ここ最近、シミュレーター系のゲームがずっと流行っている気がする。今回紹介するゲームもそう。平和にパンケーキを焼いて、ハンバーガーを作って、お客さんからお金を受け取って。
世界の終わりを待ちながら、それでもお客さんに料理を提供する。『While We Wait Here(ここで待つ間に)』はそんなゲーム。
それでいいんです、だってこのダイナーは「人生最後のお客さんに温かい食事を提供する」場所だから。
ん?「人生最後」……?ハイ、購入決定。ストアページにすごく気になるおじさまもいるし。
終末世界、最後の食事、そしてサイコホラーへ

今作は序盤の選択肢で、クリフ(夫)かノラ(妻)のどちらかを選択して操作することになる。お客さんやパートナーとの会話で、その後の展開も変わっていき、主人公に委ねられた選択肢がそのままエンディングに関わってくるようだ。
言われるがままに料理を作っていると、常連のおじいさんや、電波男が来店する。「映画が決まったの!」と喜ぶ地元の女優も来る。そんな女優と不倫関係があるのに、奥さんと子どもを連れて来店してしまったお父さんも……。

様々な人間ドラマが描かれる中、せっせと働く主人公は頻繁に意識を手放してしまう。どうやら調子が悪いようだ。大災害なんてみんな気にしてないのに、自分にだけ見えているような……。
お客さん側に視点が切り替わり、過去のトラウマを見せつけられたりしながら、あなたはハンバーガーを作り続ける。このゲームはそんなお話。
登場人物全員おかしくない?

彼の名前はエディ。頭に被ったアルミホイルがスライムにしか見えない。一番わかりやすい『変なやつ』で、私は大好きだ。
仕事はしておらず、何かに「追われている」らしい。母親からせびったお金もオモチャに使ってしまう。
もちろん彼以外も全員どこかおかしい。それは世界が崩壊するくらいの大災害が起きているからなのか、元々このダイナーの客層がそうだったのか……。
彼を含め、お客さんたちは主人公に対して、「自分の行いは間違っているのだろうか。どうしたらいいと思う?」と質問を投げ掛けてくる。
エディは確かに『変なやつ』だけど、少なくとも酒で暴れるようなヤツではない。お前はヒーローだよ、と私は伝えてあげた。
他のお客さんは、ひき逃げしてたり不倫してたり、なんなら主人公のパートナーも怪しい。これはそう、きっと、全部大災害のせい。
綺麗に訳された汚い日本語!

「くそサムい家族の団らんを邪魔して悪いな。」
「おいクソ野郎。わしが話してるのかわからんのか?うちの家畜だってあいつよりは礼儀正しいぞ。」
音声は英語で字幕は自分で選べる。文字サイズも調整できるので今回は大きめにした。あちこちに散らばるFワードが聞き取れて少し嬉しい。
客として来ている女優も、「あいつとんだゲス野郎ね。」と声に出してくれるので、スッキリするセリフが多くて素敵だった。
浮気カーセックスしている車をベコベコにするのも気持ち良い。ミラーもトランクも窓も全部ヤッちまおう!

平和なダイナーと群像劇、そしてやっぱり悪いお口が好き

個性的な登場人物、ダイナーで起きる人間ドラマ。そして視点が切り替わり、お客さんたちの過去も語られる。「俺は昔こうだったから、今こんなんになっちまったんだ!」がわかる。だからといって店員に汚い言葉を浴びせていいわけではない。銃も下ろしてくれ。
でもこの汚い言葉のおかげで、このゲームの魅力が増している気がする。口汚く罵り合う客を止めても、結局店員が損をするし、特に解決もしない。
それから、オプションがやけに豊富なのがすごい。試しにピクセレーション強度を下げると先ほどの画像くらい荒くなる。この懐かしい感じが好きな方も多いのではないだろうか。
群像劇を楽しみたいあなたへ
明確な答えがあるゲームではないし、がっつりホラーというわけでもないため、物足りなさを感じる方もいると思う。
でも私は、彼らの過去や経験を見て、じゃあ今こうなるのも仕方ないのかもね、と納得できた。どろどろした人間模様が描かれるエンディングはとても好みで、「あっそれもしかして…」とこちらの想像を掻き立てる。どの選択肢も間違っていないし、間違っている気がする。人生って感じだ。
1周2時間かからない程度のゲームでフルボイス。たくさんのお客さんの過去を覗いて¥580なら、損はないように思えた。考察系の話しが好きな方は更にハマれるのではないだろうか。
もし気になったら是非steamのストアページを覗いてみてほしい。
そして共に、アルミホイルを巻こう!
〈詳細情報〉
ゲーム名 | While We Wait Here |
ジャンル | 探索ADV |
ストア価格 | 580円 |
リリース日 | 2024年10月24日 |