【クリアの後で。】南極から脱出するために飢えた人々に違法卵を焼く奇ゲー『Arctic Eggsレビュー』

クリアしたゲームの余韻に浸りながらキャッチーなレビューをお届けする『クリアの後で。』

第21回は2091年の南極でお腹を空かせた人に目玉焼きを振る舞う謎のゲーム『Arctic Eggs(アークティックエッグス)』です!

概要:南極からの脱出を目指し一心不乱にフライパンを振る

本作の舞台となる街はネオンが多くサイバーパンク味を感じる

今作は、南極に閉じ込められたプレイヤーが飢えた人々に料理を振る舞うSFアドベンチャーゲームです。

信じられないくらい滑るフライパンで目玉焼きを調理し、一緒に指定された食材をこぼさず両面焼きしていく動画を見た人も多いのではないでしょうか。

調理食材はゲームを進めるごとに増えていき、タバコや銃弾など普通では考えられないようなものまで登場。道中で謎に包まれた『六胃聖』と呼ばれる人物に会い、南極から脱出することが今作の目的です。

fis
何故かこの世界ではニワトリが違法のものとして扱われています

料理:一癖も二癖もある食材にワクワクが止まらない

この世界では目玉焼きにタバコの風味を付けるのが基本スタイル

今作のメインともいえる料理は、かなり特殊な具材が使われています。

最初こそ『目玉焼き』や『ベーコン』などの一般的なものですが、途中から『タバコ』や『銃弾』、果てには『ゴキブリ』まで調理する始末。

食材ごとに調理方法が違うのも面白いポイント。例えば、銃弾を焼くとフライパンの中で爆発を引き起こすため、上手く避けながら調理しなければなりません。

その意外性が非常に面白く、次第に「次は何を調理させられるんだろう」という妙な期待感を抱くようになりました。

fis
ゴキブリはかなりリアルなので苦手な人は注意です

ゲームシステム:摩擦係数0のフライパンで激ムズ調理

初心者向けの中華鍋は深さがあり食材がこぼれにくくなっている

調理内容は依頼人によって異なりますが、共通して必要な食材をこぼすと最初からやり直しとなります。

フライパンをマウスで操作して調理するのですが、摩擦がないのではないかと思うくらいツルツル滑るので繊細なマウス捌きが重要。ちなみに、この世界の目玉焼きは『両面焼き』が基本なので、必ずひっくり返さなければいけません。

ひっくり返すには目玉焼きを端に寄せマウスを素早く振らなければならず、上手く焼けるようになるには慣れが必要です。食材によっては『焼いてはいけないもの』や『外に出した方がいいもの』などもあり、意外とゲーム性が高く夢中になれます。

また今作は難易度変更でフライパンの深さを変えられるため、難易度を下げてなべ底を深くすることで食材がこぼれにくくなります。難易度でストーリーが変わることはありませんので、難しいと感じたら迷わず下げた方がいいでしょう。

fis
フライパンは中央に赤いマルがあるので、未来のティファールなのかもしれません

会話:哲学的な表現の中に見え隠れするほんの少しの狂気

南極の寒空に詩的な文章が浮かび非常にエモーショナルに感じる

人々との会話は詩的な表現が多く、独特なローポリゴンの世界と相まって心に残るシーンが多いです。

特に印象的だったセリフの一部をご紹介します。

「黄身と白身の多面的な関係性、感無量で君の感性を雄弁に物語っている、クソありがとう」

この会話は住民に目玉焼きを振る舞った後のもので、この奇怪なゲームを象徴する一文だと思います。

哲学的であり、情緒的であり、でもどこか狂っている。そんな世界感はこういった人々との会話で成り立っていると感じました。

fis
世界観を知れる会話もありましたが、クリアしても全ての疑問が解決されませんでした

総評:数時間の不思議な料理旅

本作とは関係ありませんが、私の好きなものの1つに『食事をして感情がほどける』シーンがあります。

好きなものを食べて心が満たされた時にその人の本音が見える、このゲームはそういう場面を詰め合わせたものだと思います。

フライパンの上のとんでもない食材の数々、それはこの奇妙な世界を表しているのかもしれません。

クリア時間は3〜5時間程度ですが、非常にゲーム内の密度が濃く充実感があります。

人を選ぶゲームだとは思います。しかし、このゲームでしか得られない栄養があると思うので、気になった方は是非プレイしてみて下さい。

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