怖いモノ見たさで行動することが多い。ホラゲが好きとかそういう話ではなくて(むしろ嫌い)、自分の知らない世界への憧れや好奇心みたいな未知への憧憬って奴かもしれません。そういう時ありますよね。
ハードコアな作品の良さをその手のプロに比べて引き出せないことも多くて、知識や情熱には圧倒的に敵わないんですけど、だからこそ見える景色は駆け出し者にしか見れない景色だったりするのかなって。
今回紹介する『Beyond Citadel』はエログロと銃火器の専門用語が当たり前に飛び交う銃圧高めのFPSです。なんというか、非シューターの自分だからこそ書けるものがあると思ったので書きました。
この記事にはグロテスクな要素が含まれているため苦手な方はブラウザバックお願いします
こん棒みたいな面白さでぶん殴ってくる硬派なFPS

『Beyond Citadel』は弾薬の装填動作となる「コッキング」を盛り込んだハードコアなFPSです。見た目のインパクトも去ることながら、カバーリングと立ち回りでばちばち撃ち合う戦闘面も魅力です。
今作のリロードはワンボタンで終わりません。空になったマガジンを取り出して弾を詰め込み、充填からのコッキングで初弾をセットして完了。言葉に起こすと野暮ったいんですが、弾込めのちょっとした間が緊張感を生んでいて最高でした。

ビジュアルの濃さだけで突っ走るのではなく、独自のシステムやレベルデザインを通じて真っ当な面白さで脳天を殴ってくるのが好き。後から内臓ぶち撒けグロ描写が斧持って追いかけてくる感じ。ぐうの音も出ない暴力的な完成度でラブっす。
偉そうなことを書きましたが、オールドシューターの経験は然程ないので正確な比較はできません。素人意見として、ステージ毎に戦闘の意図が感じ取れて絶妙なバランス。「ここはこの敵が厄介だからこうやって立ち回りなさい」が暗に明示されている感じでした。

ボス戦は『天使銃』と呼ばれる専用武器が一時的に利用可能。これが強すぎるので難易度は低いんですが、この圧倒的な強さがストーリーに結びついていて上手いなと思いました。やれば分かる。
この手のジャンルお馴染みの『シークレット』も散りばめられており、マップを埋める面白さも存分に浴びれます。シューターでもない筆者が唸るくらいなので、好きな人は迷わず買った方が良いですよ。
何喰って何処で育ったら生み出せるのか知りたくなる世界観

無慈悲に人体が破裂するグロティックな戦闘に目を奪われがちですが、フレーバーテキストから考察できるストーリーも仕上がりの良さを感じます。敵を撃ち殺して気持ちよくなるだけではないんです。
超ざっくり話すと、7体の『喇叭吹き』を討伐するのが目的です。果てなき専門用語に面を食らいますが、テキストセンスが良すぎて悶えました。喇叭吹き(ラッパふき)ってヤバくないですか。鳥肌モンですよ。

ステージ最奥の喇叭吹きを撃破すると、何者かの身体の一部を入手できます。怖いですよね。いきなり渡されるので最初はビックリしました。もちろん、ストーリーを進めると真相がやんわり伝えられます。
今作は婉曲して物語の真相を伝えてくるので、文脈を読む力が試される気がします。「ほら、見ての通りだよ…」といった感じで語られるので、専門用語と時系列を噛み砕いて咀嚼したうえでワンテンポ遅れて「おぉぉ……」となる感じ。

言葉の節々に感じるカルティックな響きも個人的に大好きで、「もっと読みてぇ…」と刃牙の主人公みたいな言葉が漏れました。狂っているというよりも心酔してるって感じの美しさを感じるんですよね。
とはいえ普通の人間もいるので、何もかもが心を穿つ存在でもありません。キャラクターの言葉も整合性が取れているので、電波的な要素をそこまで感じさせない酷薄で純血な作品だと思いました。
慈悲ある無慈悲で人体破壊できる躊躇のないビジュアル

