【第三回】ちょっとしか入ってなかったエスプレッソとふわふわカプチーノ【コーヒーとゲームを考える】

始まりました。
第三回目のコーヒーとゲームを考える。

突然ですが皆さん。
エスプレッソはご存じでしょうか?????

私も何となくしか知らないのと、
昔スターバックスで学生の時に初めて頼んで、こんな苦い体験をしております。

▲漫画とイラスト:仙幸(せんこ)さん

私は男で女子高生ではなかったのですが、昔スターバックスでこんな感じの体験をしました。(笑)

私や間違えて頼むかわいそうなJKを見かねてか、最近スターバックスに行ったらエスプレッソ単体がメニュー表に載っておらず、店員さんに「エスプレッソないんですか?」と言っても「このメニューには全部エスプレッソが入ってますけど・・・・・・」とカフェラテやカプチーノのとこを指さされる始末。

「エスプレッソ、もうなくなったのか・・・」と思っていましたが、どうやら対応してくれた店員さんが新人さんだったみたいで、後ろからベテラン店員さんが「エスプレッソあります!」とエスプレッソを淹れてくれました。

▲ベテラン店員さんがスッと淹れてくれたエスプレッソ。

エスプレッソって若い時は、「なんでちょっとしか入ってないねん!!」とキレたくなりますが、年齢を重ねるごとに逆にかっこいいと思える飲み物に自分の中でなってきました。

旅先の、ホテルのバイキングでエスプレッソがあったりしたら飲んだり、イタリア料理のお店に行ったときにエスプレッソがあればデザートと一緒に頼んで飲んだりもします。

「「エスプレッソを知らないなんて、まだまだ若いな嬢ちゃん」」

そんなことを、あのときスターバックスで対応してくれた新人の女の子に思いながらも、私もまだまだエスプレッソが何なのかをいまいち分かってません(笑)

そもそもエスプレッソ、日本ではマイナーすぎてエスプレッソだけ飲めるお店もそんなにないし、エスプレッソ専門のお店なんかも調べたけど全然でてこない。

けど皆さん。奇跡的に私が住んでる兵庫県の神戸市にはエスプレッソ専門店がございまして・・・・・

この『コーヒーとゲームを考える』を連載するにあたり、取材するまでは行かないでおこうと決めたお店に今回は訪れようと思います!!

そんなわけで兵庫県神戸市の中心街である三宮にやってきました。

阪急神戸三宮駅から西に線路沿いに進んでいくと、「高架下」という線路の下に商店街のような場所が見えてくるので、そこに向かって進んでいきます。

「ピアザkobe」
ここに目的の場所があります。

高架下を歩いていくと・・・・・

はい!そんなわけで、今回イタリアーノエスプレッソの店主佐藤さんにエスプレッソについてお話を伺うことになりました!!

早速佐藤さん。韓国から来られたカップルにめちゃくちゃ美味しそうなカプチーノを淹れてます。

(ミルクの泡がふわふわ・・・・)

口に泡をつけて、めちゃくちゃ美味しそうな表情を浮かべて飲まれている様子を見て嬉しそうな佐藤さん。

その後、韓国人カップルがイタリア式エスプレッソを堪能されたタイミングで、早速佐藤さんにお話を伺いに行きます!

まず最初に、私がスターバックスでちょっとしか入ってないエスプレッソを初めて飲んだ話をしたところ・・・・・

「ダメダメダメ!スターバックスでエスプレッソは飲んじゃダメ」

「私の意見なので全然書いてくれていいけど、スターバックスの機械はエスプレッソじゃない。圧力のかけかたが全然違う。」

といきなり、スターバックスの痛烈批判からはじまりました(笑)

それとなぜエスプレッソがちょっとしか入ってないのかも、お伺いしたしたのですが
「それはイタリアのカルチャーだからね」と返されてハッキリとは分かりませんでした。
(ただ、この記事を読んでる皆さま。取材中にちょっとしか入ってない理由の手がかりになる出来事が偶然起こりますので、ぜひ最後まで読み進めてください)

