【かつて私たちは地獄のまっただ中でした。 感想】こんなこと書くのもなんですが、閲覧注意なので見なくて大丈夫です

今回紹介するゲームは【エログロ要素】で構成されています。

不快に思う方もいると思うので、ちょっとでも怪しいと感じたら離脱してください。

ツイッターランドに戻りたい人はココから戻れます。

思わぬ地雷を踏まないように、サンプル画像を用意しました。

こんな感じです。

無理な人はとことん無理だと思うので、即刻ブラウザバック推奨です。

大丈夫そうですかね…

ここから本文に入ります。

サイケデリックとヒステリックを鍋で煮詰めて、最後に親近感を小さじ1した世界観

「かつて私たちは地獄のまっただ中でした。」は人間の醜さをテーマにしたツクール製RPGです。

ツクール製RPGとは?

プログラミングの知識なしでゲームを作れる開発ツール「RPGツクール」で作成されたRPG。

開発者の性癖をぶちまけた作品も多く、語り継がれる名作になった事例も珍しくない。

こうゆう
こうゆう

「RPGツクール」はゲーム感覚でゲームを作れるので、とんでもなく歪んだ作品が生まれる時もあります。

今作はまさにそれです(笑)

クスリ決めちゃった系デザインが画面を占領し、様式美ともいえるヒステリックがプレイヤーを圧倒。

露骨すぎるけど、振り切ってる感じが良い

ビジュアル面も去ることながら、住民が一人残らず終わってるのもスゴイ。

終始こんな感じ

情に訴えてお涙頂戴なんてこともなく、垂れ流しの地獄を眺めている感じです。

こうゆう
こうゆう

陰鬱なんですけどネチネチ感はなく、暴力を前面に出してガツガツ魅せてきます。

嫌悪感が気持ちいいほど突き抜けていて、笑っちゃうくらい地獄ですし、当たり前のようにキモイです(笑)

鬱々しさをバカっぽさで中和して、エンタメ寄りにして魅せているのが印象的でしたねぇ。

キモ可愛いとは1㎜も思いませんでしたが、キモ許せるって感じです。

壊れた世界観の中に人間性が垣間見えるシーンもあり、ふとした瞬間に共感を感じることも。

口には出さないけど、そういう時もあるでしょ?

嫌悪感を煮詰めた先に、ほんの一瞬、人っぽさを感じさせる。

そんな魅力を秘めていると感じました。

こうゆう
こうゆう

率直な感想として、魅せ方が上手い。

言葉にしたら怒られそうな想いをさりげなく放り込んでいて、ほのかに人間味を感じる作品でした。

なんかあれだね、見た目は地獄なのに哲学っぽいね(笑)

絶妙なリスクを生み出す「SAN」システム

今作はSAN(正気度)という特殊なゲームシステムを導入しており、冒険にリスク・リターンを与える重要な役目を担っています。

SANが減少すると、呪文の回復量が減少するデメリットが発生。

とはいえ、回復アイテムでリカバリーすることも可能です。

ポイントはSAN減少によって明確なデメリットが発生するものの、致命的な足枷にならない点です。

ボス戦などの強力な敵に対して脆くなりますが、道中で出会うザコ敵であれば大した影響を受けません。

SANが減少すると、中回復魔法で”9”しか回復しません(笑)
こうゆう
こうゆう

デメリットの塩梅が素晴らしくて、「ちょっとだけしんどいなぁ~」を見事に落とし込んでいます。

例えば、デメリットが重すぎる場合を想像してみてください。

  • SANが0になったら即死亡
  • SANに比例して全パラメータが減少
  • 戦闘中に一定確率で行動不能となる

デメリットによって自由度が狭まって、ストレスも溜まるはずです。

でも、回復呪文の能力低下だけなら、アイテムのゴリ押しも可能だと思いませんか?

今作はデメリットを残しつつ、工夫次第で強行突破も可能なバランスに落とし込んでいるんです…!