避けては通れない、というか今作の醍醐味でもある「グラフィック」の話をしましょう。ここまでの画像を見れば伝わると思うのですが、説明不要でパンチが効いてますよね。エログロのグロマシマシって感じ。
とくに死亡モーションは格別。開発者さんの淀みない愛情が溢れており、壊れた水道管の如くだだ漏れ状態です。敵だろうが味方だろうが関係ありません。四肢も臓器も吹き飛びます。

敵兵はアーマーを着込んでいるので倒すまで性別不明でしたが、敵を撃ち殺してアーマーごとぶっ壊すと女性であることが分かります。エロティックというかここまで来ると性癖でしかない気がする。
再起不能になった敵は血を垂らして死期を悟り、苦しそうな吐息をこちらのヘッドホンに流し込んできます。ぶっ飛んでるよ。序盤から精神が焼き切れそうでした。開発者さん良く正気を保てたなって思います。

敵の中には死にかけの状態から反撃してくる義に溢れる奴もいるので、首を斧で無慈悲に切り落とす場面も。すげえのよホントに。一切の躊躇もなく切断面モロ出しの状態になるのでカルチャーショックです。
でもまぁヘッドショットで脳天吹っ飛ばせば再起不能になるので、狙える場面があったら基本的に狙うのが吉。戦場は言葉に起こせないほど凄惨な状態になってますが、小気味よいコッキング動作と相まって敵を破壊する気持ちよさが詰まってます。
HARF-WAY コマーシャル

コッキングの”カチャコン”が楽しいリロードアクション

同じカテゴリの武器だとしても、それぞれ反動や挙動が異なるのがシューター作品の理。ひとまとめにハンドガンと冠しても、大口径マグナムと静音製ピストルでは性能が全く異なりますよね。
今作は性能のみならず「リロードの動作」も武器ごとに全て異なります。四角ボタンを押せば勝手に弾が補充されるなんてこともなく、複数の手順を踏んでようやく充填される形です。これがまた面白いのよ。

簡単にいうと下記の手順を踏みます。
- マガジン(弾を入れる箱)を取り出す
- 手動で弾を詰め込む
- マガジンを弾倉にセットする
- コッキングして弾をセットする
ここまでして撃ち込める状態になります。
ちなみにコッキングはアレです。ショットガンとかスナイパーライフルとかで「カチャコン」って音を出して弾をセットする奴です。最初は筆者も何が何だか分かりませんでしたが、遊んでいる内になんとなく理解できるようになるので問題ありません。
ほとんどのゲームはコッキング動作が自動で行われるため、射撃ボタンを連打するだけで撃ててます。でも今作に関しては手動でカチャコンしないと撃てません。設定からOFFにもできますが、ONにしておくとリロードが楽しくなるので切らずに遊んでました。

敵に素早く標準を合わせるエイム力も重要なんですが、被弾しないよう遮蔽物を利用してリロードすることに重心を置いている感じです。ぴょんぴょんしながら敵弾を避けて、華麗に射貫くアリーナ系とは異なる奥ゆかしさが良いよね。
リロードに複数の動作が必要なので、テキトーに突っ込んで弾込めを怠ると死角から出てきた敵に囲まれてあわあわして轢き殺されてアヘ顔で内蔵をぶちまけることになります。なんというかビヨンドシタデルの様式美って感じでしたね(n敗)
そもそもなんですけど、銃の知識のない筆者が触ってて楽しいと感じたので、元々知識があって銃をカチャカチャ弄るのが好きな人は間違いなく楽しめると思います。鬼門とされるエログロに抵抗がなければ。
作り手が想像する面白さの骨格がとても太い

