Satisfactoryとの出会い。
そして200時間。
2024年1月19日、パルワールド発売。色々な意味で話題になり「自分も触っておかないとなぁ」と触ってみたが、アーリーアクセスという事もあり、ある程度世界を巡ってレベル上げをしていたら一週間程で飽きてしまった。
濃厚なオープンワールドはティアキン(ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム)を少し前に堪能したばかりだし、致し方ないという事で次にプレイするゲームを探していた。

▲その時に見つけたツイート
確かにパルワールドの拠点クラフト要素は楽しかったし、素材を集めて木や石の壁で要塞化していくのも中毒性がある。公式PV見ても楽しそうだし、そんじゃあいっちょ買ってみっかSatisfactory。アーリーアクセスとセールで安いし。
(※2024年9月10日正式リリース予定。)
ちょっと遊んで合わなかったら返品すればいいか…と手を出してしまったのは本当に迂闊だった。

▲最初にセーブした時点で、うっかり8時間20分もプレイ

▲累計プレイ時間は計200時間
「ちょっと」や「うっかり」の範疇を大幅に超えている。どうしてこんな事になったのだろうか?
人を軽く200時間魅了し続ける「楽しい労働」という矛盾
自分はそもそも労働が嫌いで、所謂「作業ゲー」も好きではない。正直Satisfactoryも(合わなかった場合)1時間もしないうちに飽きると思っていた。

本作は『FICSIT』と呼ばれるブラック会社による映像研修を受けながら、宇宙船ポッドに乗るシーンから始まる。そして未開の星に独り置いて行かれる。中々ハードな開幕だ。

バーコードリーダーのような超万能装置のおかげで、施設の設置や破棄、素材収集がストレスなく一瞬で出来る。破棄した素材が100%返ってくるのも良心的。

Satisfactoryの目的は至ってシンプルだ。
「素材を見つける」→「採取する」→「加工する」→「納品する」→「新たなTierが解禁される」→「便利な新しい設備・素材が作れるようになる」
資源の近くには大抵異星生物というモンスターが居る。その為戦闘要素は多少あるが、Factorioのように異星生物が折角作った工場を破壊する事はない。
優しい!

▲8時間20分後の青空工場
作られたのは地面の上に直接機械を設置したような、スパゲッティを思わせるベルトコンベアが並んだ青空工場。快適な操作感の助けこそあったものの、確実な達成感がそこにあった。
HARF-WAY コマーシャル

「自動化」なくしてカタルシスの解放はありえない
とはいえ、この青空工場は「バイオマス・バーナー」と呼ばれる手動の発電装置で動いている為、十数分ほどの短いスパンで燃料を供給し続けなければ電力不足で工場が止まってしまう。つまり、ほぼ休みが無い。
この問題はTier3で解放される「石炭発電機」を稼働させるまで続く。石炭発電機は鉄と銅資源があれば作成できるものの、燃料となる石炭と水は新しい資源となるため、探索して見つけ出したあと発電機までの輸送ルートを確保しなくてはいけない。結構な重労働だ。
そしてプレイ時間が11時間経過した頃──
超長距離の石炭と水を運び──

▲石炭発電機、稼働!
これにより、燃料を運び続ける労働から解放された。そして気付いてしまった。仮にこれまでの一連の作業が、つまらなく、作業的で、嫌々とやっていたのなら、「自動化」になった瞬間このゲームを辞めてしまうという事に。
しかし実際には、工場拡張にあたり、石炭発電機の量産化計画を自ら進んで始めていた。仕事の「楽しい」部分だけを濃縮したような体験。誰からも「こうしろ」と言われない世界。
「楽しい労働をしている」という事実に気付いてしまった。労働は決して楽しくないかもしれないけれども、楽しい労働は存在していたのだ。
食事を忘れて労働する
プレイ時間25時間経過。
解放されたTier3・4の新しい設備「ハイパーチューブ」により、高速移動が可能となって探索範囲はより広がっていく。こうなれば後は早い。蓄えた大量の資源を元手に、探索して資源を見つけ、新しい設備や装備を得ていく。
それはもうオープンワールドRPGとほぼ同じで、楽しくないわけがない。この頃はもうハマりにハマって、頭まで浸かってハマっていたと思う。