システムの作り方上手スンギ…

閑話休題。

SANが減少する行動はおもに2つです。

SAN減少の条件
  • 戦闘終了後に減少
  • 特定のイベントによって減少

SANは戦闘するたびに減少しますが、セーブポイントに触れるとリセットされます。

また今作はセーブポイントが多めに設置されており、定期的にSANを回復させることも可能です。

右上のSANが20→100に回復しています
こうゆう
こうゆう

狂気的な世界観と「SANシステム」が絶妙にマッチしていて、違和感なく遊べる仕上がりに。

今作はレベルアップでMPが上昇しないので、回復呪文のデメリットも飛躍的に上昇しています。

システムを無理やりねじ込むのではなく、プレイヤーの快適性を考慮している点も印象的でしたね。

なんとなーくシステムを理解して頂けたと思いますが、面白いのはここからなんです……。

狂えば狂うほど強くなる

SANが低下すると、一定確率で特殊状態異常が発生します。

軽度狂気症

  • 攻撃力・魔法力が10%アップ
  • その他のステータスが15%ダウン
  • 状態異常に掛かりやすくなる
  • セーブポイントに触れると治癒できる

パラダイムロスト

  • 攻撃力・魔法力が20%アップ
  • その他のステータスが20%ダウン
  • 「軽度狂気症」よりも状態異常に掛かりやすくなる
  • 専用スキル・専用武具が使用可能
  • セーブポイントで回復できない

SANをわざと低下させて状態異常になることで、リスクと引き換えに火力を向上させることも。

さらに、パラダイムロスト状態になると専用スキルと専用武具が使用できるなど、デメリットを遥かに凌ぐメリットが生まれます。

パラダイムロスト時だけ使用可能かつ、気が狂っているほど強くなる「ロストスキル」
こうゆう
こうゆう

パラダイムロストは取り扱いが難しくて、くっそ高い貴重なアイテムを使用しないと治療できないのです……。

強いんだけど防御面が不安定で、何度も治せないから迂闊に手が出せない。

このジレンマがええのよ…(笑)

また、SANの減少量を増加させる代わりに強力な武器が手に入る「血箱」など、リスク・リターンの選択を迫られる場面が多々あります。

邪眼が開くとSANの減少量が増加する
邪眼を閉じるには特定の条件を満たす必要があり、ボディブローのように効いてくる場面も…
「サイコパスの斧」ってネーミングがイカれてて好き(笑)

どこまでリスクを背負い、どこまでリターンを取るか。

世界観を壊さないようにシステムを溶け込ませ、狂気に飛び込むことで強くなる仕組みを見事に体現しています。

こうゆう
こうゆう

強い武器は欲しいけど、邪眼が開いてSANの減少量が増えるのもキツイ…

邪眼を閉じるには貴重なアイテムを消費しなきゃいけないし、閉じるたびに消費量が増える鬼畜仕様……。

ゲームシステムによって陰鬱な世界観が補強されており、上手く作られていると感じました。

基礎土台が丁寧に作られた生き地獄

間違いなくキモイ

「かつて私たちは地獄のまっただ中でした。」は見た目こそ終わっていますが、RPGの手本になるような要素が詰まっていました。

かつて私たちは地獄のまっただ中でした。
まとめ
  • 正気とは思えないグラフィック&逝くとこまでいったテキストセンス
  • 世界観を補強する理想的なゲームデザイン
  • 見た目とは裏腹に超丁寧なレベルデザイン

万人受けしないことは分かっていますが、あまりにもギャップが凄かったので紹介しました。

実は今作、RPG好きのツボを押さえて丁寧に作られているんです。

  • 進めるたびにワンランク上の装備が手に入る(血箱)
  • 格上を倒すための諸刃の刃がある(エントロピー状態)
  • 程よいリスク・リターン(SAN)

SANというリスクを与えることで、強さへの代償を用意。

とはいえ、リスクを取った方が効率よく進められる設計になっており、プレイヤー次第で難易度が変化します。

「ゲーム作りが上手い!」と感心した理由は、リスク・リターンのどっちを取ってもゲームが成立する点です。

SAN減少によって「エントロピー状態」になると火力こそ向上しますが、回復呪文の機能が低下して冒険しにくくなります。

逆にSAN減少にビビって「血箱」を見逃すと、武具が揃わずジリ貧になることも。

どっちがイイとかないですし、今作にはシステムの強制力がありません。

一番ダメな例が「システムを使わざるを得ない」という状況。

開発者がシステムを意図的に強くした結果、「これ使えばええやん」となってしまうと、作業感が増加します。

今作はシステム面のパワーバランスが丁度良くて、ユーザーフレンドリーな遊びやすさを感じました。

エログロがなければ全面的にプッシュしたいのですが、まぁ無理だろな~って感じですね(笑)

