時折、登山ゲームで発狂している有名配信者を見てゲラゲラ笑ってストレスを発散している。完全に『見るもの』として捉えているので、何かしらのきっかけが来るまで遊ぶ気はなかった。
今回紹介する『HighKing』は登山ゲーム。とうとう自分の順番が回ってきたらしい。これも何かの縁だからと遊んでみたところ、「コレはもしかして登山ゲーム初心者向けなのでは…!」と思うようになりました。
落下時にスタート地点へと戻る特有のプレッシャーこそあるものの、操作性が素直で直感的な部分に惚れました。苦行ゲーに苦手意識を持っている方も多いかもしれませんが、アイディアもゲーム性も面白かったので紹介させてください。
この記事は個人ゲーム開発者『つーき』さんの提供でお送りします
磁石のように張り付く手足を使った登山ゲーム

『HighKing』はマグネットのような手足を使って登頂を目指すクライムゲームです。今となっては知る人も少ない『東京フレンドパーク』みたいな作品。落下すると終わるのでツボゲーの仲間だと思って下さい。
仕事に疲れて一歩も歩けない主人公の元に謎の王様が登場し、「お前は、お前の玉座に誰を座らせているんだ?」と問いかけた後、謎の空間に主人公をぶち込みます。物わかりの良い主人公は「一歩も歩けないとは言ったけど、登れないとは言ってない」と超絶勇ましい言葉を残して登山に挑戦します。
今作はボルダリングの動きを取り込んでおり、身体の向きや体勢によって体力の消耗具合がガラッと変わるのが特徴です。手足をぺたぺたと張りつけて、テキトーに登ろうとしても身体は思うように動かせません。

ネタっぽい雰囲気を醸し出しているものの、関節の動きやスタミナの概念はリアルなボルダリングに近い手触り。筆者はモテると思ってボルダリングにハマっていた時期があるので良く分かります。
本物のボルダリングと同様に『※オブザベーション』をおこない、身体の使い方を意識して登る操作感も今作の醍醐味といえるでしょう。体の構造的にも違和感がなくて良いゲームデザインだなと思いました。
※登る前に進行ルートや身体の使い方を予習する行為
オブジェクトに触れるだけで身体がビタっと張り付くので、掴む場所を気にせず登れるのも魅力。掴む場所のルールもなければ突起物を探して右往左往することもなく、自由度の高いゲームに仕上がっています。

触れる建造物の間に隙間がある場合、振り子のように身体を揺らして勢いよくジャンプすることも可能。壁から両手を離すと空中に放り出されるので、上手く使ってショートカットする場面もしばしば。
体勢を整えながら堅実に登るもよし。ジャンプ台と振り子ジャンプで近道を狙うもよし。落ちたら終わりのプレッシャーと相まって、イライラと心地よさが混在するバランスに落ち着いています。
微調整しながらゆっくり登れるのでライト層も触りやすい

壺オジこと『Getting Over It』を筆頭に、『Jump King』や『Pogostuck』など苦行ゲーが大旋風を起こす現代。この手のジャンルに苦手意識を持っている方もいると思います。ちなみに筆者は超苦手です。
今作は手足をゆっくり動かして確実に進められるため、エンタメの一環として視聴者を楽しませるストリーマーのみならず、一般層の方もライトな手触りで気軽に楽しめるのが魅力だと考えています。
微調整して体勢を整えられるため、リスクの高い行動も少なく堅実に進められるのがポイント。腕をグッと曲げて膝をしっかり曲げて張り付き、タイミングを見計らって一気に駆け抜ける感じ。


とはいえスタミナの概念もあるので、焦ってゲージ管理を怠ると手足のロックが外れて落下することも。無理な体勢で登ると余計な体力を消耗するので、本物のボルダリングと同じような姿勢を取るのが理想です。
また落下中に何かを掴めばリカバリーも可能。勢いよく落下したら諦める他ありませんが、一筋の希望が残されているだけでも良心的かも。対処が早ければ意外となんとかなるので足掻きましょう。
色つきの枠内であれば手足をどこでも置けるので、移動の制限が甘めに設定されているのもポイント。操作が多くて難しそうにも見えますが、動作自体はシンプルなので慣れるとヒョコヒョコ動かせます。
意外とリアルに忠実なんです

せっかくなので番外編。HighKingの攻略法やコツにも触れようと思います。ちょっとしたことで登りやすさも段違いに変わるので、「こんな感じなんだ~」くらいの感じでお聞き願えれば幸いです。
先ほどからチラッと触れていますが、今作は体勢の維持がハンパなく重要です。現実世界と同じで肘や膝が伸びきった『棒立ち状態』よりも、腕と足が程よく曲がって踏ん張れる体勢の方がスムーズに登れます。
また壁のギリギリを掴んでいると滑り落ちるリスクもあるので、こまめに位置調整してしっかりホールドすることも重要。姿勢維持はもちろん、次の壁に移動する際の『侵入角度』も肝になっています。


今作は腕よりも足の力が強く設定されており、足を使って身体を持ち上げるテクニックも地味に効いてきます。関節の可動域を取っ払ったゲームならではの機能美が良いですよね。
ステージ中盤には壁と壁の間が広がり、手足が届かない場所も登場します。「あっ、ルート間違えて詰んだな」と天を仰ぐ時もありますが、このゲームには上級テクとして「ジャンプ」も用意されています。

身体を振り子のように振って遠心力を生み出し、タイミング良く両手を離すと身体を空中に放り出せます。『吹き飛び』みたいな状態なんですが、このテクニックを多用してRTAを走る超人みたいな方も。
力の入れやすい体勢を常にキープしつつ、身体を振り子みたいに揺らして空中身投げしながらショートカット。アプデで『両手離し』機能が追加されたので、もしかすると難易度が優しくなってるかも…?
最強デバイスは『ペンタブ』?

