※本記事は、PCOT、XUnity.AutoTranslatorといった自動翻訳ツールなどを使用して遊んだ体験に基づいて書かれています。
初めてゲームで”選択”を意識したのは、ポケモンで最初の一匹を選ぶ瞬間だ。
あの選択がなぜ印象深いのか。思うに、三者択一だったからだろう。ヒトカゲを選ぶなら、ゼニガメやフシギダネを諦めることになる。だからこそ最初のポケモンは特別で、プレイヤー独自の体験ってやつの片鱗を感じたのかもしれない。
それがきっかけか、もしくは人生における選択をことごとく間違えているからか、気づけば選択を重視するゲームばかり好んで遊ぶようになっている。
今回紹介する『The Life and Suffering of Sir Brante』もまたそのひとつ。選択の積み重ねがひとつの人生を形成する物語主導のRPGだ。シビアな選択を味わいたいプレイヤーに刺さる作品なので、気になったらぜひ遊んでほしい。
クソったれな社会を生き抜け
『The Life and Suffering of Sir Brante』は貴族による圧政が敷かれた中世風の世界が舞台だ。プレイヤーはブランテ家の次男として、出生から様々な場面でどう行動をするのかを決断し、人生、家族、ときに社会全体の運命を左右する。
プレイヤーを待ち受けるのは苦しい社会だ。
庶民にとって生活基盤となる経典や社会規範は、理不尽極まりない。多くは単純な仕事しかさせてもらえず、奴隷の如き扱いを受ける。貴族は庶民を心から見下しており、主人公も例外ではない。
貴族である義兄にイジメられても実母は助けてくれず、むしろ受け入れろと説かれる始末だ。
身を切るか、信念を曲げるのか。
本作ではどんな決断にも代償が伴う。
中でもよくできているのは、思い切った決断には意志力、時として命(3回までは蘇生可能)を消費せねばならないことだ。自己犠牲にも限度があり、英雄的な行動を取り続けることはできない。
どのタイミングで身を切るのか。信念とリソースを天秤にかけ、落とし所を探らねばならない。
ここは譲れない、と人を助ける。すると後に大きな恩恵につながることもある。逆にこの程度の悪行なら見逃していいだろうと諦めれば、後に思った以上のしっぺ返しを食らうことも。どんな決断にもシワ寄せが必ず起きる。
拓ける可能性と閉じゆく可能性
プレイヤーの決断は主人公の成長にも影響する。
例えば、幼少期から肝の座った行動をしていると、「勇猛さ」のステータスが高い人物へ成長する。ステータスに限った話ではなく、周りの人々の好感度、社会情勢によって取れる選択や起きる出来事が決まる。
逆にいえば、成長するほど選べない選択も増える。私は1回目のプレイで好感度を重視し、周りの人に好かれる選択を中心に選んでいた。結果として、友人や家族からは好かれる反面、外交力や勇猛さが足りない無能裁判官に成長してしまった。
超シンプルだけれど、このキャラクタービルディングが気に入っている。
冒頭でポケモンの話をしたが、ああいった序盤に重要な選択を迫る構図は少し理不尽だ。
例えば、『チコリータ』を選んだら超苦しむハメになったり、ヒコザル一匹だけで最後まで無双できたり、プレイヤーそれぞれの体験が特別な思い出になるかもしれないが、判断材料のない最序盤でその選択をさせるのは理不尽だ。
少し前にプレイした『The Cosmic Wheel Sisterhood』では、序盤に魔女としての力を得る代わりに、寿命、所属するコミュニティ、愛する命、どれかを犠牲にせよと選択を迫ってくる。
ゲームの進行と共に、プレイヤーはキャラクターに愛着を持っていく。そして最終盤でその犠牲を払わせる。これは『プレイヤーの後悔や喪失感を爆発させる』仕組みといえるだろう。
しかし『The Cosmic Wheel Sisterhood』の場合、主人公のことも、コミュニティのことも、世界のこともあまりわからない序盤に、とりあえず選ばされた選択である。それは私の判断だという感覚が薄く、代償を払おうと涙する主人公と私との間で感情の乖離が起きてしまった。
一方の今作は、出生から世界観を理解しつつ、プレイヤーの一つ一つの決断によって徐々に道が狭まっていく。「私の判断で積み重ねた決断がこの結果を招いた」という実感を間違いなくもたらすだろう。まぁ、その代わりに世界そのものが理不尽であるが。
日本語は未対応!だが…
残念なことに2024年2月時点においては、本作は日本語に対応していない。
本記事も、『xunityautotranslator』、『PCOT』といった自動翻訳ツールで遊んだ体験に基づいて書かれている。
流石に自動翻訳を使ってでも遊べとは言わないが、ダイアル形式のテキストアドベンチャーということもあり、自分のペースで読み進められて相性がいいので気になるならやってみてほしい。
↓どうやら、有志による日本語訳が制作されているみたい。そちらも要チェック!
Suzerain、Where the Water Tastes Like Wineに続く、テキストヘビー第3弾、The Life and Suffering of Sir Brante(約43万ワード)がやっと残り3000ラインを切りました。(でも、まだ残り8万ワード以上ある…)
— ブリッツ (@blizcavalier) December 26, 2023
もう足掛け1年半はやってるよ、いつ完成するのやら…https://t.co/MPFyr7iS9P
ウィッシュリスト登録数で売り上げを逆算して日本語追加は検討される、とHARF-WAYの運営者が言っていたので入れるだけ損なしだ。本作に限らず、ガンガン入れまくってウィッシュリストをパンパンにしよう。