訳が分からないけど面白いてんこ盛りオートチェス『The Last Flame』紹介

専門用語の多い作品に出会うと、イライラよりも期待してしまう。「もしかしたらトンデモないシナジーが生まれるカモ!」と勝手に思い込んで突撃して70%くらいの確率で挫折する。何の成果も得ていない。

理解すれば面白い作品。掘りつくしても微妙な作品。そもそも、面白さに到達する前に折れてしまう時もある。偶然が重なって面白い作品を掘り当てると嬉しくて、何か書きたいなと思って筆が歩きだす。

今回紹介する『The Last Flame』は、最初遊んだ時に面白さが分からなかった。評価は高いのに良さを見出せないのが悔しくて、数時間粘ってようやく魅力に気づけた。そんな人が書いた記事です。

ユニットを設置して自動でバチバチ殴り合わせるSLG

▲いつものヤツです

『The Last Flame』は任意のユニットをステージに設置して戦うオートチェス作品です。設置した後は自動で戦闘が始まり、プレイヤー側の干渉はできません。リソースは結構カツカツなので、シナジーを意識して無駄なく役割分担しないと即刻殺されます。

プレイヤーにできることは初期配置を工夫してヘイトコントロール(敵の攻撃を防御ユニットに集める)をおこなったり、道中で獲得できる『強化マス』を上手く活用する程度。アクション要素は何もないのでSLGが好きな方におすすめです。

▲人事を尽くして天命を待つ

肝となるのが、専門用語だらけのユニークスキルを持つ総勢50名超えのユニット。原則5名までしかキャラピックできないので、あーでもないこーでもないとシステムと向き合うことになりますが、ある種の醍醐味でもあるので笑って楽しみましょう。

ユニットを入れ替える機会も多く、序盤と終盤でメンバー総入れ替えも珍しくありません。また特定マスで発生する『スキル入れ替えイベント』を見越したピックも重要です。「この組み合わせクソ強いやん!」と気づいたときのアハ体験で筆者は7歳若返りました。

▲あーはいはいナルホド!さっぱり分からん!

またプレイヤーレベルが上がると、大量のコンテンツが一気に解放。右も左も分からないまま始めてようやく慣れてきた頃、ドバッと新要素が登場するので頻繁に知識のダムが崩壊します。理解がここまで追い付かないことあるんだなと思いました。

慣れるまでは『アタッカー』『タンク』『サポート』などのロールだけを見て判断するのがおすすめ。いかんせん用語が多すぎて何がどのような効果を持っているのか把握しにくので、思いつきでパーティを組むだけでも楽しかったりします。

▲カーソルを合わせると確認可能です

覚えきれないスキルと数えきれない装備。絶望しつつもその甲斐あってビルド要素を集めやすく、遊ぶたびに発見があってマンネリ化しにくいのも魅力。選択肢が多いゲームはこういうのあって良いですよね。

今作は全体像を把握するまで時間の掛かる作品なので、最初から根詰めないでテキトーに遊びましょう。「とりあえずクリティカル上げてみるか~」くらいの緩さで十分に楽しめると思います。

知っている知識で何となくビルドを組みながら独自要素を学び、徐々にビルドを広げていくのが醍醐味。3回くらい遊ぶと徐々に「あっ!The Last Flame!」となってくるのでご安心を。

初心者を置きざりにする魅力的な専門用語

▲知らない
▲専門用語が
▲多すぎる!!

心の中の米倉涼子さんもブチ切れております。クリティカルに全方位もクソもないし、エーテルダメージって言われても分からんし、そもそもオリジンってなんですか。もう少しこう手心というか……。

訳の分からない用語ほど専用ビルドを組むうえで重要なので、面白さに気づくと虜になっていると思います。学んだ知識がゲームプレイを向上させる体験って良いですよね。でも難しすぎだと思うよ、私。

▲一応ヘルプもある(難しい)

せっかくなので今作を語る上で外せない専門用語を4つほど紹介します。上手く組み込むとビルドの幅がグッと広がる面白い部分なので、これええなぁ~と妄想しながらお楽しみください。

【全方位クリティカル】
補助スキルにもクリティカルが発生

▲選ばれしユニットは初期状態から使える

全方向クリティカルを獲得すると『状態異常ダメ』や『回復効果』にもクリティカルが発生。おもにサポートユニットで運用する形となり、チーム全体が受けるクリティカルバフの恩恵をガッツリ受けられます。