「とりあえず、エスプレッソ飲んでみる?」
ということでエスプレッソを淹れてもらうことに。

(ちなみにエスプレッソ200円です。安い・・・・・)

淹れてもらってる最中になぜエスプレッソのお店をやることにしたのかをお伺いしました。

「43年前。20歳になるときにイタリアに行って、エスプレッソを飲んだの。けどエスプレッソはそれほど美味しくなかった気がするの」

「はいはい」

「けど、そのあとカプチーノも飲んだんだけど、カプチーノにびっくりした。ミルクのこんなにも美味いものがあるのかと」

私は当時のことをよく知らないのですが、1980年代ごろに日本でイタリアブームがあったみたいで、佐藤さんもよくイタリア旅行に行っていたそうです。

「じゃあイタリアに行ってそのまま自分でもお店をやろうってなったんですか?」

「簡単にはいかないね~。このお店をこの場所ではじめて今10年目。」

「50になった時にね、あるきっかけがあって、よしじゃあもうエスプレッソやろうと。」

もっと昔からやってるものだと勝手に思ってたのですが、そういうわけではなく

どうやら移転などもあったりして13年ぐらい前からエスプレッソのお店をはじめたそうです。そして50歳の時にいったい何があったんだ・・・・と考えていたら

「きっかけは三回目のクビね」

と、サラッと理由を言ってくれました・・・・(笑)
「3回目のクビになったときに、もういいや自分の好きなことをしよう!」となったみたいで。
それで神戸の高架下でエスプレッソのお店を始めたら、何とまあ世界中から佐藤さんのエスプレッソを飲みに来るように!?

エスプレッソを淹れる前に見せてくれたゲストブック。
11冊あるらしい。

セルビアのチップも貼ってある(笑)

なんでもこの神戸の高架下が東京で言うアメ横みたいな場所で、世界中から観光客が訪れるそうです。(神戸に住んでるけど、知りませんでした・・・・・)
それで、お店をはじめたての頃たまたま通りかかった、ロシア人とアメリカ人のYoutuber?の目に佐藤さんのエスプレッソのお店が目に留まり、5,000人ぐらいが見ていたライブ配信で佐藤さんのお店を紹介してくれたそうです。

そのあとも中国の方が、SNSで拡散してくださったりと、世界中から佐藤さんのエスプレッソを飲みにくるようになり今に至るとのこと。

エスプレッソの本場イタリアの方からもbuonissimo (ブオニッシモ)=「最高に美味しい!」と評価してもらえたみたいです。

じゃあなんで佐藤さんが淹れるエスプレッソはなんでそんなに評価されてるの?と思ったのですが、エスプレッソのお店をやる前の前職の話で、非常に興味深い話が。

「昔ね、船のボイラーに関係してたんで。船のスチームエンジン。その機械を仕事で見た時に
これはエスプレッソだなと思った(笑)」

「ボイラーでエスプレッソを感じた?(笑)」

「感じた!間違いない」

佐藤さん曰く、エスプレッソと船のボイラーは一緒みたいで(笑)そんなの初耳だったので衝撃でした。でもエスプレッソマシーンは蒸気の時代に発明された技術を応用してつくられており、船も蒸気の力で動いていて、エスプレッソマシーンも蒸気を使ってコーヒーを淹れるから、あながち間違いではないと思います。

確かに船を動かしそうな見た目をしてるような
してないような・・・・

船とエスプレッソ。これをもっと調べていけばなにかゲームを作るうえで役に立ちそう。

そんな世にも珍しい、元船のボイラーが淹れたエスプレッソを早速いただきます。

やはりちょっとしか入ってないので、
心して飲まなければ・・・・

蒸気を感じる!!

今までエスプレッソと言ったら苦い飲み物で、その苦みを楽しむものだと私は思っていました。

けど、このエスプレッソは全然違う!!

