怪獣とヒーローが大乱闘する派手なゲーム。面白そうだなと思いつつ、どこか自分とは無関係だと感じて手が伸びなかった。なにせ筆者はあのゴジラですら通しで見たことがない。だからこそ、今作を心より楽しめる誰かに届けたくて書いている。
今回紹介する『GigaBash(ギガバッシュ)』の魅力は、開発者の怪獣に対する愛だ。100%オリジナルの世界に、見覚えのある怪獣やヒーローの面影を感じ、偉大な先駆者への尊敬や憧れがふわっと香る。他人ウケを考慮して作ったとか、そういうのは一切ない。
先んじて、ゲーム性について触れて行こうと思う。特撮好き以外はお断り、という訳ではなく複数人で遊べるわちゃわちゃアクションのため、マルチで楽しめる作品をお探しの方も是非チェックして欲しい。
この記事はNeonNoroshi様にキー提供を受けて作成されています。
腕前なんて関係ない大暴れ対戦アクション
『パワーストーン』や『スマブラ』。この名前でピンと来た人は間違いなく楽しめるだろう。
ギガバッシュを平たくいえば、通常攻撃と必殺技で殴り合う対戦ゲームだ。難しい操作は何もない。テクニックを駆使して勝利を目指すのではなく、好きな見た目の怪獣で大暴れするのが楽しい。極論、好き勝手暴れられれば負けても気持ち良い。
1vs1でバチバチするのではなく、最大4人で殴り合うのも醍醐味。攻撃範囲が比較的広く、ボタンをぽちぽちするだけで建物やギミックを巻き込んで攻撃が当たる。まさに大怪獣バトルだ。ボタンを押すだけで何か起こるワクワク感がある。
ギガエネルギーを集めると全キャラ共通で巨大化。とにかくデカイ。攻撃をぶんぶん振り回すだけで大災害が起こり、大暴れする怪獣の解像度を高めている。建物などの破壊可能ギミックを壊すことに戦略的優位性が生まれるなどもなく、目的もなく手当たり次第に壊したくなるムーブを取れるのが怪獣っぽくて好きだ。
動かしていて気持ち良い。好きな怪獣で暴れるのが楽しい。といった感情を刺激したから書こうと思った訳ではない。今作の開発者様が筆者の知らない世界を知っていて、それが心から好きで、自分もそれに触れたいと思ったから書いている。
作り手の生きざまが染み出ているゲーム史料
怪獣ごとの攻撃モーションやバックストーリーなど、各キャラの特徴や補足情報が閲覧できる史料も用意。これがめちゃくちゃ良い(語彙力)
知らない映画のパンプレット見ているようなワクワクがあり、遊戯性を取り除いた世界観そのものに対する完成度の高さが伺える。
紙芝居形式で繋がるストーリーも良い。開発者様の根っこにある好きとか、小さい頃に見ていた特撮作品への憧れとか、今までの人生があるからこそ生まれたであろう人間臭さを感じた。
感情的な話をゲーム紹介に盛り込むべきではないかもしれない。それでも筆者は、フレーバーテキストに香る情緒的な部分が好きなのだ。最大4人で遊べる大怪獣バトル。ガワだけを見て今作を語るのはあまりに味気ない。開発者様の考える「オレが考えた怪獣」を操作できるのが今作の醍醐味だ。
怪獣は論理的な思考を持って行動してるのではない。何を考えている分からない巨大生物への根源的な恐怖。圧倒的な存在へ生まれる信仰心。ゲーム性に甘んじることなく世界感に一本筋を通しているからこそ、資料を一つとっても面白いんだなと思った。
想像通りの動きを再現してくれる大怪獣
ギガバッシュに登場する怪獣は”タイタン”と呼ばれており、DLCを除いた初期キャラだけでも総勢10名が利用可能。その内4体には専用ストーリーも用意され、夕方に放送されていた特撮アニメを彷彿とさせる。
「せっかくだから全キャラ紹介するぜ!」って内容も面白そうなんですが、詳細まで書くとガッツリ攻略記事みたいになりそうなので、ストーリーが用意されている主要4キャラだけサラッと解説しますね。
『オロゴン』
常にキレてるけど実は万能タイプ
THE怪獣。目がぎょろっとしてて怖い。メインストーリーでは身勝手な人間と別のタイタン対して発狂しており、逆に愛くるしさを感じる。
攻撃の隙も少なく広範囲攻撃も多くて初心者でも使いやすい。中距離からのジャンプ攻撃で奇襲性にも長けており、見た目に反して器用なオールラウンダー。
回避や奇襲として多用される相手のジャンプ行動に対してアッパー攻撃という答えを持っており、今作における主人公キャラ的なポジションだと思われる。ちょっと怖いけど慣れると可愛い。
『ピピジュラス』
ぱかぱかしている部位から光弾発射
ふふふん星人を彷彿とさせる癒しキャラ。紫の光弾を飛ばしたり、バリアで敵を弾き飛ばせるため遠距離戦が得意。割と使いやすい。
空中攻撃のリーチがめちゃくちゃ長かったり、ジャンプ中にホバリングして攻撃のタイミングをずらしたりと、性能面で見るとトップTierだと思う。
弱点でいえば横方向の攻撃範囲が狭いため、回避行動や集団戦に弱いのがネック。でも可愛いから問題ないと思います。ネタじゃなくてガチキャラ。
『サンダトロス』
どう見ても主人公なのに癖が強い
男の子が全員大好きな正義の巨大ロボ。主人公もしくは開発者の言うことしか効かないタイプなので、選ばれし者しか操縦できない。でもストーリーでは…
キャラ性能はバリバリのパワータイプ。動きは遅いけど火力とリーチがあるため、近づいて剣をぶんぶん振り回すだけで圧が凄い。
中距離からのおもむろ突進やピンポイント落雷など、距離を選ばずに戦える器用さも。その反面、攻撃の狙いをつけるのが難しく、しっかり戦うにはテクニックが必要な玄人向けっぽいキャラだと思う。
『ウーリー』
俗に言う投げキャラ的ポジション
サウナハットみたいな髪の毛が印象的なカワイイ雪男。専用ストーリーを遊ぶと仲間思いの良いヤツと分かるので一層好きになります。
物理攻撃でゴリゴリに殴り倒すキャラと思いきや、おもむろに相手を吸い込んで吐き飛ばす特殊キャラ。ギミックや建物にぶつけてダメージを稼ぐ特殊な戦い方が特徴。つえぇんだ、これが。
ほかにも自分が雪玉になってころころ転がったり、空中からのボディプレスなどの広範囲攻撃で相手を巻き込んでいく。お腹をぼよんと突き出すカウンター攻撃とかもある。
人生が溶け込んだコンテンツは未知の世界でも楽しめる
自分の知らない世界だとしても、それに人生を注いだ人が作ったコンテンツなら楽しめる。これって当たり前のことですかね。筆者はスゴイことだと思ってて、おもわず感動して作り手を好きになったからこの記事を書きました。
正直、ゲームの質が優れているとかは分かりません。独創的なメカニズムとか、丁寧にストレスなく作り込まれたシステムとか、そんなの全部どうでも良いと思えるくらいの熱量だったので、中身の話なんて知ったこっちゃねえと思ってます。
特撮とか怪獣モノに疎い筆者ですらここまで楽しめたので、自分よりGigaBash(ギガバッシュ)を楽しめる人にこそ遊んで欲しい。世の中に潜む怪獣ファンに届けと願いを込めて、結びの言葉とさせて頂きます。
おわり。