▲巨大な湖の上に建てられた第二工場
大量の電力を持つ石炭発電機は、ここから工場を拡張する上で基盤となる。このゲーム、現実的な物理演算の無理が効き、土台を空中に浮かすこともできるため、自分が許す限りの無茶な建築も出来る。
最初の拠点から距離が離れている為、「ハイパーチューブ」と呼ばれる高速移動手段(画面右部のチューブ)で拠点を行き来する。
プレイ時間55時間経過。Tier5・6もほぼ解放し、石油の解禁、より発電効率の上がった燃料発電、移動が便利になるジェットパック等のワクワクする新要素が継ぎ目なくやってくる。
石油資源を主に扱う第三工場が建設され、一息ついた頃、ついに今まで青空工場だった第一工場にメスが入る。地面に直接置いていた各施設は全て破壊し、土台を敷き詰め、倉庫の位置を固め、さらなる効率化を目指していった。

▲電光掲示板を設置し、どこに何の資源があるかをわかりやすく

▲73時間経過。近代化した第一工場
1階に製造工場と倉庫、2階に広く土台を作り、3階は各工場に移動するためのフロントとした。照明設備が無い為天井があるエリアは暗い。大量の電光板付倉庫も並べ、照明の設置が面倒だった為ガラス床も採用。この頃から、少しは工場の外見に拘っていった。
とは言え、右側に書いている「ネジが足りない」というのはメモ機能であり、当時作業を忘れないように書いていた。この頃はもう中毒症状を自覚してはいるものの、もう抜け出せない段階まで来ている。
・「どうすればこの資材がもっと生産できるのか?」
・「この資源をどう輸送するか?」
・「このベルトコンベア、もっと整理できないか?」
久しぶりに、文字通り『飯を食う事を忘れて』プレイしていた。

▲燃料発電所。石油を精製する必要がある為広いスペースを確保
最終Tier7・8到達へ。
そして、満足…しない。
106時間経過。
当時のエンドコンテンツである、Tier7・8解放までの条件(※相当な難易度。正式リリース後緩和予定)は以下の通り。
・多目的フレームワーク×2500
・モジュラーエンジン×500
・自律制御ユニット×100
これらを納品(起動エレベーターで発送)することでTierが解放される。それぞれが複雑な工程を踏んで作成する素材のため、全部説明はしないが、あまりに時間がかかる為専用のスプレッドシートを作成し、必要な時間と素材を計算していた。

▲当時実際に使っていたスプレッドシート
多目的フレームワークとか1台だけで作ろうとすると16.7時間かかる。あまりに外道。もはや完全に仕事である。だが100時間超楽しく労働した今、こんな壁は通過点に過ぎない。

▲地獄を乗り越え、念願のTier7・8解放へ
納品用資材は、結局ほぼ手動で組立機などに放り込むスタイル。無駄が無く良かった。この大仕事をやり終え、最終Tierも解放した今、流石に飽き…る筈もなく。
新素材、新設備、そして性能が爆上がりしたベルトコンベアの存在は、今までの施設のベルトコンベアを置き換えるだけでも桁違いの生産量を与えてくれることを意味する。全工場の改修作業の旅が始まった。
全Tier解放へ。
そして、定年後のような余暇。
ラジカセ片手に世界を巡る。
146時間経過。
全てのTierを開放し、一応ささやかな隠し要素解放の為の要素はあるものの、流石に面倒すぎる為ここらで一区切りにしようとした。

▲一極集中化違法建築要塞と化した第一工場
この九龍城は、遠方からの流通をドローン施設で賄っている。鉄道を作らなかったのが心残りだ。結局想定の倍以上の広大な土地が必要になり、逆ピラミッドのような工場になってしまった。