個人的にここが一番スゴかった。理不尽なステージが一つもなくて、プレイヤーに「こうやって動いて欲しい」と暗に伝えるレベルデザイン力に惚れました。難しくしとけばええやろとか全くなくて、かといって生ぬるい難易度でもない。真っ直ぐ面白い。
敵が大量発生するステージはロボスーツ等の強力な武装が用意され、狭い空間に敵が密集しているステージはぶつかる前にこっそり処理して戦力を減らしてから突破できる。この塩梅がホントに絶妙で、『面白い難易度』の解像度が凄まじく高い。

超絶ド偏見なんですが、昔ながらのブーマーシューターってだだっぴろい迷路みたいな場所を彷徨いながら大量の敵をひたすらブチ殺すイメージだったんです。実際はそうじゃないとは思うんですが、目の前で丁寧に導いてくれる作品もあるんだなと感動しました。
水中ステージ等の舞台装置型ギミックも見逃せません。敵の配置とステージ構成の工夫はもちろん、酸素ゲージが徐々に減っていくシステム以外にも銃弾の挙動が変わったり高さを自由に調整できたり、独自の立ち回りを生んでいるのが印象的でした。

ここら辺は歴戦シューターではないので完全に主観なんですが、慣れていない人間からすると超丁寧に作られている感じがしました。狙いすぎと感じる人もいるかもしれませんが、個人的にはこの企みの感じが心地良くてどんぴしゃだったなと。
銃の扱いや強烈なビジュアルにしっかり視線が集まるのは、きっと土台となるレベルデザインがどっしりしているからだと思う。見た目が原因で忌避している人もいるかもしれないので、この辺の面白さが記事を通じて少しでも伝わってくれたら嬉しいです。
媚びて誤魔化さない分厚い血生臭さ

これに関しては紹介ではなくて極めて個人的な感想なんですけど、やりたいことが明確で尚且つ完成度の高さでプレイヤーを黙殺するのがカッコ良かったです。媚びを一切売らずに懇々とクオリティを磨き、文句のいえない作品で黙らす圧力が心地良い。
他人にウケようとして作った匂いがしない。「俺は作りたいモノを作った、お前もやれ」と言われた気がする。誰も傷つけないジャイアンじゃんと思った。真似しようと思ってもできないと思う。色々な意味で。

再三言ってますが、筆者は古のブーマーシューターではありません。そんな人間を異様なほどに惹き付けて放さなかったのは、今作がエゴだけじゃなくてプレイヤーファーストで作られていると感じだからです。
可愛い絵柄で取っつきやすい作品だとしても、金儲け優先でレールに沿って作られた薄っぺらいものもあります。別に絶対悪だとも思わないけど、細部まで本気で作られた作品に比べたら塵のように感じる。

強烈なビジュアルと硬派なガンアクションで一見様お断り感を出してるけど、ビヨシタの方がよっぽど他人を思いやって作られていることが分かる。曲解して都合良く受け取っているのかもしれないけど個人的にそう感じた。真意は知らないしどうでも良い。
マスに向けて作らずに結果を残しているのが心底痺れるわけです。「俺は作りたいモノを作ったかビヨれなくても良いんだ…」みたいなたわけたことを言わず作りきった胆力がすげぇのよ。ホントにすげぇ。だから買えって訳じゃないんだけど買え。
圧倒的な暴力で気絶したい人は是非

人を選ぶとわざわざ書かなくても伝わると思うんですが、まぁ見た目どおり狂気じみたビジュアルなので万人受けはしません。たぶんじゃなくて絶対しません。こればかりは保証します。
感動したゲームに出会ったのに保身を考えて紹介しないとかはあり得ないので、馬鹿でかい声とウザくない程度の熱量で紹介しました。だって面白いんだもん。このゲームには人を惹き付ける力がある。
気になるなって人はやってみて欲しい。お口に合うかどうかは分からないけど、この記事で伝えようとしたことは分かってくれると思う。力の入ったLOVEな作品を触りたい人は是非やってみてね。
〈詳細情報〉
ゲーム名 | Beyond Citadel |
ジャンル | FPS |
ストア価格 | 1,700円 |
リリース日 | 2025年1月3日 |