ステージを支配しろ!ループと回転の知的なパズル『LOOP LOOP ROOM』レビュー

LOOP LOOP ROOMは、ストーリーの用意されていないシンプルな、2Dプラットフォーマー系のアクションパズルゲームだ。

ゲームの目的はただ一つ、スライムを操作してステージ内に散りばめられた星を食べることである。

ステージをスクロール操作して星を食べろ!

本作の主人公「スライム」は運動能力が低い。スライムは左右に移動するほか、ジャンプも可能だが然したる高さも得られず、ちょっとした段差を登るだけで精いっぱいだ。しかし、クリアのために食べなければならない星は、明らかにスライムのジャンプ力では届かない場所に設置されている。

スライムが必死にジャンプする姿は可愛いものの、それだけでは星を食べることは叶わない。ではどうするのかというと、ゲームタイトルが示す通り「ルーム(ゲームステージ)をループさせる」のだ。

▼LOOP LOOP ROOM公式動画▼

今作はステージ内に設置された『矢印』と数字が書かれた『ギミック』に触れることで、ステージそのものがスクロールする。また、ステージはループ構造になっており、画面端から画面外にスクロールすると180度反対側から出現する仕組みになっている。

Sara
単にステージの端が逆側に繋がっているのではなく、スクロールで“ステージ”をループさせることがポイントだ

ループ対象はステージだけなので、スライムが画面外に飛び出すと即刻ゲームオーバーとなる。ワープ系のギミックが設置されている場合を除き、スライムが画面端から反対側に移動することはない。またステージがスクロールした結果、スライムが壁に挟まれてもゲームオーバーだ。

次のスクリーンショットを見て欲しい。1枚目の写真を見て分かるように、画面右下の星に対してのジャンプは明らかに届かない。そこで頭上にある『↓⑦』と『→⑥』のギミックを作動させ、ステージをスクロール移動させる。すると2枚目の画像のように星がステージ下からステージ上にループ移動し、スライムのジャンプ力でも入手できる仕組みだ。

①足場が遠くて右下の星が取れない

②画面をスクロールさせてジャンプ台を使うと星を獲得できる

ステージは1画面に収まるものだけでは無く、縦長や横長の形状も存在する。プレイ画面の右下にはステージの全体像が示されており、ステージ全体の形状が確認可能だ。次のスクリーンショットであれば、縦方向は1画面に収まっているものの、横方向には2画面分のステージが存在することが分かる。

また左右15ブロックのステージ構成に対して、左上に80ブロックもの移動ギミックが見えていることから、一定方向に何週も動き続けることが想像できるはずだ。このように、ステージがスクロールしてループするバリエーションも幾つか存在する。

右下を見ると2部構成になっていることが分かる
右下を見ると2部構成になっていることが分かる

またステージを動かす仕掛けはスクロール以外に、回転ギミックも用意されている。回転はその名の通り、ステージそのものが90度や180度回転する。

180度回転すれば天地が入れ替わるため、天井が無い場所で180度回転ギミックを発動すれば、スライムは奈落へ一直線となりゲームオーバーだ。

この状態でステージを180度回転させると……
Sara
以上のように、ステージのスクロールと回転のギミックを使いこなし、スライムに星を食べさせることができればステージクリアとなる

分身を駆使して星を食べろ!

本作の主人公であるスライムは、左右移動とジャンプ以外にもう一つだけアクションを持っている。それは自身を分裂させ、もう一匹のスライム(以下分身)を生成するアクションだ。ただし、プレイヤーは分身を操作できず、分身は星を食べることもできない。

しかし幸いにも、分身は当たり判定を持っている。そのため、接触式のスイッチの上に分身を置けば常にスイッチを作動させることも可能だ。

Sara
壊れる床の先にギミックがあれば、分身を落下させてギミックを発動させることもできる

次のスクリーンショットであれば、本体が画面左側を進み、分身は画面右側をコンベアに乗って進んでいく。分身の再度には回転やスクロールのギミックが用意されており、スライムを適切な場所で待機させることが重要なステージであることを意味している。

また、次の動画であれば、幾つかのスイッチを分身でON/OFFしながら、スライムが切り替わる床を進んでいることが分かるだろう。分身は任意のタイミングで出し入れできるため、必要に応じて遠隔でスイッチを操作できるのだ。

▼参考プレイ動画▼

パズルゲームという性質上、ネタバレの観点からシンプルなギミックの動画しかお見せすることができない。簡単そうに見えるかもしれないが、本作は非常に頭を使わされる知的なパズルゲームである。

パズルゲームに求められる面白さの一つに、ゲーム内に変化をもたらすギミックの多様性がある。その点において、本作は完璧だ。本作は画面スクロールや回転以外にも、ステージが進む度に惜しげも無く新ギミックが投入されていき、後半になるとそれらを複合した仕掛けも用意されている。

そのためコンセプトが被ったステージも少ないうえ、複合ギミックの煩雑さからクリアまでの道筋を想像することも困難となってくる。パズル好きには嬉しい限りだ。

スライムのジャンプ力は低く、移動できる範囲も1画面に制限されているため、2Dプラットフォーマーならではの操作テクニックを求められることも無い。到達するべき星から逆算して、順序を追っていけば解ける問題ばかりだ。ただし、詰めの作業が難しいのは言うまでもないだろう。

なお、理詰めでパズルを解くと言っても、画面の移動方向や回転方向のパターンが無数に存在するため、トライ&エラーで間違いを地道に潰していく方が効率的なステージも多い。一方で僅かに用意されたギミックとステージ構成からヒラメキを得て、唯一の解法を見つけなければならないステージもある。

とくに後半のステージをプレイしていると、脱出の手掛かりが見当たらない密室に閉じ込められた状態から解放されたかのような感覚を味わえるだろう。(イメージとしての話)

大満足のボリュームと難易度

本作のSteam製品紹介欄によると、「俺がたくさんステージを作ったから頭を悩ませながらたくさん遊んでくれー!」をテーマに作られている。そのテーマの通り、実際に大量のステージが用意されており、各ギミックのチュートリアル的なステージを除いたとしてもボリューム面では文句無しだ。

本作にはステージ選択制が採用されており、ステージ選択画面にはワールド1-1から9-9が表示されている。9ワールド×9バリエーションで81ステージも良質なパズルを遊べると思いきや、9-9までクリアするとまさかのステージ10-1から18-9までが解禁される。つまり、本作には162ものステージが用意されているのだ。

本作の販売価格は600円なので、1ステージ辺り約3.7円という破格のコストパフォーマンスだ。ワールド10-1以降は単なる難易度上昇だけかと思いきや、そこからも新たなギミックが追加される。以下は追加ギミックの代表的な例である。

多数のギミックが混じり合った高難易度ステージは、パズル好きなら間違いなく満足できる難易度だ。本作は、コストパフォーマンス良く、思いっきり頭を悩ませたい人は是非プレイしてもらいたい逸品である。そして、筆者に17-3,18-1,18-2,18-9のヒントを教えて欲しい・・・。

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