クリアしたゲームの余韻に浸りながらキャッチーなレビューをお届けする『クリアの後で。』
第4回はどこかで見たことのあるゲーム要素を良いとこどりしたライフシムゲーム、Moonstone Island (ムーンストーンアイランド)です!
グラフィック:ゼルダに影響を受けた温かみのあるドット絵
ドット絵のクオリティが非常に高く、2D版ゼルダを連想させる優しい雰囲気のドット絵が特徴です。
人物だけでなく、『スピリット』と呼ばれるキャラクターデザインも親しみやすいデザインのため、次にどんな出会いがあるのかワクワクします。
魔女の宅急便のようにホウキにまたがって、四季折々の島を旅するだけでも癒されました。
スピリット:敵でもあり味方でもあり、畜産動物でもある
本作のスピリットはポケモンでいうモンスターの位置づけとなり、バトル中にアイテムを使用することで手なずけることも可能です。
スピリットは単なるバトル要員ではなく畜産動物でもあるので、スピリットに餌をあげたり毛づくろいしてあげるとアイテムがもらえます。
しかし餌あげを怠ると、せっかく仲間にしたスピリットが逃げてしまうこともあるので注意が必要です。
牧場:バトルにも関与するため重要度が高い
牧場ライフシムの作物は『食べる』『売る』『プレゼントする』といった用途が一般的ですが、このゲームにはその他に『スピリットに与える』という用途があります。
作物をスピリットに与えることで能力を一時的に上げることができたり、敵を弱らせたり、経験値を増やしたりと様々な効果を得ることも可能です。
回復アイテムが売っていないので、スピリットのHPを回復る手段も寝る以外では作物に頼るしかなく、作物の重要性が高まっていると感じました。
バトル:牧場系では珍しいカードバトル
牧場系ライフシムのバトル部分はアクションパートになっていることが大半ですが、本作ではスレイザスパイアのようなカードバトルになっています。
パーティはスピリット3体で構成され、スピリットごとにデッキを所持。デッキの組み方やカードの引き運など、カードゲームならでは要素も魅力です。
それ以外にポケモンのようなタイプ相性もあり、色んなスピリットを育てる楽しみもあります。
ライフシム:恋愛やクエストなどの基本要素を全て網羅
他のライフシムと同じように、本作にも『恋愛』『釣り』『クラフト』『ハウジング』など一通りの要素がそろっています。
特にハウジングは家具の種類が非常に多く、壁紙や床のパターンを自分で作ったりもできるなど、満足度の高い出来栄えです。
一方の恋愛要素はキャラクターが可愛い反面、恋人になってもいつでも会いに行けるくらいしかメリットが無く、深い個別ストーリーもないため、愛着がわかず少し残念でした。
ユーザビリティ:本作最大の問題点は『手間の多さ』
どんなに優れたゲームでも、ユーザビリティによって苛立ちを感じたり、面倒に感じてしまうこともあると思います。
本作には、融通の効かない点がいくつか存在しており、『かまどで鉱石が1個づつしか焼けない』『チェストにまとめて物を入れられない』など、細かいところに引っかかりを感じました。
とくに驚いた部分は、スピリットを回復する際にアイテム欄から回復アイテムが使用できなった点です。
▼スピリットを回復するための手順▼
- 特定のアクセサリーをセットする
- アクセサリーを使用する
- 仲間の場所まで移動する
- 回復したい仲間に話しかける
- 回復アイテムを与える
回復するだけで上記の手順が必要となり、テンポの悪さに繋がっています。
このあたりはアップデートで修正される可能性がありますが、このゲームはアーリーアクセスではなく正式リリース版なので、最初からどうにかしてほしかったです。
【総評・まとめ】操作性に課題を残すも複数ジャンルの良さを取り込んだ意欲作
素晴らしいドット絵に目を引かれ、ポケモン、スターデューバレー、スレイザスパイアそれぞれの良い所取りのような作品だと思うと粗さが目立ち、少し期待はずれに思うかもしれません。
ですが、それらを一度に楽しめる作品は今のところ本作しかありません。
骨格はしっかりしているため、細かい点さえ修正されれば本家に迫る名作になる可能性も十分にあると感じました。改善点こそあるものの、今後に期待したい1本です。