エログロを圧縮して尖らせた作品なので、耐性を持っていない方は100%NGです。

誰が何といおうと、おすすめしません。

でも、本音を言えば遊んで欲しい作品でした。

こうゆう
こうゆう

ゲームを遊んでて、生理的なジレンマを初めて経験しました……。

リスクを取った方が有利になることは分かっているんですが、何が起こってもおかしくない世界観に飲み込まれてリスクを避けてしまうんです。

いきなりとんでもないもの見せられて、取り返しのつかないイベントが発生しそうで怖いんですよ(笑)

ホントに嫌悪感とか、キモさが凄まじくて、世界観とか恐怖にも圧倒されて、思うようにリスクを取れない経験は初めてでした(笑)

絶対やれ!

とは言えませんが、ゲームの奥深さを感じられる作品でした!(笑)

(おすすめはしません)

こうゆう
こうゆう

開発者の「ローゼンクロイツ」さんはフリーゲームを中心に活動されているので、興味がある方はこちらを覗いてみて下さい!

ローゼンクロイツさんのふりーむ!リンク

何といっても世界観だと思う。ありていな言葉なんだけど、それでも第一優先で伝えるべき内容だと思う。結構ありがちな陰鬱感なんだけど、住民が全員終わってて、テキストにも余念がないって感じ。サイケデリックでヒステリックなんだけど、どこか親近感というか、人ごとに思えない感じほのかにする世界観が魅力的。きもいんだけど、普通にキモいんだけど、それでもどこか心地よくて、ゲームとして破綻していない。好奇心をくすぐるとでもいうべきなのか、やっぱり異端な存在として居座り続けている。気持ちいいくらい突き抜けていて、滑っていてもおかまいなしって感じが結構すき。
これはシンプルにゲームデザインとかレベルデザインに支えられる部分が大きくて、実は結構練りこまれたゲームデザインによって成立している。そもそも書いた気がするんだけど、もう一度書くことにする。

システムはいくつかあるんだけど、列挙するとこんな感じ

・SUN値
・ソウル攻撃(ドレイン)
・エントロピー

こんな感じかな。起点はやっぱりSUN値で、これがストーリーにも戦闘にも影響を与えるのが面白い。ゲームじゃないと表現できない部分まで踏み込んでいるからこそ、狂気的な世界観が崩れずに補強されている。SUN値が低下すると回復能力がいちじるしく低下して、まともに戦闘ができなくなる。今作はmpがボス撃破時にしか上昇しないからリソースがカツカツになることも珍しくなくて、この辺の塩梅が絶妙。戦闘中にMP回復があるんだけど、これもSUN値によって規制される。ようはSUN値を高めることで明確なデメリットが発生することがポイント。もっというと回復アイテムが入手しにくく、金銭面でも枯渇する。
逆にメリットがある点にも注目したい。というのもSUN値上昇によって状態異常に陥ると、攻撃力がアップしてそのたのステータスがダウンする特殊バフが発生する。この時点では大丈夫なんだけど、悪化してエントロピー状態になると、特殊アイテムでしか復帰できない。でも、特殊必殺技と特殊武具が使えるメリットが存在する。アイテムや特定の状況でHPがかいふくできるソウル技を使うことでHPを管理することもできるので、攻撃編重の戦い方ができる。というか恐怖を克服するために強気の戦闘を行うというコンセプトにも沿っているし、俄然納得度も高い。

びびって戦うと長期的に安定した旅が続けられる。逆に狂気に身を任せれば戦闘面で劇的に強化されるけどピーキーな旅を続けなければならない。どっちでもいいんだけど、冒険した方が楽に遊べる設計になっている。とはいえはちゃめちゃな世界観だからSUN値を高めるのも恐い。世界観による恐怖感がシステムに影響を与えているのがくっそ面白かった。最高にクールな設計だと思う。道中にある宝箱は強力な武器と引き換えに邪眼(SUN値増加量アップ)が開くから、結構恐い部分もある。後半はお金に余裕があるからいいけど、序盤の緊張感を後押ししている。フィールドに湧く緑シンボルを倒すと邪眼が閉じるので、レベリングの楽しみが増える点も良調整だとおもう。

