やたらモテる女性に『○○って雰囲気イケメンだね』と言われて「コイツ…苦し紛れな発言を…」と歯ぎしりした経験がある。お前は磨けば光る可能性を秘めてるぞ、的な励ましニュアンスなんだろうけど結局光らせて貰えなかった。乗せてから落とすなよバーカ!!
『Halls of Torment』は野暮ったいけど光るモノを持っているキャラをプロデュースするような面白さを秘めている。もさ男を猛者男にする感じ。めちゃくちゃ地味な作品ですが、キャラを育てる面白さが抜群なので語らせて頂きます。
加点方式で強くなるオジの可能性がすごい(語彙力)
最初こそ地味で動きもノロくて絶望する。「お前もうちょっと頑張れるだろ…」と声を掛けたくなるほど弱い。無双アクションで頻繁に感じる「コイツは絶対強い!」って感覚がホントに皆無。でもなんだろうか、化けたら凄そうな可能性だけはプンプンする。
この作品、基礎ステ伸ばすのがメインなので地味なんです。スキルの弾数が増えるとか状態異常を付与とか派手な強化じゃなくて、攻撃力だったり攻撃範囲だったり技そのものを太くする時間が圧倒的に長い。基礎練ばっかりしてる野球部みたいな感じ。
安かろう悪かろうでもお構いなく作品が生まれるヴァンサバ界隈。今作の真っ当に強くなる真面目さに心を打たれた。なだらかな成長カーブには誠実性が溢れ、特定の要素を揃えたらバランス崩壊なんてこともない。ステータスを地味に伸ばしてコツコツ成長させる過程は古き良きJRPGを思わせる。
チマチマとステ振りして苦労に見合った強さで蹂躙してこそ気持ち良いわけで、正解を見つけて効率的に壊すようなジャンクな遊び方がすべてじゃない。賛否両論分かれるとは思うけど個人的にスマッシュヒット。
弱いんだけど頑張れば光りそうなオジサン。もさいけど磨けばモテそうだと判断された過去の自分。似てる、っていうと強引かなって思うけど、なんとなく自分を重ねて夢中で遊んだ。きっと何処かで花開く。そんな思いを抱えながら遊ぶ質素なヴァンサバも乙なものだと思うのです。
もさ男はトロフィーの数だけ強くなる
ローグライトで良く見かけるのが、金策して永続強化しないと全く歯が立たないケース。あれ系ってホント敵が硬いのよ。遊び方やセオリーを沁み込ませたいのは分かるけど、選択肢がなさすぎると毎回思う。どうせ勝てないって思いながら走るのは結構萎える。
今作の面白い部分は実績を解放するたびに新要素と永続的な特殊バフが付与される点。気になる恩恵は『経験値取得』の永続アップ。素ステそのものを強くするのではなく、『成長速度』を上げることでバランス調整しているのが熱い。
才色兼備の強キャラで無双するのではなく、モブキャラが垢抜けて成長していく感覚。チャレンジに対して地味な報酬がもらえるので、こちらとしても張り合いがある。これがもし『攻撃力アップ』みたいな必須能力だと義務感を感じるけど、経験値量が増える絶妙なバフが掛かるのでちょっと頑張りたくなるのだ。
11人のキャラで課題をクリアして少しづつ強化幅が広がる。実績解放の過程でゲームへの理解も深まり、多様なビルドを試したくなる体験設計が施されててクレバーすぎる。最初は「地味すぎ……。」と思ったけど、今ではいぶし銀過ぎるシステムの虜です。
誰がやっても即無双できる期間限定ファストフードっぽさも好きなんだけど、毎日食べたらそりゃ食傷だよねって思う。これ出しとけば満足だろって舐めた姿勢は遊び手に透けてるし、裏を返すと意図を持って丁寧に作られたものは意外と気づくもの。だからこそ、このゲーム好きだなって思うんですよね。
困り事は『井戸』と『装備』で全て解決!
ここまで読んでくれた方は今作のことを「ステ振りで真面目に突破するヴァンサバ」と思ったはず。認識どおりなんですが、補足としてビルドの拡張性についても触れておこうかなと思います。まずは『井戸』と呼ばれるシステムから解説します。
簡単にいうと、装備を持ち帰ると次回から初期装備として持ち込める仕組みです。この装備の性能がまた渋くて、ランダム性能もない固定性能の装備なのに出来ることがしっかり増えるので満足度が高いんです。
命がけで拾った武器を井戸に投げ捨て次回以降のプレイを快適にする。こんな地味なヴァンサバありましたか?自分はこのゲームが初体験でした。徐々に装備が整ってくるとビルドの方向性も決めやすくなるため、ここからが本番感も一層濃くなります。
燃焼強化で火炎ビルドを目指すも良し。電撃装備でチェーンライトニングを主軸にするも良し。攻撃速度と火力をガン積みして脳金ゴリラも良いでしょう。なかにはトチ狂った性能の装備も用意されており、皆んな大好きペットビルド向けの召喚を強化する指輪とかやべぇなと思いました。
完全に作業ゲーなので賛否両論かもですが、コツコツ準備した労力がようやっと報われる感覚をヴァンサバライクに落とし込むのは偉大だなと。RPGと違ってサクッと楽しめますし、かといって安っぽい感じもしない。ここまで揃ったら化けるボーダーラインが分かりやすいのもグッドです。
択が太いor択が多い
後者が好きな人は多分ハマる
血統書付きのハクスラとは違うけど、間違いなく敵を破壊する快感に溺れた人が作ったはず。流行ってるからではなく、ハクスラが大好きでライトに遊びたいからヴァンサバ借りましたって感じ。
壊すのではなくビルドを組むための拡張性に重きを置いている。また『紋章』と呼ばれるシステムで異なるキャラ同士の特性継承も可能。2クラスの強みをマージしたキャラとなり、ビルド幅に奥行きが出せる。地味だけどゲーム性がガラッと変わるから面白い。
実績アンロックで強化ロールが増えたり新武器や新スキルも増えるので、体験設計の面でもめちゃくちゃ優秀。本気で成長要素のある全ゲームで採用して欲しいと思えるほど気に入っているので、もしゲーム開発者さんが読んでたらぜひ採用検討お願いします。
ぶっ壊れずに強くなるのが今作の醍醐味。とりあえずコレ取っておけば安泰とかの救済も兼ねて『ぶっ壊れ』を用意するのは良いんだけど、それによってビルドが固着したり毎回似てしまうのは勿体ない。
ヴァンサバ系譜の作品ってジャンク味があって好きじゃないんだよね~って思う人だったら楽しめると思うので、気になった方はストアページ覗いてみてね。
絵面が地味すぎてうわーと思うかもしれませんが、まぁここで知ったのも何かの縁だと思って遊んでくれたら嬉しいです。もさ男で無双しましょう。
終わり。
【ダウンロードリンク】
https://store.steampowered.com/app/2218750/Halls_of_Torment/