【クリアの後で。】魔法学園を舞台にきらめく愛と苦悩を描くタクティカルRPG『Ikenfellレビュー』

クリアしたゲームの余韻に浸りながらキャッチーなレビューをお届けする『クリアの後で。』

第9回カナダのゲーム制作スタジオ「Happy Ray Games」が制作した魔法タクティカルRPG『Ikenfell(アイケンフェル)』です!

ストーリー:行方不明の姉を助けるため、魔法を使えない妹が魔法学園へ向かう

魔法学園には敵味方共に個性豊かなキャラクターが登場

主人公『マリット』は行方不明の姉『サフィーナ』を探すため、魔法学園アイケンフェルへ旅立ちます。

学園へ向かう途中それまで使えなかった魔法に突如目覚め、仲間の力を借りて学園に迫る危機へ立ち向かうのが大まかなストーリーです。

本作の特徴の1つとして、LGBTQ(同性愛、ノンバイナリーなど)の表現が挙げられます。

同性愛のキャラクターが比較的多く登場しますが、この世界ではそれが特殊だと一切描かれておらず、当たり前なこととして捉えられているのが印象的でした。

LGBTQは扱いが難しいテーマですが、翻訳が完璧なのでそういった表現が誤解されたり、意図が間違って伝わることも無いので心配ご無用。

fis
同性愛についての表現はとても自然で、私はとても好感がもてました

バトル:タイミングを合わせて攻防アップ!お助け要素も完備

戦闘にアクション要素を加えてメリハリを生んでいる

戦闘システムはマリオRPGなどでお馴染み、攻撃・防御時にタイミング良くボタンを押すと効果がアップするシステムを採用。

ただし『ボタンを押せた方が良い』ではなく、『ボタンを押せないと少しキツイ』というバランスのため、リズム要素が苦手な人は結構大変かもしれません。

難易度の話をすると敬遠されるかもしれませんが、設定を弄ることで全てのアクションを完璧なタイミングにすることもできるため安心です。

また、バトルフィールドはシミュレーションゲームのようにマス目で区切られており、位置取りやスキル範囲によって戦略的に立ち回ることが重要になります。

仲間全員にもそれぞれ特徴があり、誰をバトルに出しても強力な能力が使用可能。パーティ構成を考えるのが楽しくも悩ましい作品となっています。

fis
戦闘を一瞬で勝利できるようにする設定も可能ですが、さすがにそれはやりすぎなような気がしました

グラフィック:ゲームボーイアドバンスに影響を受けたピクセルアート

作者曰く、大きくかつカラフルで、フラットシェーディングのようなスタイルを心がけたそう

作者はゲームボーイアドバンスのグラフィックをとても好んでおり、『ポケットモンスター』や『Mother3』などに影響を受けたと語っています。

その言葉通り、色使いや画面UIの比率、文字サイズまでこだわりを感じました。

キャラクターグラフィックも同様に、フィールド・戦闘・顔グラフィックなどのクオリティが高く、敵キャラもキャッチ―で見ていて楽しいです。

戦闘のアニメーションは非常になめらかで、スキル使用時は迫力満点。

fis
ユーザーインタフェースはGBAの黄金の太陽を思い出しました

BGM:有名スタジオが手掛ける珠玉のGBAリスペクト音楽

文面では伝えられないのですが、どれも個性的で耳に残る音楽です

音楽は海外の有名スタジオ、『A Shell in the Pit(https://ashellinthepit.com/)』が作曲しており、さすがの出来映えです。

このスタジオは他に『ローグレガシー』『ゴッドフォール』『コージーグローブ』など50種類を超えるゲーム音楽を担当。

GBAを意識しているため音質もピコピコ音を意識しており、ノスタルジックな良さを残しつつも新しさを感じます。

fis
チップチューンのようだけどちゃんと生の音も聞こえるのもGBAっぽいです

総評:コンパクトだが作者の伝えたいことがギュッと詰まった秀作

GBAにインスパイアされた今作ですが、グラフィック、ストーリー、バトル、BGM、翻訳など全てにおいて高クオリティだと感じました。

プレイ時間も20時間程度でサクッとクリアできる反面、内容がぎっしり詰まっているのでクリア後の満足感は非常に高かったです。

昨今、LGBTQ表現のある作品も増えてきましたが、本作は柔らかいドット絵や言い回し等の表現が自然なので、そういう作品にふれるきっかけとしても良いかもしれません。

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