コーヒーの苦みがあるだけじゃなく、その中に今まで飲んで感じたことがなかった蒸気がうまいこと閉じ込められており、「苦いだけじゃない」透き通った味を生んでいたのです。

私なぜかこのエスプレッソを飲んでから、記憶の片隅に眠って忘れ去らていた、スチームボーイ(AKIRAの原作者大友克洋が監督した映画)がずっと頭の中で飛び回るぐらいにこのエスプレッソには衝撃を受けました。

エスプレッソすげえ・・・・・

蒸気の力すげえ・・・・・

なんかすごいエスプレッソに出会ってしまったなあと衝撃を受けていたところ、商店街の別の場所で働いている常連さんのお兄さんがやってきました。

「いつものやつ」というお兄さん。

「いつものやつってなんだよ!(笑)」と聞き返す佐藤さん。和気あいあいと商店街らしい会話が続きます。

そして、その後も同じ商店街の別の場所で働く女の人がカプチーノを頼みに。
「後で持っていくね~」
と言った後
なぜかお湯をサービスで先に渡していました。(何に使うのかはすいません。聞きそびれました。)

エスプレッソマシーンのお湯が出る給湯ノズルから
お湯を淹れてました

「常連さんにはお湯をサービスで渡してるのよ」

お湯をサービス??????

となったのですが、

「このマシーンだとすぐお湯を淹れれるからね」

そう。この技術にエスプレッソの面白さがあるなあと今回の取材を通して分かったのですが、そもそもエスプレッソとは「急行」という意味で、その昔コーヒーを早く飲めないかと考えた人々によって生み出されたマシーン。

すぐコーヒーを淹れれるようボイラーにお湯がたまっています。

そしてこのマシーンの蒸気の力を使えば・・・・・

ミルクも簡単に温められるのです!!!

スチームノズルという蒸気が出るノズルで温めてます

火を使わずにこのエスプレッソマシーン一台でコーヒーも淹れられて、ミルクも温めれる。
美味しいコーヒーを淹れるためにここまでできるエスプレッソマシーン凄すぎます。(ちなみに佐藤さんのエスプレッソマシーンはVBMというとこのやつで200万円するとかしないとか。)

これ凄い芸術的で無駄のない美しい発明だなあ。と思ったのですが、どうもこのミルクを温めるスチームノズルがついたエスプレッソマシーンはその昔、1,906年のイタリアのミラノ万博で登場してやはり絶賛されたみたいです。

そんな科学の結晶を使い、商店街付き合いでお湯をサービスで渡してるとこはおそらくこの場所だけでしょう(笑)

そして、佐藤さんが本場イタリアで衝撃を受けたカプチーノも注文していたので、カプチーノもいただきます!

「20歳の時にイタリアで飲んだエスプレッソと同じぐらい美味しいですか?」
「いや、それ以上になってるよ(笑)」

そしてカプチーノもいただいたのですが、
まーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ

美味い(笑)

このカプチーノを飲んだ日の夜寝る前に、泡に口づけをした時の感触を思い出すぐらいふわふわで、やはりこのカプチーノも元ボイラーの佐藤さんの手腕のおかげか蒸気の力を感じました。
なんでこんなに美味いんや・・・・・・と衝撃を受けたところ・・・・・・・・・・・

なんと奇跡的に本場のエスプレッソを知るイタリア人がやってきました!!!!!

※一応佐藤さんが私のことをメディアと紹介してくれて、「フォトOK?」って聴いたところ「OK!」と言ってくれたので写真をそのまま載せております

そしてここでちょっとしか入ってないエスプレッソの謎が少し解ける出来事が起こります。
私が一つしかない横長の椅子に座ってカプチーノを飲んでいたので、「座られます?」と聞いて席を譲ろうとしたところ

「いや、いいよ。イタリア人は立ってるから」
と佐藤さんに言われました。

「立ってなきゃ落ち着かないのよ」
イタリア人って座って飲んだりしないのか。これも文化の違いで面白いなあ。とその時は思っていたんですけど、この記事を書いてた時に思ったんですよ。

イタリア人は座らないから、ちょっとしか入ってないエスプレッソが丁度良いのじゃないか!?

