「50%で成功」は大体3回以上外れると思う『Unfair Flips』

今日は何もしない方が良さそうと思い立ち、お気に入りのカフェに行って生産性のかけらもない日記を書いている。紹介記事を書いたり、SNSで発信するゲームを探したり、やった方が良いことには布をかけてきた。「馬鹿のフリして全部忘れる」は最強スキルなので積極的に使った方が良い。

昼食を店で食べると地味に高くつくので、近所のパン屋で見切り品を買う。あんパン、クリームパン、ソーセージロール。どれも120円。自宅からの徒歩圏内にパン屋があるだけで人生の幸福度がバカ上がりするので覚えておいて欲しい。パンに貪りつき、電車を乗り過ごす午後2時14分。

カフェに着いてポメラ(デジタルメモ帳)を開く。最後に日記を書いたのは22日前。「期間空きすぎ!」と思う人もいるかもしれないけど、個人的にはまぁまぁ最近だと思っている。毎日書ける人は日記エリートだ。最後の日記には25時22分に「寝れない」というタイトルで書かれていた。

「トミオフクダのホットです」という声を聞き、キーボードから手を離して店員に会釈する。良く分からない銘柄を注文すると、数ミリだけ玄人感を出せて愉悦に浸れるからおすすめだ。しょうもないけど誰にも迷惑を掛けず自分の機嫌を取れる方法が多いほど、人生は豊かになると言い聞かせてコーヒーを啜る。

やらなくてもいいことでエンジンを温めると、やらなきゃいけないことにも火が付く。嬉しい誤算だ。うだうだと書いた日記に名前を付けて保存し、ちょっとだけ仕事に着手する。急に生産性が顔を覗かせてゲンナリしたけど、筆が乗った瞬間に書き上げないと一生やらないから背に腹は代えられない。

自分なりに設定している「ここまで足場を作れば書ける」ボーダーラインを越えたので、ホッと一息ついて日記に戻る。このまま最後まで書いたら仕事しに来たことになる。それはちょっと許せない。お金を頂く文章と、小学生の絵日記みたいな文章。交互に見ていると整いそうだった。


家を出る直前、コインを投げて表を10回連続で出すまで終わらないゲームを遊んでいた。他にやることはいくらでもあるのにだ。しかも、表の出る確率が20%しかなく理不尽極まりない。アップグレードの都合で最初は低いのも分かるんだけど、俺はなんでこんなゲームに時間を使っているんだと悲しくなってしまった。

数秒おきにFlipを押す。かれこれ1,000回は押している。何が楽しいんだと思いつつ、なんとなく、ずるずると、コインが宙に舞う姿を眺めている。気づけば表の出る確率も50%に到達し、3回に1回くらいは表が出るようになった(50%って実際そんなもんだと思う)。

表を出した時にもらえる微々たるお金でアップグレードを進めると、獲得金額アップや演出の短縮といった恩恵を得られる。振り直し等のイカサマは一切できない。硬派というか、なんというか、どこまで行ってもコインフリップしかできない姿勢に何故か惹かれていた。でも、買わない方が良い。

精神的な疲れを感じているのか、ここ最近は何もする気が起きなかった。正確にいうと、「頭が回らない」の方が近いかもしれない。少なからず、くるくると回るコインを眺めて一喜一憂して記事書いちゃう程度には沈んでいる。経験上、「何が楽しいんだよコレ」に対して邪念がよぎるときは黄色信号であることが多い。

Twitterに自我を出すと怒られそうなので、ゲームと絡めてエッセイ風に書けば許されると思い立って記事を書いている。元々はゆるめの質感でメディア活動をしていたものの、ここ最近は真面目過ぎるよな~と危機感を感じてやるせない。運営を続けるために当たり前のことだとは思うけど、ガス抜きが下手すぎる。

逆に考えると、80%で成功するのも理不尽だよなと思う。ほかのことをやる必要がないから逃れようがない。後先考えない超絶ド級アウトローな人は違うかもしれないけど、一生擦り続ける人が大半ではないだろうか。自分なら茹でガエルになるまで抜け出せない。

サラリーマンを辞めて自力で生活することは、コインの表を出し続けるようなものだ。どれだけ実力があっても死ぬときは死ぬし、どれだけポンコツでも運が良ければ死ぬことはない。実力が何を差すのかは人それぞれだと思うけど、コンテンツの面白さで自分がここまで来た訳ではないことは確かだ。

超気合いを入れて週に2本記事を書くよりも、毎日2本の動画を公開することが求められている。読み手が全員そう思っているわけではないとしても、目に見える形で数字的な優先度がでかでかと貼り出される。毒にも薬にもならない一人日記だったのに、いまでは他人様からお金を頂戴できるメディアになったらしい。

やぶから棒にいえば、70%で表が出ることばかりしている。とても嫌な言い方をすると、うっすら正解と書かれた道をひたすら歩いている感じ。まわりは新宿ゴールデン街みたいなギラギラした光色が並び、お金の匂いが漂っている。なんかメディアって感じ。

何だかんだで、50%(3回に1回勝てるくらい)が丁度良いのかもしれない。通算するとちょっぴり負け越しくらいの人生が一番充実してるんじゃないかな~と思ったりする。嘆きがスパイスになって、しょうもない幸福が愛おしいと思えるから。

どれだけ失敗しても続けていれば10回勝つこともある。人生には上振れも下振れも必要な気がする。私は『Unfair Flips』で続けることの意義を学んだ……。みたいな高尚なことは一切思ってないけど、オチってこんな感じの方が締まりよさそうだからこれで終わり。


振り返ると、記事を書くのが一番好きなんだなと思う。上手いとか下手とかは置いといて、自分なりに考えて言葉を咀嚼して、誰にでも見える形で残すことが想像以上に自分の根底を支えている気がする。上手く書けたときに喜んで、下手くそな文章を見て凹んで、そんなありきたりな人生が一番好きなんだなと。

この記事を公開してプラスに働くことはないと思う。なんなら「大丈夫かコイツ…」と思われてマイナスに働く可能性の方が高い。コイントスだけのゲームを遊んで日記を書いてる人間に、信頼性や権威性なんて微塵も感じないでしょ。でも書きたいから書いちゃった。

メディア人である以前に人である。たまにはクソの役にも立たない記事を書いても良いのではと思ったりする。自分が読みたいのは「近所のパン屋でめちゃくちゃ安くて美味いパン売ってるんだけど!幸せすぎる!」みたいな記事なんだなと分かった。

この記事はコイントスの裏になるだろう。だからこそ、次に表を引いたときに喜べる。人生に特別なことなんて早々起きないんだから、ちょっとでも豊かになれるよう努力したい。「50%で上手くいく」。これは上手く生きるコツなのかもしれないと思った。

〈詳細情報〉

ゲーム名Unfair Flips
ジャンルギャンブル
ストア価格235円
リリース日2025年9月25日
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