▲第四工場。外壁を全面ガラスにするだけでまぁまぁ見れるようになるが中は九龍城
Satisfactory wikiを読んでいて、「ラジカセのテープが世界のどこかに隠されている」という隠し要素に、自分の好奇心はまた再点火してしまった。
そこから文字通り世界中を巡り───
172時間経過。全ての隠しテープを入手し、今度こそ本当に満足する。自分はここで満足してしまったが、Tier8で解放された設備、原子力発電所等のプルトニウム資源を使用するコンテンツには手を出していない。
プルトニウム資源は致死量の放射能をまき散らす為、作業中は使い捨ての防護フィルターを大量に用意した上で作業しないといけない。これには流石に心が折れてしまった。防護フィルターという消耗品を減らしながら作業するのはなかなかにしんどい。
また、プルトニウム資源を発電や加工して最終的に排出される「プルトニウム廃棄物」は廃棄不可能な資源だという点も中々エモくて良い。資源はゲームの都合上無限に採掘でき、資源枯渇はないが、この廃棄不可能という要素は世界に終わりを与えてくれる。
実際は、マップの隅など普段使用しない場所などに廃棄物をコンテナに送り続けるシステムを作れば、広大なマップを埋め尽くすという事はないだろう。空に続くような超高層階を作って、そこに廃棄用コンテナを並べてもいい。それこそ何千時間は持つだろう。だが確実に世界に残り続ける。
無限に続くと思われていた世界の終わりを感じさせてくれて、やっと満足を得られた。
200時間中の残り28時間は、その後Satisfactory正式リリースというニュースを聞いて、「今プレイしたらどれ位効率良くプレイ出来るだろう?」と気になりプレイした2週目のプレイ時間である。
2週目は、とある資源が固まった地点に辿り着いた時、1週目に作った拠点を思い出し、「ここを開拓しても1週目と同じだ」と、正式リリース前に局所的な「慣れ」が生まれそうで中断した。スタート地点を1週目と変えたり、広大なマップの知らなかった洞窟を見つけたり等、新しい発見もあり2週目をした事自体に後悔は無かった。
Satisfactoryを一通り遊んで、現実の電柱や送電塔を見ると、現実世界の見え方が変わった。
例えば、送電塔は結構場所をとるので、土地の川沿いに沿うように配置されている点に感心したり、都心などでこんがらがりそうな複雑な配線をしてる電柱を見ると、「この工場長も配電に困ったのかな」と、不思議な親近感を感じるようになった。
「何言ってんだお前」と思われるかもしれないが、配線作業していると、きっとわかるようになるはずだ。
工場は人それぞれ。
真のエンドコンテンツ
「見た目の追求」
最後にSatisfactoryの「見た目の追求」という楽しみ方を紹介したい。例えば、この動画の海外ニキ(BLAndrew575氏)は2300時間以上プレイし芸術作品みたいな工場を建築している。凄い。

▲BLAndrew575氏の動画より。2300時間越えの狂気の一端
綺麗すぎる。大規模路線とか作ってるの本当に尊敬する。本当に同じゲームか?と感じる。
ここまで来て説明が遅くなってしまったが、このゲームは『Unreal Engine5』で作られており、レイトレーシング機能に対応したグラフィックボードを使っていれば、Lumen(ゲーム内だと「大域照明」)という非常に綺麗なライティングの工場を楽しめたりする。
Lumenの効果は有志による動画(TotalXclipse氏)を観てもらった方が話は早いだろう。

▲TotalXclipse氏のLumen紹介動画。綺麗過ぎる
照明やガラスが無い序盤は、画面が暗くなりがちになったり、PCによっては動作が重くなりすぎる事もあるので、あまりお勧めできない。
照明設備が作れる余裕が出てくる頃に大域照明オプションをONにして工場を巡ってみるのも一興だろう。自分はやはりこれがアーリーアクセスというのが信じられない。
Youtubeで「Satisfactory」で検索すると、こういった猛者や実況プレイヤーがゴロゴロといるので一度観てみるのもいいだろう。
新しい自分が見つかるかも。
買おう、Satisfactory。
Satisfactoryは正式リリースに伴い39.99ドルへ値上げとなる。しかし200時間楽しめたと考えると、2024年7月執筆時の為替レートで1日32円程度。麻薬の値段としては破格といえる。人によってはもっと安いかもしれない。
不安ならsteamのレビューを読んでから決めてもいい。プレイ時間100時間越えのプレイヤーがゴロゴロいる。一つだけ確かに言えるのは、セールが終わってしまった今でも買って損しない内容の、こんな名作をプレイしないというのは勿体ないという事だ。
買おう、Satisfactory。