「タルパの行進ザナドゥ」開発者『ローゼンクロイツ』さんに独占取材!

退廃的な世界観で独自路線を突き進む「タルパの行進ザナドゥ」の開発者『ローゼンクロイツ』さんに独占インタビューさせて頂きました。

インタビュー記事に先んじて、作品紹介をさせて頂きます。

タルパの行進ザナドゥの作品紹介

『タルパの行進ザナドゥ』は、古き良きツクール製RPGに毒々しさを混ぜ込んだ王道RPGです。

嘘も、妄想も、現実を照らす光になるよ。 奇妙で、可愛くて、ちょっと不気味なビジュアルのコマンドバトルRPGです。3日目に滅亡するループ世界を冒険し、隠された謎を解き明かしましょう。ヒントは、世界のあちこちに散らばっています。

steamストアページより引用

作家性を前面に推し出してくる先鋭的な世界観と、プレイヤー目線で丁寧に作られたレベルデザインのギャップが魅力。

見た目のエグさとは裏腹に、遊びやすさを徹底的に考慮した丁寧なゲーム性など、ローゼンクロイツさんでしか得られない栄養素が確実に存在します。

では早速、インタビュー記事をスタートします!

『誰にも侵されない領域』が欲しくてRPGツクールに挑戦

インタビュワー

まず、ゲーム開発を始めた経緯を教えてください。

ローゼンクロイツさん

ゲーム開発を始めた経緯は大学生くらいだった頃、2ちゃんねるで『しぃ虐待』(※1)が流行っていた時代まで遡ります。

その頃の2000年代初頭には、モナー(※2)やギコ(※3)を使った長編ストーリーをスレッドで展開するのが流行っていたんです。

僕、高校生の頃がフラッシュ(※4)黄金期でして、アスキーアートを使って色々な物語が展開されていたんですよね。年末になると『フラッシュ紅白合戦』みたいなものもあって、そこからアスキーアートにのめり込んでいきました。

ある時、『しぃ』と呼ばれるキャラを虐待するのがブームになってしまって、それが許せなくて、自分で『しぃ』が虐待されない世界を作ろうと思ったんです。外に期待ができないなら、自分で作れば良いと思って。RPGツクールで世界を作れば、外からは何もできないので。

まとめると、ゲームを作ろうと思った経緯は『誰にも侵されない世界』を作りたかったからです(笑)

(※1)2ちゃんねるで生まれたキャラクターをアスキーアートが殺す悪ふざけが横行し、『しぃ』と呼ばれる可愛い猫キャラが標的となった悲惨なブーム

(※2)正式名称は『オギコネコー』。2ちゃんねるの代名詞とも呼べる白いネコキャラクター。もともとはAA(アスキーアート)から誕生した

(※3)正式名称は『ギコ猫』。前述した『しぃ』の恋人の関係

(※4)動画やゲームを作るための規格

ゆっけ
ちょっと『しぃ』を調べてみていいですか?
ローゼンクロイツさん
もちろんです。
ニコニコ大百科より拝借
ゆっけ
この子知ってます!!
ローゼンクロイツさん
僕はモナーと、ギコと、しぃと、モララーが仲良くしている話が好きなのに、面白がってジャンルを持ち込んでくるのがスゴイ嫌だったんですよね……
ゆっけ
それが原動力となってゲームを作るなんて、凄いバイタリティですね…

独自の世界観は仕事のストレスによって誕生

インタビュワー

ローゼンクロイツさんの作品コンセプトはどのように決まったのですか?

