『VIVIDLOPE』は、ステージを歩いて塗りつぶすパズルアクションです。
塗布率が80%に到達すると、一度塗った場所を通らず残りを塗る『一筆書きパズルモード』に変化します。
〈Twitterポストの動画〉
めちゃくちゃ面白いパズルアクション見つけました。歩きながら足場を塗りつぶすゲームで、アイデアも挙動も音作りも全部気持ち良い。
— 『HARF-WAY』の中の人 (@harf_way) January 5, 2025
塗布率80%でボーナスステージに突入して、一度塗った場所を歩かないように全箇所を塗れるとスコアがアップ。ずっとできる。
『VIVIDLOPE』https://t.co/VytSwVo3XX pic.twitter.com/HwF9FIQdIE
テキストだけを見ると普通のゲームに思うかもしれませんが、プレイヤーを楽しめませる仕掛けがみっちり詰まってて感心しました。塗布率80%でクリア扱いになる理由も遊ぶと分かります。
動画を見てもらえば分かるとおり、これって平面じゃなくて立体型ステージなんですよ。見た目がイケてるとかじゃなくて、これも意味があってこうしてることに気づきます。詳しくは後述。

▲かわいい
まぁ小難しい部分は置いときましょう。見た目が可愛くてアイディアもレスポンスも良いので、ぼけーと無心で楽しめます。
価格は定価で1,200円。セールで1,000円切るので価格帯も良心的です。
ストーリーもあるので区切りも付けやすく、飽きたら『無限モード』でひたすら潜るのもおすすめ。
ガッチガチの一筆パズルではなくて、ジャンプやアイテム攻撃でギミックを切り抜ける場面が多いので、アクション寄りだと思いました。
〈詳細情報〉
ゲーム名 | VIVIDLOPE |
ジャンル | パズルアクション |
ストア価格 | 1,200円 |
リリース日 | 2023年5月20日 |
立体化の恩恵は『アドリブ』と『画面映え』

▲ペラペラなのに厚みがあってカッコ良い
将棋盤を思い浮かべてください。「9×9のマス目をキャラを動かして全部埋めてください」といわれても、そこまで難しくないと思います。
盤面全体が見下ろせて通るべき道が事前に分かっていれば、ルート選択の悩みや葛藤もなくなって平坦な印象を与えます。工夫も何もなくステージを歩くだけのゲームに魅力を見出すのは難しいですよね。
そこで立体化の出番です。先ほどの将棋盤をサイコロ状にして考えて見ましょう。立体型にすると視界に入る箇所と死角になる場所が生まれます。言葉を換えると、一部の盤面が把握できなくなるんです。

▲立方体ステージ
予測が立てられないからこそ動きにバラツキが生まれ、ステージを回りながら全容を把握する必要がでてきます。道中で敵の攻撃やトラップの妨害で進路もズレるので、意図しない限りは同じ動きになりません。
つまり、立体化で死角が生まれて全体が俯瞰できないのでパズルの解法が不確かになり、アドリブを要するパズルに変化しているんです。
従来のパズルは手を動かす前に考えますが、今作は手を動かしながらアドリブで対応する形になります。

▲敵の攻撃も激しいのでアドリブ必須
また立体構造の副産物として、ステージ全体を映す必要がなくなって自機と足場がデカく見えます。必要な場所だけ見えて画面映えするので、操作キャラが豆粒になって見えずらくなることもありません。
立体化によって「アドリブを使わせる」「自機とステージを映えさせる」が両立するんです。これがシレンみたいなダンジョン形式だったらマップを埋めるだけの作業ゲーになっていたと思います。
立体構造にすることでゲーム体験が変わるんだな~と気付いたときには感動しましたね。
塗布率80%クリアで遊び方が『生えてくる』