これはあくまで私の考えですが、バール(イタリアのエスプレッソ飲めるとこ)という場所でエスプレッソをだしてサッとコーヒーを飲んで出ていく座らないイタリア人。
それに対して、日本人は逆にもう、当たり前過ぎて何とも思わなかったのですが長時間カフェに居座って作業したり、人と人の会話をする場としての喫茶店文化があります。

だから日本人にとっては、コーヒーがカップにいっぱい入ってる方が都合が良いわけで、ちょっとしか入ってないエスプレッソは都合が悪いわけです。

日本では全然エスプレッソが流行らないし、浸透しない。スターバックスでも大々的にメニューには載せない。

そんなイタリア人に席を譲るか譲らないかというとこから、ちょっとしか入ってないイタリアのコーヒー文化が垣間見えました。

佐藤さんのエスプレッソをBuono(ブオーノ)=「美味しい」と絶賛しており、一緒に写真を撮ることになったので記念に一枚。

日本に来てくれてありがとう!!

そして私に気づきを与えてくれてありがとう!!!(笑)

イタリア人が帰った後も、佐藤さんは大忙し。

お店にやってきたお客さんを待たせながら、商店街の常連さんの注文をもってお店の外に。

恐らくエスプレッソを店主自ら出前してるのは日本でここだけでしょう(笑)

エスプレッソの出前から帰ってくる佐藤さん。

お店が落ち着いた後、佐藤さんにエスプレッソに馴染みのない我々に向けてメッセージをいただきました。


「エスプレッソを飲んでみて、苦いとかまずいとか思ったことあるあなたの感覚は間違ってない。それはまずいの(笑)だからうちの店来て飲んでみて!」


そして佐藤さんは
「エスプレッソは私の天職」
ともおっしゃってました。私も佐藤さんが言わなくても、船のボイラーをやってた経験を生かして、独創的なエスプレッソを淹れているのだから、間違いなく天職だと思います。

3回仕事をクビになって居場所を失っても、こうやって世界中や商店街の人に愛される場所に巡り合える。
人生何が起こるか分からないし、年齢関係なく人には希望や勇気がある。

そんな日常では味わえない、ライフイズビューティフルと思わせてくれる素敵な出会いが今回もありました。

おしまい

佐藤さん!取材に応じていただきありがとうございました!!

佐藤さんが淹れるコーヒーがを飲みたい方は是非「イタリアーノエスプレッソ」にお越しください!やってない日や時間帯もあるかもしれないので、確実に行きたい方は一度食べログ記載の電話番号に電話するか、メッセージを送ることをお勧めします。(エスプレッソの概念が変わります!!)

また、佐藤さん料理教室もやったり日帰り8時間のエスプレッソマシーンの講習会もされているみたいです。もしご興味ある方はこちらも食べログ記載の電話番号に連絡するか、InstagramをされているみたいなのでそちらにDMをお送りください!

食べログURL:
https://tabelog.com/hyogo/A2801/A280101/28066439/

インスタURL:
https://www.instagram.com/italianoespresso55/

記事を書いてみて考えた、ゲーム制作への道のりメモ
・エスプレッソは苦いだけじゃない
・物語を作るのに活かすため、船とコーヒーを調べる
・コーヒーを淹れることが天職なキャラクターを描く

アフタートークは、今回最初に『エスプレッソがちょっとしか入ってなかった女の子』を描いてくれた、仙幸さんをゲストにお招きしてお話してます!
今回は全体公開になりますので、公開されたらぜひチェックしてみてください!!

仙幸(せんこ)のプロフィール画像

仙幸(せんこ)

漫画家

『妹は猫』(全3巻)や『なまいき坊っちゃんとギャルメイド』などを手がける漫画家。商業漫画の執筆に加え、同人誌の制作や漫画制作の先生としても活動中。

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