ローゼンクロイツさん

大学生くらいまでは『ローゼンクロイツ』とは別の名前でゲーム制作をしていて、モナーRPGをメインに作成していていました。就職と同時にゲーム制作を辞めてしばらく時間を置いていたんですが、社会人になってからまた始めて、その時は仕事の鬱憤晴らしとして作りました。

結果論なんですけど、鬱憤を晴らしためにわざと退廃的な世界観にしたんです。そしてローゼンクロイツとして作成した処女作が『すでに私たちは地獄のまっただ中でした。』になります。

ローゼンクロイツさんの処女作
「すでに私たちは地獄のまっただ中でした。」

最初は退廃的な世界観で鬱憤を晴らそうとしたんですが、話を進めていくうちに「人はこの世界でどう正しくあるべきか」みたいなお話になっていたんです。結局の所、自分を納得させるために作っていたのかもしれません。

ゆっけ
正直、あの世界観を見た時は驚きました(笑)
ローゼンクロイツさん
何を作っても自分はあの場所に着地することが分かりましたし、時代によって変わらないものを作ることがコンセプトの一角になりました。
ゆっけ
廻り回って、自分の哲学的な部分が核になっているんですね。

根幹を支える『経験値』と『夜の映画館』

インタビュワー

ゲーム作りで参考にしている資料などはありますか?

ローゼンクロイツさん

それがないんですよね(笑)

ただ無意識のうちに心に残ったものに影響を受けていると思うんですよ。僕はRPGが好きでずっと遊んできたので、ここでこれくらいのダメージを受けたらこういう感情になるだろう、みたいな経験値がノウハウになっていると思います。

お話とか世界観に関しては、直感で見たくなった映画を見るようにしています。必ずレイトショーで。家に帰るまで作品の世界観に浸れますし、夜の映画館の雰囲気が好きなんです。

インタビュワー
レベルデザインというか難易度設定がめちゃくちゃ上手だと思ったので、技術書とか読み込んでいると思っていました。
ローゼンクロイツさん
いや、全然です。活字好きじゃないので(笑)
ローゼンクロイツさん
モザイクをはめ込んでいくイメージで作ってて、同じ色が連続すると汚いし、ちゃんと隙間なくそれぞれのピースが、特定の場面で意味を成すように綺麗に配置していく感覚です。
インタビュワー
感覚なんですか…なおさら凄い…

正解は分かりやすく

ローゼンクロイツさん

参考にしていることとズレるのですが、かつて誰かに言われた「正解は分かりやすく」という教えを大切にしています。

例えば、「この装備を持っていくとこの敵に対して有利になる」設計にするんだったら、それを選んだ人が「自分は正解を選んだ」という手ごたえを得られるようなデザインにする。

正解に辿り着きにくいものを作ると、せっかくデザインした気持ちの良い正解が死んでしまう。すごく分かりやすいんだけど、プレイヤーが自分で解いたと思わせることを心掛けています。

インタビュワー
掌で転がすようなイメージでしょうか?
ローゼンクロイツさん
そうです!攻略時の適正レベルに対して、すごく有利になるっていうのが分かりやすいデザインですね。
インタビュワー
確かに、タルパの行進でもありましたね。
ダンジョンの入り口で必ずアドバイスを見れる
ローゼンクロイツさん
これはちょっとやりすぎましたね…でも、ユーザーを苦しませる必要はなくて、その先にある物語を読んでもらうために作っているので問題ないと思ってます。

ローゼンクロイツさん作品の入門編は「タルパの行進」がおすすめ!

エログロが共存する独特の世界観を持つローゼンクロイツさんの作品ですが、タルパの行進は全年齢対応!

インタビュワー
ローゼンクロイツさんの両親に「気持ち悪すぎて遊べないから、みんなが遊べるゲームを作りなさい」と言われたのがきっかけらしいです(笑)

さらに11月21日から開催される『steamオータムセール』で50%セールが実施。steamで販売されている2作品ともにセール対象となっています。

▼価格比較表▼

ゲーム名定価価格セール後の価格
タルパの行進ザナドゥ1,300円650円
かつて私たちは地獄のまっただ中でした。980円490円
インタビュワー
インタビュー記事で興味を持たれた方は、この機会に遊んでみて下さい!
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