引きこもりゲーマーのための夏満喫メソッド

夏が来たので、風鈴と蚊取り線香を買った。

しかし風通しが悪く風鈴の鳴る気配はない。蚊取り線香は思ってた1000倍臭い。どこかに行く予定も無いし、そもそも行きたいところもない。遠くで打ち上がる花火の音に疎外感を覚えながら、ゲームをして時が過ぎるのを待つだけ。

こんな夏を繰り返してきたおかげで、私の夏の過ごし方は逆に完璧へ近づきつつあります。ご予定の無い皆様はこの記事を参考に夏を満喫してください。

ビジュアルノベルで夏らしさに浸る

アドベンチャーゲーム。特にビジュアルノベルで切り取られる夏は魅力的だ。現実で夏らしいことができないのならば居直っていこう。ひぐらしでも、シュタゲでも、key作品でもなんでもいいからプレイしよう。

蝉の唸り声、寂れたバス停、伝う汗、儚げな少女。圧倒的虚構を全身に浴びる。これはもはや儀式だ。自分は今、夏らしいことをしているのだと思い込むのだ。

…こんな作品ばかりやってるからか、夏らしさとはこうあるべき、と思い込んで自分の首を締めている気がする。だが気にしてはいけない。我々の目的は引きこもったまま夏を満喫することにある。

クリアした後で現実に戻った時の、寂しさややりきれなさも含めて、作品鑑賞の醍醐味……は言い過ぎだけれど、それも侘び寂びってやつよ。

ただの虚構と見なしていても、ときどき現実以上に頭をぶん殴られる作品に出会うこともある。プレイヤーに都合の良い体験も好きだけれど、あとになって深く印象に残るのはそういう瞬間である。

最近プレイした夏が舞台のゲームを少し紹介しよう。

StilStand

『StilStand』。はっきりとした物語があるわけではない。主人公の女性が鬱っぽくなっているのをポイント&クリックを介して眺めるなにか、とでも呼ぶべきだろうか。ゲームと呼ぶべきかもわからない。白黒のビジュアルで描く蒸し暑さ。人が落ち込んでいる姿を見て安心する人におすすめです。

神無迷路

『神無迷路』。パッと見かまいたちの夜、に見えて色んなADV(打越作品など)のオマージュがふんだんに組み込まれている。500円という値段でフルボイス。シナリオはボリューム不足を感じたが値段を考えると凄い。

岩倉アリア

『岩倉アリア』。サスペンス、ファンタジーをエッセンスに濃厚なヒューマンドラマを描くビジュアルノベル。舞台となるのは1960年代の日本。時代の揺れ動きに翻弄された女性らのシスターフッドが熱いカタルシスを生み、読後感すっきり。百合作品(女性同士の恋愛を描く作品)でもあります。

さよならを教えて

『さよならを教えて』。今年遊んだゲームでもっとも頭をぶっ叩かれた作品。有名なのである程度ネタバレを知っていたが楽しめた。(むしろネタバレを知っていないと、猟奇的なシーン、エロシーンなどは見てられなかったと思う)。鬱ゲー電波ゲーと呼ばれているが、普遍的な人間の弱さをR18だからこそできる手段で誠実に捉えた作品だと感じた。

eSports観戦、あるいは一体感の暴力

夏の青春、甲子園。ああいうのを見て応援する人々の感情がずっと理解できなかったが、最近valorant(対人FPS)にハマってから分かるようになった。

純粋にそのゲームが好きで盛り上がりたいのもあるが、熱く盛り上がって応援する自分以外の有象無象が居る、という一体感が熱量と依存心を強く刺激するのだ。かくいう私も、今はVCT(平たく言うとvalorantの世界大会)にぞっこんしている。

VCTだけじゃなく、VCJ(日本版)、VGC(女性プレイヤー限定の大会)なども追っていると時間がみるみる吸い取られる。必死に勝ちを追い求めている姿は美しく目が離せない。自分が戦っているわけでもなく、部屋で一人ディスプレイの前に座って見てるだけで熱くなれるのだ。

ただし、valorantはある程度自分で遊んで定石を覚えないと楽しむのが難しいかもしれない。まぁ知ったところでプロの動きを研究したりなんて私にはできないので、ぼんやり眺めるくらいが丁度いいのだと思う。推しチームが負けたときの悔しさ、勝ったときの嬉しさ、その浮き沈みはギャンブルに似た脳汁が出る。

自分の何億倍も努力している人間に「頑張れ!!」と応援している構図にバカバカしさを覚える隙も与えないくらい夢中にさせられている。いやマジで「頑張って」じゃねぇよな…おめぇも頑張んなきゃ…何かを….。

ホラーゲームで感受性を取り戻せ!

夏になると怪談やホラー映画などのコンテンツに注目が集まる。ゾクゾクとした恐怖によって暑さを和らげる昔からの習わしといえるだろう。

とはいえ、ホラーゲームを推すのはそういう風物詩的な理由だけではない。普段やっていないジャンル、何なら避けていたジャンルをプレイしてハマったときの「私はこの感覚も楽しめたのか…」という発見はかなり感受性を広げてくれるからだ。

かくいう私が、ダークファンタジーRPGだとかビジュアルノベルだとか、そういうゲームばかりを繰り返すだけの生活にマンネリを抱えていたのだろう。FPSやサバイバルホラーにハマった瞬間、失っていた感受性を取り戻したような喜びがあった。

特にサバイバルホラーは、「怖い」という超常刺激が良い緊張感になって作品に没入しやすい。というか私がもう緊張感がないコンテンツに耐えられなくなっているだけかもしれない。ちょうど夏だし、ホラーゲームを勧めているが、普段やらないことに積極的に手を出すってのが重要なんだろう。

そういう意味ではゲームばかりせず、外に出たりして色々行動すべき…いや、今それを考えるのはやめよう。以下は最近やったホラーゲームの紹介だ。

SOMA

『SOMA』。海底を淡々と探索し、時々やべぇ何かに追われるゲーム。ジャンプスケアのようなものはほぼ無く、映像の乱れやノイズだけを使って恐怖を演出する。追いかけっこや謎解きは、雰囲気を邪魔しない程度のもので、スムーズにクリアまでいける。個人的に今年遊んだゲームでは一番気に入っている。

The Callisto Protocol

『The Callisto Protocol』。謎のウイルスで悍ましく変質した生物やステージを超写実的なグラフィックで描いており、そのグロさや世界観を楽しむのがメイン。アクション要素はかなりシンプル。中年男性が汗、血、泥まみれになりながら、敵をグチャグチャにしていくゲーム。おま国だが、windowsのリージョンを変更したらgame passで遊べました。

Still Wakes The Deep

Still Wakes The Deep』。ウォーキングシミュの総本山であるThe Chinese Roomが贈るサバイバルホラー。博多弁?の翻訳で話題になったが、ゲーム自体は一本道のアクションムービーとしてサクサク進めながら、ほどよい緊張感もあって好みだった。

結局ゲームしかしてねぇじゃねぇか!

『オンライン線香花火』もう誰も居ない(画像クリックでストア移動)

「こんなんじゃ夏を満喫できねぇよ!根本的に色々と間違えてんだよ!」と思われているかもしれない。

しかし、結局何が幸せなのか、何を持ってして「夏を満喫した」と思うのか。それは自分自身しか決められません。家でゲームするだけの夏も、人によっては幸せなのです。

結局一番不幸なのは、自ら引きこもる選択をしながら、世間との遅れに劣等感を覚えることでしょう。そしてそれが私の現状です。誰か助けてください。

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