▲ゲーム性がガラッと変わる
冒頭でちろっと話しましたが、今作は踏破率80%でクリア扱いになります。残りの20%は『ボーナス扱い』となり、「一度通った足場を使わずに残りを塗る」チャレンジモードに移行。
なので2つのゲーム性を持っています。
①80%まで:敵の攻撃を避けながらステージを塗る
「プラットフォーム要素」
②80%以降:一筆書きで完成する足場を構築する
「パズル要素」
①だけだとパズルではなくて単調なアクションゲームになりますし、②だけにすると妨害ギミックが多すぎて思うように進めずパズルギミックが崩壊します。二つの性質をバランス良く混ぜることで、先の見えない立体型ステージの良さがフルに発揮されてるんです。

l▲一定数のマスを二度踏みすると強制終了
プレイヤーは敵の攻撃を避けながらステージを突破するパズルアクションで基礎を固めつつ、慣れてきた頃に一筆パズルの存在がチラつくようになり遊び方が拡張されていく。ふ…ふつくしすぎる!!
80%のボーダーラインも絶妙。90%だとミスが目立つし、70%だと一筆書き要素が多すぎて疲れる。
多少のミスが許されて程よく足場を設計できる80%なのがプレイヤー目線で良いなって思います。

▲上手く一筆スペースを残せるとキマります
もちろん敵の妨害もあるので思うようにはいきませんが、その塩梅もリカバリーが効く程度に調整されているので、ストレスを極力おさえつつ難しさを堪能できるのもポイントです。
またボーナスラウンドは体力の分だけ二度踏みが許されるため、ガッチガチに一筆パズルが完成しなくても許容されます。雑でも問題ありません。
なんとなくこんな感じで動けたらいいな~くらいの動き方でも何とかなるので、テキトーでも良い感じに手の平で転がしてくれますよ。
『ジャンプ』で上手ぶれる

▲一筆書き失敗……?
『アクションパズル』と『一筆パズル』。2つの遊び方が楽しめるとはいえ、両立させるのは至難の業。「誰でも簡単に遊べます♪」とはいえません。
一度通った道が邪魔で一筆書きが完成しないこともしばしば。伝統的なギミックなので頭も使います。
そこで救世主となるのがジャンプなんです。

▲多少ガバってもリカバリー可能ッ!!
効果は1マス飛び越えて動けるだけで特色もないものの、一筆書きパズルにおいては神機能。これを使うと足場設計にミスっても誤魔化しが効くので、100%踏破が現実的に狙えます。
ジャンプは当然ながら敵の攻撃や罠の回避にも使えます。一つのシステムが『攻撃を避ける』と『一筆書き補助』として機能するため、操作を覚える学習コストが少ないんです。「それだけ?」と思うかもしれませんが、自分は天才だなと思いました。

▲トラップ避けたり

▲敵倒したり
ここまで読んで「面白そうだけどなんか難しそう」と思いませんでしたか?
今作を天才だと思った理由は、難しそうだけど実は移動とジャンプしか操作がないからです。想像よりも動けて上手ぶれるのが今作の良いところ。

▲難しいけど誤魔化しも効きやすい
ガッチガチのパズルは疲れるから遊びたくないけど、ちょっと頭を捻るような閃き要素も欲しい。そんな人って結構居ると思います。自分はそのタイプでパズル風アクションが結構好きです。
「天才じゃん俺!」ってなりたいじゃないですか。
『VIVIDLOPE』は気難しいパズルのハードルを『ジャンプ』一つで上手いこと下げてくれるので、頑張ればクリアできる余地を与えてくれます。Sランクを取るのは流石に苦労しますが、普通に遊ぶだけで上手ぶれるので最高に気分が良いんです。
総評:素材に頼らないアイデア光るパズル作品

▲自己肯定感も爆上がり
最初こそ『XI』みたいだな~としか思わなかったんですが、ペラい自キャラを活かした立体化ステージや、超便利なジャンプで突破できる一筆書きパズルなどの独自性も高くて大満足でした。
瞬発力重視のパズルアクションが好きな人はツボにはまると思います。ストーリーもサバイバルもあるので、気が向いた時に遊べるのもグッド。あの頃のゲームが好きな人はぜひ遊んでみてください。