状態異常の付与率にも波及するため『デバフビルド』にも使える有能なスキルです。「バフデバフや回復を活かすスキルか~なるほど上手い!」と思いました。一部のビルドで必須なのでおすすめです。

【エーテルダメージ】
特殊攻撃による専用ダメージソース

▲あまり見かけない独自要素かも

エーテルは装備やスキルの特殊攻撃によって生じるダメージ源です。物理と魔法以外に用意された火力装置といえますね。専用ユニットも大量に存在するので、敵を溶かすアタッカーとして機能させましょう。

物理や魔法と並行して火力を伸ばせるため、ビルドを組めるとダメージレースで優位に立てます。その反面、条件が揃わないとダメージが発生しないので、トリガーを揃えないと腐ってしまうのがネック。

【マナ/マナリジュネ】
スキル発動に必要なリソース

▲スキルのコストみたいなもの

マナはアクティブスキルの発動に必要なリソースです。MPみたいなものだと思ってください。魔法ユニット以外に物理ユニットでも必要なので、スキルをぶん回したい時に強化するのが吉。

マナの回復方法は2種類あって、通常攻撃を当てるor自然回復のいずれかになります。マナリジュネを上げるとモリモリ自動回復するので、ユニットによって使い分けるのが重要です。

【オリジン】
パーティ全体に波及する専用バフ

▲特化型から汎用型まで様々な恩恵を与える

オリジンはユニット全体に影響を与える専用バフです。焚火マスに到達すると一つだけ獲得できます。オリジンって名前なので、何らかの原種に相当する神様的な存在なのかもしれません。

状態異常バフやクリ率アップなど、狙ったビルドを組む上で必要不可欠な効果を持っているため吟味は必須。ユニット全体に恩恵を与えるため影響範囲が大きく、リロールしてでも粘る価値はあります。

HARF-WAY コマーシャル

オートチェスかと思ったらMMOだった

▲ハイ、ふぁっきゅー🖕

このゲームは各ユニットが役目に対して忠実なのが良い。火力装置と防衛装置が明確に分かれているので、チーム全体が噛み合わないと敵を倒す前に溶けてしまう。火力キャラを活かすキャラが必ず必要になる。

5名のユニットを意気揚々とピックしても、思い通りに機能せず「もしかしてクソゲーか…?」と錯覚することもしばしば。最初はホントに勝てなくて発狂しましたもん。専門用語が多すぎて良く分からないし。

ボコされ続けて悟ります。初期配置がめちゃくちゃ重要だなと。敵の攻撃を上手く散らす工夫が必要。紙耐久アタッカーを守る壁役が機能しないと終わるのでタンクの重要度が高い。最初に言ってくれ。

良く見るとシールドに関するスキルや装備品が潤沢に揃っており、バカ火力を出すだけのゲームではないと気づきます。気持ち良さ重視ではなく、MMOのようにロールを最適化して堅実に育てると上手く行く。

▲噛み合うと勝てます

それに加えてビルドの幅も広い。アタッカーといえど色々なタイプがいる。攻撃力を上げて万事解決とかではなく、状態異常や攻撃速度などの色味を付けていく過程がビルド構築心をくすぐってくる。

  • 攻撃と回復を牽引するサポ系
  • 魔力と混合ステータスになるハイブリッド系
  • 攻撃速度とクリティカルの特化系
  • デバフを撒き散らすデバッファー系
  • 攻撃力と攻撃速度で破壊する脳筋系

個人的に好きなユニットは『オラ』。アクティブスキルの発動条件になるマナが重くなるほど攻撃速度が上昇するので、平たく言えばクソ燃費になるほど強くなります。困ったら力で解決する脳金こそ至高です。

▲最大マナ増加でスキル回転率が低下するものの…
▲こういうのと組み合わせると…

もちろん、タンクやヒーラー等のサポートロールも充実。バブデバフ盛り盛りで試合を壊せます。総勢50名以上のユニットが居るからこそ為せる技。こんなん選択肢が多いほど面白いですからね。

  • スタンで妨害する高HPタンク
  • 回復するたびに火力が増すヒーラー
  • 攻撃を跳ね返す反射型タンク
  • 敵の状態異常を倍にするデバッファー
  • 味方をカチカチにするサポートタンク

