カミとなり、ミコと世界を救う100万年『カミとミコ』

『カミとミコ』は、SCRAPと集英社ゲームズが共同制作した世界創造謎解きアドベンチャーだ。

シナリオとキャラクターデザインは『【推しの子】』(原作)、『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』の赤坂アカ氏、謎解き制作はリアル脱出ゲームのパイオニア・SCRAP代表の加藤隆生氏が担当。

プレイヤーは”カミ”となり、転生を繰り返す巫女・ミコと共に、現代知識を武器に人類の歴史を救う。
ただし、救えるのは人類であって、ミコではない。 

この記事は『集英社ゲームズ』様より先行プレイの機会を受けて制作しています

カミになって人類を救え

赤坂アカ氏の漫画を追いかけてきたファンとして、そしてリアル脱出ゲームを遊んできた身として、この二つが掛け合わさったゲームへの興味は発表当初からずっとあった。

最初に目を引いたのは、赤坂アカ氏が手がけたキャラクターデザインだ。本作は進行度に応じて時代が変化し、ミコの衣装もそのたびに切り替わる。絵力のある丁寧な仕事に目を奪われた。

そしてゲームを進めるうちに、本作ならではの面白さに気づく。

現代人なら当たり前に知っていることが紀元前の世界では革命になり、学校で学んだ歴史の知識がそのままゲームの攻略につながる。

その感覚が新鮮だった。

出会いは100万年前

物語の始まりは紀元前。

このままでは滅びるしかない集落を救うため、プレイヤーはカミとして巫女のミコに呼び出される。カミの声を聞けるのは、当然彼女だけだった。

転生を繰り返しながら時代を追っていくと、その時代に応じた服装や話し方に移り変わる。筆者は特にスチームパンクな近代衣装のミコが印象に残っている。

人類の歴史を舞台にしているだけあって、時代の変化の描写も見どころのひとつだ。飢餓や疫病、戦争と、人類が直面する課題は時代とともに形を変えていく。

カミの介入によって少しずつ違う方向へ進んでいく歴史は、現実の知識をなぞりながらも思わぬ方向へ転がっていく。その展開には純粋に驚かされた。

転生するミコとカミの物語

ミコはただプレイヤーに寄り添うだけの存在ではない。カミよりも長く人類の歴史を生き続けてきた彼女には、わたしたちに見えていないものが見えている。

中世の時代では女性の姿では舐められるという理由から、男装をして王として振る舞い男のように話す。

時代に合わせて自らの生き方を適合していくミコ。転生者という超越した存在ながらも、その時代を懸命にしがみつく人間らしさが滲み出ていた。

禁じられた術でカミを召喚してまで人類を救おうとしたミコは、「魂が滅びるまでそばにいる」と誓い、カミが眠っている間も授かった火や知恵を次の世代へ絶やさぬよう守り続けてきた。

ときには木の実を食べて中毒になりながら食べられるものを探し、粘土を焼いて器を作る。

プレイヤーがカミとして効率よく文明を進化させる裏で、ミコはその過程で失われる命の重みを誰よりも近くで見てきた存在だ。

そしてカミにとって眠りは一瞬でも、ミコにとってその間は気が遠くなるほどの時間が流れている。

気持ちよさは謎解きだけじゃない

人類を導く際に「カミノイシ」で正解を選ぶと、ミコの驚きの演出とともにカットインが入る。

確信が持てぬまま恐る恐る選んだ時に、カットインが走った瞬間の気持ちよさは格別だ。謎解きの達成感を画面の演出が後押しする、よくできた仕組みだった。

ドット絵に合わせたピコピコサウンドも心地よい。

派手さがあるわけではないが、プレイ中ずっと耳に馴染む音作りでゲームへの没入感を支えていた。UIも丁寧でヒントを持っている村人や物にはびっくりマークが表示されるため、調べるべき対象が一目で分かる。

そして本作の謎解きには一つ仕掛けがある。ヒントや答えは画面の中の全てに隠されており、それに気づいた瞬間の快感はぜひ自分で体験してほしい。

なお、詳細はここでは伏せておく。

現代知識が最大の武器だ

本作の謎解きは、「天候操作」と「カミノイシ」の2つが軸となる。天候は晴れ・雨・雷・風から選択でき、カミとして自然現象を操る感覚が味わえた。

雷が落ちて木に火がつくことや、雨が降ると植物が育つなど、現代人なら当然知っていることが紀元前の世界では奇跡になる。

この非対称性がゲームの気持ちよさの源泉だ。

謎解きにはミッションが設けられており、いま何をすべきかが常に明確だ。各章は小さなセクションに区切られているため、何をすればいいか分からず立ち往生するような場面は少ない。

