【クリアの後で。】超美麗ドットで描かれるひと夏のナラティブRPG『Bloomtownレビュー』

クリアしたゲームの余韻に浸りながらキャッチーなレビューをお届けする『クリアの後で。』

第24回は汚いスタバレでおなじみのグレイブヤードキーパーを作った「Lazy Bear Games」の最新作、『bloomtown(ブルームタウン)』です!

ストーリー:12歳の少女のひと夏の冒険

▲見知らぬ街へと降り立った姉弟に起こる事件とは…

bloomtown(ブルームタウン)は主人公のエミリーと弟のチェスターが、夏休みにおじいちゃんの住む街へ行く場面から始まります。

その街では子供が次々に行方不明になるという事件が起こっており、ひょんなことから悪魔の力を使えるようになったエミリー達は、事件解決のため異世界へと足を踏み入れることに。

ストーリーは他のRPGと比べてやや短めなものの、仲間や個性的な住民とのやり取りが充実しており満足感もあります。

ただ、翻訳や文章の改行が不自然なところもあり、せっかくの会話が頭に入ってこない場面も。とはいえ、内容が理解できないほど酷くはないので、そこは想像力でカバーしたいところです。

fis
ボリュームはRPGとしては控えめで20~30時間程度でクリアできます

バトル:属性と状態異常の使い方が重要

▲総攻撃時にカットインが入るのもペルソナっぽい

バトルは装備している武器で攻撃するほか、悪魔の力によるスキルが使用できます。スキルで敵の弱点属性を突き、敵全員をダウンさせると総攻撃が可能に。

また炎上や感電などの状態異常になると、特定属性の威力がアップします。技を使うタイミングや攻撃順の調整など、スキルを中心とした戦略の立て方が重要な作品といえるでしょう。

サウンド面についても触れておくと、バトルBGMは通常戦闘だけで4曲も用意されており、すべてヴォーカル入りでクオリティも本当に素晴らしかったです。

ここまで聞いて、RPG好きの方はピンと来たかもしれません。そう、bloomtown(ブルームタウン)のバトルシステムはほぼ『ペルソナ』と同じなのです。

一点だけ気掛かりな点があるとすれば、名作の考え抜かれたシステムを取り入れているため戦闘は楽しい反面、スキルの命中率の低さが少し気になりました。

fis
全体攻撃スキルが全て外れたりしたので少し命中率上げてほしかったです

グラフィック:細部までこだわりぬかれたドット絵

▲街にはダイナーやレコード店など古き良きアメリカを感じさせるお店がたくさん

本作は1960年代のアメリカーナの世界を舞台としており、名作映画『スタンドバイミー』のような雰囲気が魅力です。旧車が通る街のドット絵は、ゲーマー御用達のRPG『Mother2』を彷彿とさせワクワク感を与えてくれることでしょう。

またグラフィックの緻密さもさることながら、アニメーションの細かさもすさまじいです。

戦闘では敵味方問わずぬるぬる動き、キャラクターの数も半端なく多くドッターのこだわりを感じました。

fis
個人的には遊んできたインディー作品で5本の指に入るくらい素晴らしいです

キャラクター:知れば知るほど好きになる住民たち

▲古びた線路を歩くのはアメリカ映画お決まりのエモシーン

行方不明の住民を救う本編シナリオから離れたサブイベントでは、基本的に仲間や住民との交流がメインとなります。

サブイベントは基本おつかいになりがちですが、どの住民も個性的なためプレイしてて飽きません。とくに仲間との絆イベントは複数回に分かれており、回を重ねるごとに仲間たちのことが好きになるでしょう。

戦闘や探索など緊張感のある異世界探索だけでなく、現実世界でのほっこりするイベントで緩急がついており心地よかったです。

fis
みんな大好き百合イベントも!

総評:サクっと終わるハイクオリティRPG

小さな田舎街が舞台なので壮大なストーリーにせず、あくまで『少女のひと夏の思い出』として描かれており個人的に好感が持てました。

翻訳が少し曖昧なところとセーブが自動セーブのみである点が残念なものの、致命的というほどではありません。ただ、スイッチ版はSteam版に比べてマップ移動のロードが長いため、購入時に注意が必要です。

コンパクトですが非常に上手くまとまっており「RPGやりたいけど重いのはちょっとなぁ」という時に最適な1本です。

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