しかも、このゲームはレベルデザインが妙に上手い。戦闘の難易度もそうだけど、赤い宝箱の存在で強力な武器が定期的に入手できる。進む度に確実に強くなるため、しっかり探索すれば絶対に強くなる設計がされている。狂気的な世界なんだけど、ゲーム的な視点でみると圧倒的な安心感を感じられるからスゴい。ギャップ萌え。投げやりに強くするんじゃなくて、苦難に乗り越える度に確実に前に進むレベルデザインが印象的だった。ほかのゲームも見習って欲しい。まじでこの辺の作り方はピカイチだと思う。

それとソウル攻撃も面白い。最初はいらないとおもったけど、SUN値によって回復量が減少すると、この攻撃が生きてくる。フィールドに「回復用」の敵を用意することで、戦闘しつつ回復をする新常識の植え付けに成功している。しかも、意図的に弱く設定されているから、経験値を稼ぎながら回復出来る点も魅力的だ。このつくりはありそうでなかった。面白いし、テンポを損なうことなく遊べる要素といえる。強力な敵は必殺技の後にブレイク状態になり、ソウルで確実に回復できるからリカバリーしやすい点も理想的なムーブとなっている。体制を立て直してから攻撃じゃなくて、攻撃しつつ態勢を整えるって良いよねってかんじ。

今作はギャップ萌えがスゴい。ぱっと見は色物なんだけど、蓋を開ければさりげなくプレイヤーをエスコートしている。バレないように。人間って汚いよねってテーマなのに、人間のことを想って作られているから萌える。敵キャラはエグいけど萌える。やりたいことを表現しつつ、ゲームとしての土台を大切にしている点に魅力を感じた。そもそもツクール性のゲームは好きだし、エンドコンテンツとドーピングアイテムも用意してある。分かってるなぁ~って感じ。そういう文化で育って、そういう伝統を大切にしている感が強い。
このゲームを手放しで応援するわけではないけど、耐性があるなら遊んで損はない作品だと想う。だって気持ちいいから。いっちゃいけないけど、ホントはそう想うでしょってところを真顔で問い詰めてくる感じ。汚いんだけど、ある意味ピュアで、なんとなく展開は読めるけどグッとくるんだよね。言われるって分かってても、少しの疑念を確実に刺し殺そうとしてくる。ギャグとシリアスの塩梅がまじでスゴい。やれって感じ。

ゲームシステムとしてシナリオを補強しつつ、言いたいことを表現できているのはマジで素晴らしい。形は違えど、メグとばけもののような気概を感じる。シンプルにゲーム作るの上手いよなって感じ。操作とかゲーム性の不快感じゃなくて、ストレスにならない不快感なんよね。必要悪というか、外部からのすとれすじゃなくて、自分の中に眠っている感情がそのまま目を覚ましたって感じ。だからこう気持ち悪いんだけど、人から与えられる嫌悪感はない。

ほのかに人間味を織り交ぜている。やりすぎだろって中、ほのかに人間身というか開発者身を感じるんだよねぇ。それがどこなのか分からないんだけど、やけくそ的な世界観で、たま~に超丁寧な場面があるのよ。これはフリー特有の揺らぎみたいなものだと想うんだけど、イレギュラーさを見ると親近感というか嬉しくなる。ゲーム上のキャラクターが、一瞬だけ破壊されるような場面があるんだよね。なんとなくだけど、そういうシーンがあった。どこだったかは忘れたけど、絶対に感じた。

割と遊びやすいゲームシステムだった気がする。何よりも世界観とか物語が補強関係にあるのが素晴らしい。これは絶対にゲームじゃなきゃ完成しないし、めちゃくちゃかみ合っているのが感じとれる。気持ちよかった。いや、キモいんだけど、気持ちいいのよ。これは万人にはおすすめできないんだけど、ゲームが好きでグロ耐性ある人だったら遊んで欲しいなって感じ。別に狂気全面クトゥルフ万歳って感じじゃないんだけど、間違いなく名作の部類に入るなって感じ。個人的には忘れられない経験になった。

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