クリアしたゲームの余韻に浸りながらキャッチーなレビューをお届けする『クリアの後で。』
第16回は低価格とは思えない美麗グラフィックが目を引くRPG『Terra Memoria(テラメモリア)』です!
世界観:個性豊かなキャラクターとコンパクトなストーリー
本作は『テラ』と呼ばれる世界に起こる動力不足、突如人々を襲い始めた古代機械などの問題を解決すべく冒険を開始します。
シナリオ構成は王道で素直に感じられる反面、世界観や用語の説明が一切ないまま進むせいで置いてきぼりをくらった感じを受けました。メインストーリーはあまり長くないのですが、サブクエストやミニゲームが豊富でコンパクトながらも充実している印象。
またキャラクターは獣人のような種族が多く、とても個性豊かで愛着がわきます。しかし、翻訳の精度がイマイチでキャラクターのパーソナリティに合ってない表現も目立ち、感情移入の妨げとなっているのが少し残念でした。
グラフィック:美麗なHD-2Dと温かみのあるアートワーク
ドット絵のクオリティは非常に高く、インターフェースやアイテム等のグラフィックは見飽きることなく眺められるほど素晴らしいです。
魔法をメインで戦うバトルやキャンプで発生する焚き火の演出などは、HD-2Dの美しいエフェクトとも相性抜群。各地で手に入るガイドブックも非常に凝っており、アートワークに対するこだわりを感じます。
言葉の強さによって吹き出しの表示方法を変えているところも、個人的に好きなポイントです。
バトル:メインとサポートの組み合わせで変化する戦術バトル
戦闘はメインキャラ3名とサポートキャラ3名の6人編成で行います。
敵は基本的にシールドを張っており、弱点属性を突くことでシールドを効率的に壊すことも可能。味方には弱点属性がないため弱点を突かれる心配はありませんが、その分だけ敵の攻撃ダメージが増加するので敵を早く倒さなければなりません。
サポートキャラの効果はメインキャラの攻撃属性を変化させたり、単体魔法を全体魔法に変えたりと様々です。どのメインキャラをサポートするかは毎回ランダムに決まるため、サポートによって戦略を変えていくのが難しくも楽しいところ。
その他:キャンプや街づくりやパズルなど盛りだくさん
本作はバトル後にHPが全快する仕様のため、キャンプは回復ではなくレベルアップや料理のために利用します。キャンプ中の料理はリズムゲーム形式で行われ、成功するとパーティ全員のHP最大値アップ。
キャンプ限定の会話ではキャラクターの過去が語られ、焚き火の雰囲気と相まってエモーショナルなシーンを演出しています。
ストーリーが進むと出来るようになる街づくりは、道や家などに加え住民までも自由に配置可能。RPGとは思えない充実ぶりです。
また道中で見つかるパズルゲームはクリアでスキルが習得できるなど、これも冒険の良いアクセントになっています。
総評:光るところはたくさんあるが翻訳で評価が分かれそうな作品
本作はHD-2Dで制作されたRPGとしてはお手頃価格で魅力的な作品です。
2,300円という価格を考えるとしょうがないのかもしれませんが、アートワークやBGMが素晴らしいだけに翻訳の残念さが余計目立ちました。翻訳が自然なものになれば3,000円以上の価値はあると思います。
とはいえ遊べないほど酷くは無く、私のような翻訳の曖昧さを自分の想像力で補えるタイプならそこまで気にならないはずです。
サクッと遊べるRPGとしてはお値段分の価値はあると思うので、雰囲気が気に入った方はプレイしてみてはいかがでしょうか。