個人的に好きなユニットは『ジアチ』。1人で硬くなって攻撃の一部を反射するスキルが強力で、シールド上昇率を上げる装備を付けるとカチカチになって荒らしてくれます。条件次第で一気に化けるタイプ。

▲みんな大好きダメージ反射タンク
▲シールドバフを掛けるユニットと合わせると…

ユニット固有の能力と後述する『レシピ装備』を組み合わせると、軸に沿った思い通りの運用が出来て面白いのよ。勝てる勝てないは置いといて、「こうやったら強いかも!」のワクワク感がずっとある。

上手く噛み合わないことも自分の経験値になるし、遊んでいる最中に新しい組み合わせに気付いて改良が加わることもある。各ユニットがしっかりと長所を持っているので縦掘りしやすく、別のユニットとの掛け合わせで真価を発揮する横掘りも楽しい。総じて遊び甲斐のあるゲームだと思う。

レシピガチャで脳を溶かそう

▲なんかいっぱいあります

ユニットの話が終わったので次は装備の話をしましょう。このゲームはとにかく装備の種類が多い。装備厳選が上手くいけば一人で全てを破壊する化け物も生み出せる。考えることがいっぱいあって幸せだ。

各ユニットは3つの基本スロットを持っており、武器を装備することでステ強化や固有能力を獲得できる。シールド量を増加させたり、状態異常を付与したり、装備一つで化けることも珍しくない。

▲ここでレシピが登場するってワケ

今作には『レシピ』と呼ばれる固有スキルの記された素材アイテムが用意されており、武具と合成してスキルを継承できます。つまり、レシピがあれば後付けでビルドを組めるので、割と融通も利きます。

レシピの良いところは、使いたいタイミングでリソースを使わず消費できる点。とりあえずピックだけしておいて、ユニットが揃ったら一気に付け替えることも可能です。この自由度が肝になる。

▲こんな感じでいつでも合成できます

序盤は単体で機能するシンプルなレシピで場を繋ぎ。戦力が揃ったタイミングで相乗効果を発揮する装備とすり替えてシナジーコンボを狙う感じ。この辺はデッキ構築ローグと通ずるモノがありそう。

レシピは単体で強いモノから相乗効果の高いコンボ系まで一通り揃っているため、リロールしまくってパチンコしましょう。アイテムロックもできるので、ゲームを知れば知るほど面白くなってきます。

▲HP的な役目のリソースを払うとリロール可能

さらにもう一つ。各ユニットは固有スキルのほかに汎用スキルを獲得できるため、上手く重ねると相乗効果を狙えます。どうでしょうか、覚えることがいっぱいあって最高ですよね。皆で苦しみましょう。

戦闘で勝利した際に受け取れるポイントを消費してユニットを強化すると、ステータス強化や追加スキルがもらえます。死んでるスキルから神スキルまで豊富に用意されており、特定マスで交換も可能です。

▲パッシブスキル交換は超重要です

ユニット選びだけじゃない。全部が上手く噛み合った時にシナジーが生まれるんです。選択肢が多いからこそ戦略性も広がって、掘ろうと思えばいくらでもやれます。だからこそ難しいんですけどね。

デメリット効果付きのスキルも多いので、パーツが揃ったときにババっと付与して強化できるのが地味に嬉しい。フロントロードとスケーリング。この言葉にビビっと来た人は買っても後悔しませんよ。

壊すなら、きっと今だ

だら~っと書きましたが、ビルド構築が好きな方ならオートチェスを知らない人でも楽しめます。ちなみに筆者はそのタイプで、最初は良く分からなくて苦しみましたが予想より面白くて嬉しい誤算でした。

この記事を書かせるだけの面白さがあったことは紛れもない事実なので、あれこれシナジーを考えるのが好きな人は触って欲しいなぁ~と思います。ぶっ壊れユニットを作って環境を破壊しましょう。

チャレンジモードも豊富に用意されているので、特殊なシチュエーションでの戦闘も充実しています。誰でも楽しめるゲームとはいえませんが、ここまで読んでくれた方には確実におすすめできる作品です。

〈詳細情報〉

ゲーム名The Last Flame
ジャンルオートチェス
ストア価格2,380円
リリース日2025年1月10日
最新情報をチェックしよう!