誰もが一度は経験したことのある、ありふれた日常の一場面「おるすばん」。静まり返った家の中、時計の秒針の音だけがやけに大きく響き、普段は気にも留めない物陰が、不気味な模様に見えたりもして。誰もが体験する不安を題材にした『絶対に幽霊なんて出ないおるすばん』は、タイトルとは裏腹に、日常に潜む恐怖へと誘う一作となっています。
本作は、クリック操作だけで完結する手軽さを持ちながら、プレイヤーの選択や好奇心によって物語が分岐する仕組み。ジャンプスケアによる瞬間的な恐怖と、「意味が分かると怖い」巧妙なシナリオが織りなす心理的恐怖。その凝縮された体験が魅力です。
3時間のお留守番、何も起こらないはずもなく?

本作の主人公は「アナ」という小さな女の子。アナは午後5時から8時までの3時間、初めて一人でお留守番をすることになりました。アナはとても怖がりながらも、「幽霊なんて出ない。絶対に幽霊なんて出ないから……」と自分に言い聞かせます。プレイヤーは、このアナのお留守番を静かに見守るか、積極的に部屋のオブジェクトに触れ、物語を進めていく形式です。
お留守番という身近なシチュエーション。誰もが体験しているからこそ、プレイヤーに精神的な恐怖を生み出していきます。普段は気にならない小さな音や影が、なぜか今日は妙に気になってしまう現象。そんな経験を丁寧に描写し、日常に潜む漠然とした不安を巧妙に演出しています。
シンプル操作でサクッと遊べるのに奥深い

『絶対に幽霊なんて出ないおるすばん』は、1回のプレイがわずか3分以内で完結するさくっと遊べるゲームとなっています。操作方法は気になる場所をマウスでクリックするだけ。ゲームをあまりプレイしない人でも、すぐに物語の世界に集中できるでしょう。
しかし、操作がシンプルだからといって、決して内容が薄いわけではありません。画面内をクリックし探索することがフラグとなり、アナが迎える結末を大きく左右していきます。一度クリアしても次は違う行動を取りたくなる、何度でも新鮮な気持ちでプレイできる作りも魅力です。
何度でも楽しめるやり込み要素も充実

本作の奥深さを支える最大の魅力が、マルチエンディング要素です。プレイヤーの行動、アイテムの使用、クリックの有無やその順序によって、エンディングが17個に分岐。エンディングを解放することで、リストが埋まっていく仕組みです。リストにはエンディングを象徴する一枚のイラストがそれぞれ用意され、イラスト収集としても楽しめます。
また特定のエンディングにたどり着けずに詰まってしまった場合、ゲーム内ショップでヒントを購入できる救済措置も用意。ゲームが不得意でも自力で多くのエンディングを回収し、物語の全貌に迫る達成感を味わえます。恐怖体験と収集の楽しみを両立させ、誰もが自分のペースで探索できる設計といえるでしょう。
お化けは出るしお化け以外も出る

タイトルの「絶対に幽霊なんて出ない」という約束は、ゲーム開始から短時間で見事に裏切られます。実際にはピエロ人形が突然プレイヤーを振り返る、窓の外に人影が現れて窓が割れる、画面に幽霊が直接現れるといった恐怖演出のオンパレード。
さらに、お化け以外にも人さらいやゾンビといった多くの脅威が登場し、エンディングを解放することで衝撃的な真実が明かされることも。たった3分という短時間の中に、多彩な恐怖要素が詰め込まれていることが、このゲーム最大の魅力です。
怖くて愛らしい、新しいホラーゲームの形

『絶対に幽霊なんて出ないおるすばん』は、わずか3分という短い時間に17種類もの結末が詰め込まれており、選択による運命を左右する緊張感と、探究心が中毒性を持っています。過度な恐怖演出に頼らず日常の中に潜む不穏さを丁寧に描き出すことで、ホラーが苦手な人でも楽しめる点も魅力的。
マウスクリックだけの簡単操作で誰でも楽しめ、試行錯誤しながら新しい発見をしていく過程は、まるで子供の頃の宝探しのようなワクワク感があります。一人きりの部屋で過ごすアナを見守りながら、あなたは無事にお留守番を終わらせることができるでしょうか。
きっとこの小さな物語が、ゲームの新しい楽しみ方を教えてくれるはずです。
〈詳細情報〉
ゲーム名 | 絶対に幽霊なんて出ないおるすばん |
ジャンル | ポイント&クリック |
ストア価格 | 120円 |
リリース日 | 2021年6月5日 |