて微笑ましかったです。目が引きつってました。
難易度について悩んでいるようで、「図鑑や釣り竿のコレクション要素までコンプリートした人に合わせると難しすぎますし、かといって難易度を下げても満足度が下がりそうで…」と頭を抱えているとのこと。

作り手にとって『どの層に向けて作るのか』は課題なんだろうなと思いました。個人的には「新しいシーアズとストーリーを見れるだけで儲けもの」と考えていましたが、ゲーム体験も含めてDLCなんだと改めて思い知らされました。
全体ボリュームは4時間程度を想定しているらしく、拡張コンテンツとしては過不足なく程よい量に落ち着きそうです。「果たしてホントに間に合うのか?」という面も含めて今後の動向に注目です。
個人的な後書き
ここからは個人的な後書きみたいな部分なので、取材とは無縁のオマケゾーンだと思ってください。実は日本作品に絞ってゲーム紹介をしようと動き出したのは今作と出会ったからなんです。
今までは日本作品などを気にせず紹介していたものの、仮にバズっても意味がないなと感じていたんですよね。この話は何処かのタイミングで詳しく話すとして、そんなときに偶然遊んだのが今作でした。
遊ぶと分かるんですけど、笑っちゃうくらい真っ直ぐで王道なゲームデザインなんです。釣りを題材にしたユニークさが違和感なく溶け込んでいて、ウケ狙いで終わると思いきやゲームとして完成している。なんか率直に、埋もれるのが嫌だったんですよね。
「自分が知らないだけで、一貫した思想を持って面白い作り方をしている人が近くにいる」。どうせなら日本のゲーム市場が盛り上がる紹介をしたかった自分にとって凄く嬉しい出来事で、これだったら自分に石が飛んできても良いなと思ったんです。
とまぁ自分語りしてしまった訳ですが、テーマはユニークなのにコンセプトは王道一直線の面白いドット絵RPGなので、気が向いた方はぜひ遊んでみてください。きっと6月にDLCが発売するので、今から履修しておくと丁度良いと思います。
ストアリンク
https://store.steampowered.com/app/2835110/Sea_Fantasy/