【クリアの後で。】とんでもない愛とテキストが詰まったサイバーパンクRPG『Keylockerレビュー』

クリアしたゲームの余韻に浸りながらキャッチーなレビューをお届けする『クリアの後で。』

第23回は私のお気に入りのゲーム『Virgo Versus The Zodiac』を制作したMoonana待望の新作、『Keylocker(キーロッカー)』です!

ストーリー:1人の少女が音楽の力で運命に抗う

▲個性的バンドメンバーと共にサテライトに立ち向かおう

土星暦801年、世界は『サテライト』と呼ばれる絶対の権力者によって厳しい身分制度が敷かれています。

音楽は『エレキ』と呼ばれるエネルギーを生み出すことができるため、エレキ独占を目論むサテライトによって141年にわたって禁止されました。

最下層民として奉仕するよう求められる毎日に疑問を持つ主人公『BOBO』。

人々が忘れてしまった音楽を奏でられる彼女は、サテライトの支配構造に終止符を打つべく旅立ちます。

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本作はマルチエンディングなので選択によって物語が分岐します

テキスト:信じられない程の量と質

▲この画面すべてのオブジェクトに違うテキストが用意されています

前作のVargoもそうですが今作の文章量は凄まじく、クリエイター『moonana』の真骨頂を垣間見ました。どれくらい凄いかというと、何気なく置いているゴミ箱、オイルの入ったドラム缶、並んだ謎のオブジェ、そのほぼ全てに異なるテキストが用意されています。

しかも、ただ単に多いだけではなく冗談や皮肉だったり、何か含みを持たせていたり、意味ありそうで何の意味も無かったりと様々。世界観はともかく文章に関しては糸井重里氏の名作『Mother』の精神的続編はこれなのではないかと個人的に思っています。

これだけのテキストを生み出したnanaの愛もさることながら、これを完璧に翻訳した柴田泰正氏にも脱帽するばかり。もし私がテキストクリエイターなら尻尾巻いて逃げ出すであろう量と質の文章が、プレイヤーを最後まで楽しませてくれます。

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フィールド上の全オブジェクトにアクセスしたくなること間違いなしです

キャラクター:あまりに個性的すぎる登場人物達

▲サイバーパンク女サムライとかいう最高キャラのセンパイ=サマ

テキストに負けず劣らずキャラクターも魅力的。キャラの立ち絵も非常に多く、数回会話に登場するだけのキャラクターにも絵が用意されています。

サムライや天体をモチーフにしたキャラなどデザインも多彩で、必ずお気に入りのキャラが見つかるはず。敵のキャラクターも少しの不気味さの中に絶妙な可愛さがあってとってもグッド。

さらにイベントシーンでは、ヴォーカル入りのBGMや迫力満点の挿絵が物語を盛り上げてくれます。

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私のお気に入りはサムライのセンパイ=サマとセーブザウルスです

バトル:位置取りとタイミングが勝負を分ける

▲装備する武器によって攻撃範囲が変わるので色々試すのが楽しい

戦闘は攻撃・防御含めて『特定のタイミング』でボタンを押す必要があります。アクションを完璧に成功させれば、無傷で敵を圧倒することも可能です。

戦闘の難易度はノーマルでもかなり厳しいので、難しいと感じたらイージーにした方が良いでしょう。

また戦闘時は位置も大事で、キャラクターは六角形に区切られたフィールドを移動しながら戦います。攻撃も武器によって攻撃範囲が異なり、効率よく敵を攻撃できる位置取りが非常に大事。

2人1組で現れるサテライトとの戦闘は、2体の間に自キャラを割り込ませないとダメージを与えられないユニークな仕様となっています。

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難しすぎて私は開始1時間でイージーに切り替えました

クラスシステム:4種類のクラスを組み合わせ自分好みに育成

▲クラスによって攻撃型やカウンター型などの特性が分かれています

主人公は最初に下記の4つの中から好きなクラスを一つ選択します。

  • ジャガーノート:攻撃型クラス
  • サムライ:防御型クラス
  • ハッカー:攻撃型クラス
  • シーケンサー:防御型クラス

各クラスには専用のスキルツリーが用意されており、敵を倒した時にもらえる『キー』を使用してスキルを取得可能。

取得できるスキルはステータスの向上や攻撃時に付加効果を追加するスキルプログラムなど、カスタマイズ性が高く色々試したくなります。

ストーリーが進むともう1つクラスを持てるようになり、クラス同士のシナジーを狙うことも。最初のクラスをどれにするかでストーリーも変わってきますので、2周目も新鮮な気持ちでプレイできそうです。

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スキルリセットの機能もあるので色々試したい方もニッコリの仕様です

総評:クリエイターの愛の詰ったパンドラの箱

本作は聞きなれない固有名詞が多く会話が難解だったり、マップが無いなどシステム的にも少し不親切な部分もあります。

ですが「そんなことどうでもいいから遊んで!」と言いたくなる魅力がこの作品にはあると断言できます。

確実に人を選ぶゲームではありますが刺さる人には絶対に刺さる作品ですので、是非このnanaの愛の詰まったパンドラの箱を開けてみませんか?

【steamリンク】
https://store.steampowered.com/app/1325040/Keylocker__Turn_Based_Cyberpunk_Action/?l=japanese

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