重税に追いつめられる少女たちのハイテンポシューティング『溶鉄のマルフーシャ:Sentinel Girls』

わたしが『溶鉄のマルフーシャ』に惹かれた理由は、まずビジュアル。
薄暗い背景、大きな武器を構える儚げな少女。
ディストピアの匂いがする。

このゲームは迫りくる敵を迎え撃ち、国境の門を守るタワーディフェンスシューティング。
操作方法がシンプルで、テンポ良く進んでいくのでとても遊びやすいゲームです。

登場人物は一癖ある少女たち。

少ない休息において彼女たちとの触れ合いはとても癒されますが、彼女たちの迎えるエンディングはどれも厚い雲に覆われています。

決して太陽がのぞかない世界に踏み入れる心の準備ができたのなら、ハンドガンを握って戦いに身を投じましょう。

パン屋から衛兵へ

▲右が主人公のマルフーシャ。左は義妹のスネジンカ。

主人公は義妹を溺愛している少女マルフーシャ。
パン屋の店員でしたが兵員不足により徴収され、衛兵として銃を握ります。

すべての隣国と戦争状態にあるという環境で、彼女は軍事訓練において優秀なオールラウンダー。
苦しい戦いを生き抜ける彼女の適正が、この世界において幸運なのかは判断が難しいところ……。

本作の大まかな流れは下記のとおりです。

①防衛ラインを敵から守る
②支給される物資を1つ選ぶ
③再度、防衛ラインを守る

上手くいく時は物資が充分に揃い、敵が門に到達する前に倒しきってその日をクリア。
上手くいかない時は物資が足らず、守るべき門を敵が破壊してゲームオーバー。

ダメな時は本当にダメで、良い時は余裕を持って次に備えられる。
自分の準備が万全かそうではなかったか、戦果を見るとよく分かります。

リトライもできますが、ダメな時は雪崩のように全てがダメになるので、潔く最初からやり直すことも視野に入れましょう。

テンポが良いゲームなので、やり直しもそんなに苦ではありません。

増える税金にも追いつめられる

無事に敵を倒しきると、給料が支給されます。
基本給と手当がありますが、総支給額はそこから控除が引かれた金額。
なんとも世知辛い。

この手取りで、武器購入や仲間の雇用など防衛にかかる費用をまかないます。
国境の防衛なのに自費でするんですか!?

この世界ではそうなります。
ちなみに門に大きなダメージが入ると、修復代がかかるのでお気を付けください。

自分の強化に費用をさけなくなると、かなり苦しくなります。

それでも勤め続けることで基本給も上がり、前よりもやりくりが楽になってきたかな?

というタイミングでやってきます、増税が。

基本給は増えてるのに、控除額がもっと増えてて総支給額が微々たるものに!
これでどうやって防衛をしろと言うのですか、なんて訴えることはできません。

この少ない手取りで、どうにもならないところは腕をみがいてどうにかする。
無理やりにでも、やりくりするしかないのです。

初期武器としてハンドガンが支給されますが、それでは押し寄せる大軍には太刀打ちできません。

しかし、強力な武器は初任給の倍ほどの値段。
どうにかお金を貯めるしかなさそうです。

加えて武器には耐久力があるので、定期的に買いなおす必要もあります。

武器の入手方法ならびに強化方法は、毎朝ランダムで配られる3枚のカードで決定します。
その中の1つだけを選んで、武器を装備したり、能力強化や仲間を雇用する形です。

もちろん、予算内のものしか買えません。
敵の勢いが弱いうちは何も買わずに節約する。
そして敵の勢いが強くなるタイミングで武器を買い、余裕があるなら強化もする。

時にはここぞという時にサブウェポンを使って凌ぐ場面も出てくるでしょう。
上手くいかないと感じたら、自分が何日目にいるかを常に把握してみてください。

強敵が現れるタイミングは決まっています。
今武器を変えるタイミングなのか?
それとも貯金すべきか?
配られるカードはランダムなので絶対はないのですが、判断の目安にはなるはずです。

たまの休息

厳しい任務の息抜きとして、数日おきに寮に帰って休むこともできます。

ここではステータスの確認や、各種ステータスのちょっとした強化が可能です。
一時的に戦闘から解き放たれたマルフーシャたちの様子が見れるので、プレイヤーとしても癒しの時。

例えば、食事を選ぶとランダムで食事が出てきます。
その結果によって各ステータスが上がるのですが、その時に出てくる食事がいわゆる「ディストピア飯」で、ゾクッとしますね。
過酷な戦場で頑張った彼女たちに振る舞われるのが、色味も「食事の楽しみ」の一つもない粗食なんだ。

また仲間を雇用している場合は、同室でちょっとした会話が発生することもあります。
防衛において心強い仲間は全7名。
しかし同時に雇えません。
頼れる仲間は一人だけです。

最終日に誰と戦ったか、あるいは仲間を得ずに戦ったかでエンディングが変わります。

▲筆者はベルカが好きです。分かりやすくツンデレ。

ツンデレのベルカを筆頭に、仲間として雇用できる少女たちは全員個性的。

そんな彼女たちのプロフィールはタイトル画面の「コレクション」から見ることができます。
戦う彼女たちの知られざる一面を知り、奥歯を食いしばりましょう。

追いつめられていく戦況

次第に敵の勢いも増してくる中、マルフーシャは国境を守り続けます。
少ない手取りでやりくりして、なんとか生き延びている日々です。

そもそも、どうして国境を守るという大事な任務なのに、こんなに支給が少ないのでしょうか。
兵員不足で徴兵された少女が、ほぼ支援も無く大量の機械兵相手に戦っているこの状況は明らかにおかしいとしか思えません。

それでもマルフーシャには戦い続けるしか道は残されていません。

生身の自分が戦っている相手が機械だということも、
段々と敵の数が増えていることも、
自分が追いつめられている状況に気が付いても。

戦って勝ち続けているはずなのに、どうして状況は好転しないのだろう。
疑問や不安があっても、生き延びるためには今日を戦い抜くしかありません。

苦いエンディングでも、頑張るしかない

『溶鉄のマルフーシャ』のエンディングは全10種。
雇用した仲間によって、あるいは成績の良し悪しによって迎えるエンディングが変わります。

その中に”グッド”エンディングは存在しません。

それでもエンディングそれぞれが、この退廃的な世界に興味を持たせてくれるものになっています。

どのエンディングであっても救いはないのですが、その短く苦いストーリーが気になってしまう。
そこに戦闘のテンポの良さ、遊びやすさが加わることでついつい遊んでしまう引力を持った作品です。

覚悟が決まったら、どうか彼女たちの100日間の生き様を目に刻んでください。

〈詳細情報〉

ゲーム名溶鉄のマルフーシャ
ジャンルタワーディフェンス
ストア価格790円
リリース日2021年8月27日

HARF-WAY コマーシャル

煙草を軸に交差する、ふたつの恋の物語。
無料で、どなたでも。スマホで、PCで、どこでも。
まるで文庫本のような、縦書きビジュアルノベル。

寂しさにも、熱がある。
『Keep Only One Loneliness』


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