またリアル脱出ゲームを手がけるSCRAPらしく、解けた瞬間の達成感もしっかりと担保されていた。ただし歴史の知識を問われる場面があるため、誰にでも簡単とは言い切れない。

カミノイシに答えを託す

カミノイシは、人々の話を聞いたり物を調べることで入手可能だ。

同時に、現在起きている問題へのヒントもそこに散りばめられている。集めたカミノイシは最大3つまでセット可能。その後、啓示としてミコに伝えられる。

どの組み合わせが問題を解決するか、ミッションを念頭に置きながら選んでいく思考プロセスはリアル脱出ゲームの感触に近い。

謎解きに詰まった場合はミコをタッチするとヒントが表示され、再度タッチすることで答えに近い情報まで教えてくれる。

余談だが、筆者はヒントを積極的に活用していいと思っている。

本作において最も重要なのは謎解きを完璧にこなすことではなく、物語を最後まで見届けることだからだ。ヒントを使いながらでも、ストーリーを止めずに進めてほしい。

何度死んでもミコはまた笑う

時代を越えるたびにミコは理不尽な目に遭い続ける。親切に人々へ施したのに命を奪われ、勝利を収めても裏切られる。ひどいことをされ続けてきたのに、それが当たり前になっているミコの姿が刺さった。

ミコとともに時代を歩み、チャプターが進むごとに信頼と親しみが積み重なっていく。良かれと思って青い木の実を食べて食当たりを起こすような人間臭い一面も、その親しみを深める。

だからこそ、幸せになってほしいという気持ちが自然と湧いてきた。

ミコは死ぬたびに転生し、新しい時代でまた出会い直す。そのサイクルを繰り返すうちに、プレイヤーの中にミコへの感情が積み重なっていく。その感情の行き先は、物語の終盤で明らかになる。

啓示は届いてもミコは救えない

カミノイシで啓示を送りミコを導く。しかしプレイヤーであるカミは時代を最後まで見届ける前に眠りについてしまう。その啓示が届いた先でミコが何を経験しているかはプレイヤーには見えない。画面に直接映らないだけで、ミコは何度も死に続けている。

転生を繰り返すミコの姿を見るたびに、カミとして啓示を送るしかできない自分の限界を突きつけられた。「こっちは何回生まれ変わったと思っているのか」というミコの言葉が、その時間の重さを突きつける。

カミにできることは天候を操り、カミノイシで助言を送ることだけだ。それ以上でも、それ以下でもない。自分は本当にカミなのか、という疑問が何度も頭をよぎった。それでもミコは次の時代でまた笑っていた。

謎解きとシナリオ二つ揃って完成する一作

プレイ前は歴史をなぞる謎解きゲームだと思っていた。しかし実際に遊んでみると、本作の核心はカミとミコの関係性にあった。

100万年前の出会いから始まり、時代を越えるたびに積み重なっていく二人の物語は、終盤に向けて伏線として回収されていく。

マルチエンディングということもあり、自分の選択が物語にどう影響するかを考えながら遊べる。

本作を勧めたい相手は明確だ。赤坂アカ先生の作品が好きな人、リアル脱出ゲームに興味がある人、そして謎解きアドベンチャーやノベルゲームを遊びたい人。

それぞれの入口は違っても、どこから入っても本作の面白さに辿り着けるはずだ。謎解きはSCRAPらしい解けた瞬間の達成感があり、シナリオはマルチエンディングまで含めて遊び切って完成する。

片一方では成立しない本作をぜひ体験してほしい。

©SCRAP / 赤坂アカ / SHUEISHA, SHUEISHA GAMES

〈詳細情報〉

ゲーム名カミとミコ
ジャンルオンラインリアル脱出ゲーム
プラットフォームPC/スマートフォン対応ブラウザプラットフォーム
ストア価格・いますぐプレイ版:
3,500円(税込)
・特装版「カミとミコの想世記」:
6,930円(税込)
リリース日2026年4月23日
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