クリアしたゲームの余韻に浸りながらキャッチーなレビューをお届けする『クリアの後で。』
第22回は架空のロンドンで起こる超能力殺人事件を解決していく推理ゲーム『StafferCase(ステッパーケース)』です!
※StafferCaseはステッパーケースと読めないと思われるかもしれませんが、公式がこの呼び方なので本記事でもそう呼ぶこととします。
あらすじ:超能力を使った殺人事件に1人の探偵が挑む
本作は住民の1割が超能力を持つ、1960年代のロンドンが舞台。超能力を持つ人間は『ステッパー』と呼ばれ、その危険度によって管理されています。
プレイヤーはマナ事件専任チームの新人捜査官『ノートリック・ケース』となり、超能力を悪用した難事件に挑みます。主人公は何の能力も持っていませんが、持ち前の推理力と超能力を持つ3人の仲間の助けを借りて事件の真実に迫る点が特徴です。
物語は全5章と2つのサブストーリーで構成されており、事件を解決する毎に仲間の過去やロンドンの真実が少しづつ明らかに。
普通の推理ゲームでは見たことのないような難事件を解決した先には衝撃の展開が待っています。
登場人物:個性豊かな4人の捜査チーム
本作は基本的に主人公を含めた4人チームで操作を行います。
各メンバーの能力は以下の通りです。
- ノートリック:主人公、超能力は使えないが人並外れた推理力を持つ
- レッドフィンズ:チーム長、触った物や人の記憶を読み取ることができる
- テナ:細かな振動を感知することができる、主に取り調べで活躍
- ブリアン:指紋や足跡などの痕跡を視覚的に見ることができる
各章ごとにメンバーの過去が少しづつ明らかになり、チームとしての魅力がどんどん増していきます。
開発規模的に推理ゲームとしての面白さのみ追及しているのかと思いましたが、ちゃんとメンバーにもフォーカスしており感心しました。
事件パート:超能力を使った唯一無二のトリック
事件パートは通常の推理アドベンチャーと同じくテキストを読み進めていき、証拠を集める時に超能力を使います。
『テナ』の振動感知は調書を取るときの心拍で真偽を聞き分け、『ブリアン』の痕跡感知はどれくらいの日数が経ったのかまで判別可能。
殺人方法も超能力を使ったもので現実ではありえない状態の死体や見ただけでは全く痕跡が無いように見える現場もあります。
超能力を持った物体や超能力が使える動物なども登場するので、普通の事件が物足りなくなった方にもオススメです。
推理パート:数ある資料の中から矛盾を見つけ犯人を暴け
事件パートで必要な証拠が集まると推理パートに移行。逆転裁判やダンガンロンパのように会話の内容や証拠の矛盾点を指摘し、物語の真相に迫ります。
推理の難易度はそこまで高くなく、ヒント機能もあるのでそこまで困ることはないでしょう。
しかし翻訳の表現が分かりずらい部分も目立ち、ミスリードを起こして推理が行き詰まることもありました。主人公の推理で結末が変わるため、間違った推理をして真相にたどり着けないことも。
とはいえ、普通では考えられないような超能力を使った事件をロジックで解決していくのが爽快で、次はどんな事件が待ってるのかワクワクしました。
スピンオフ:とある人物のその後を描いたもう1つの物語
現在本作のスピンオフ作品として『Staffer Reborn』が発売されています。
超能力により死と蘇生を繰り返す老人。
彼の身に起こった謎を解くため1人の探偵が彼の家を訪れる所から物語がスタート。推理の面白さは本編そのままに、生死のループを上手く使ったゲームシステムで謎を解き明かします。
この物語はある人物の本編終了後を描いているため、先にステッパーケースをクリアしておくのがおすすめです。値段も350円と超安く、本編が気に入った方は是非プレイしてみて下さい。
総評
『超能力x推理』というありそうでなかった組み合わせがとても新鮮でした。
ただ珍しいだけではなく、純粋な推理ゲームとしても破綻しない内容にまとめいてお見事。真実が全て幸せな結末に導くとは限らないというビターな展開も多く、まさに大人の推理ゲームでした。
物語は続編ありきの終わり方でしたが、お値段を考えると満足度は十分高いと言えます。普通の推理ゲームに飽きてしまった方も生粋のミステリー好きにもオススメできる秀作です。