基本的な操作方法は『マウス』なんですが、実は『ペンタブ』との相性が抜群だったりします。全員が持っているアクセサリ機器ではないと思いますが、イラストレーターさんは是非触って欲しい。
筆者はペンタブを持っていないので未経験ですが、イベント会場で遊んでいる人は超快適そうだったので、そういうことなんだろうなと思います。タッチペンで直感的に操作できるって面白いですよね。
開発者の『つーき』さん曰く、「RTA走者の方はペンタブ勢が多い印象ですね~」とのこと。まさかの攻略法があるとは思わず驚きました。筆者はマウス一本でやらせて頂きます。

steamdeck等の携帯機を利用する場合、タッチ操作でペンタブ風に操作することも可能。こちらも該当機を持っている方のみ使える手法とはなりますが、直感的で相当遊びやすそうです。
寝転びながら音ゲー風に手足を動かすもよし。手の大きい人は親指でぐねぐね動かすも良し。ツールによって全く異なる体験ができるのも肝になってそう。タッチ操作を試した際、両手の人差し指でちょこちょこ動かすのが一番しっくり来ました。
とはいえ、どのデバイスも一長一短なので特にこだわらなくても大丈夫そう。筆者はマウス操作で問題なく登山できましたし、あくまで楽しみ方のバリエーションが増えますよ~って感じですかね。
落ちた分だけお洒落になる

上手いなと思ったのがスキンの導入。今作はツボゲーの部類らしく『落下=やり直し』となるためモチベーションが砕かれやすい作品です。難しいとか簡単とかそういう話は一旦置いときます。
『再走の旨味』みたいなモノがない場合、心がポキッと折られちゃう人もいるはず。ここで登場するのがコスチュームです。道中に設置された袋に身体の一部が触れるとお金が貯まり、任意の服装と交換できます。

攻略の役に立つ便利アイテムとかはないのですが、落下したときに起きる『全くの虚無』しかない状態にはなりません。ちょっとした優しさが身に染みる…あるとないとでは雲泥の差です。
わざと落下して金策しなくても自然とお金は貯まるので、この辺の塩梅も丁度良いアクセントに感じました。見た目の変化って想像以上の味変になるので良いシステムですよね。
品揃えは10分置きに更新されるため、登頂する合間の箸休めになるのもポイント。更新されるコスチュームが清涼剤のような役目を持っており、操作のアシストする役目はなくても良い味を出しています。

少なからず筆者はこの制度のおかげで壺ゲー特有の発狂を緩和できたので、やっぱりこういう変化は心にゆとりを与えてくれるなと思いました。お気に入りのコスチュームはお洒落なハットとサルエルパンツです。
唯一の友達『食いしん坊惨敗』
と一緒にマルチプレイ

今作は基本的に一人で進めるゲームですが、多人数プレイ(ゴースト機能)にも対応。同時刻に同じワールドに入れば一緒に登ることも可能です。もちろん、お互いのキャラが干渉することもありません。
画面の右上には『進捗度』も表示されるため、オンライン上のプレイヤーがどの地点に居るのかも把握可能。まぁワンミスで最初からやり直しになるので、気づいたら逆転することも日常茶飯事です。
友達と一緒に遊びました
— 『HARF-WAY』の中の人@こうゆう (@harf_way) February 20, 2025
(設定ミスったので友人の声のみ) pic.twitter.com/pvmxjvnhfW
気の許せる友人と罵詈雑言をぶつけあって遊ぶと、ソロとは違った楽しみ方ができるのでおすすめ。相手が落下してスタート地点に戻った際は、エモート機能で笑ってあげましょう。
配信者の方であれば『参加型配信』でリスナーさんと楽しめると思います。有名な登山ゲームと比較して理不尽度合いも低いので、皆でけらけら笑いながらサクッと遊べる点も魅力です。やろうぜ。
開発者『つーき』さんから一言

世の中には色んな登山ゲームと呼ばれるものがありますよね。 自分は登山ゲームが全然得意ではなくて数多の登山ゲームをプレイし落下するたびに 「いやそもそも、なんで壺に入ってハンマーで登ってるんだよ!!(なんでホッピングで登っていくんだよ!!)」 と怒りをあらわにしたものです。
そんな経験から、両手両足をちゃんと使う新しいタイプの登山ゲームを作りました。 おかげで理不尽感が少なめの初心者に優しいゲームになったと自負しています。 体験版や、無料アップデートによる新マップ追加も準備中なので何卒よろしくお願いします〜
両手両足が使える親切な登山ゲーム入門作品
正直、ワンミスでスタート地点に戻る苦行ゲーを自分が遊ぶと思ってませんでした。この手の映える作品は苦しむストリーマーさんを見ながら酒を呑むに限りますし、自分がやってもイライラするだけだなって。
でも蓋を開けると、意外とどうにかなったんですよね。そりゃ何回も最初の地点まで落ちましたけど、操作の癖が控えめなので理不尽さはありません。直感的な操作性で分かりやすいのが肝になってそう。
1人でやるのが心細い人は友人と是非どうぞ。配信者さんの中には登山ゲーム初心者もいると思うので、この手のジャンルに挑戦してみたい初心者にもおすすめの作品だなと思います。
ダウンロードリンクはこちら
https://store.steampowered.com/app/2883890/HighKing/