薬の効能は患者で試す?言語解読ゲーム『トルービズの秘薬師』

言語解読ゲーム『トルービズの秘薬師』は、トルービズ地方へ異動した主人公が、薬師として患者たちの治療を行っていくゲームです。

薬師工房に残されていたのは一冊の古文書と古代薬師窯。主人公とプレイヤーは古文書を解読しながら、薬の調合方法や効能を調べていきます。

しかし、実際に薬の効能を確認するには患者で試すしかありません。背に腹は代えられない。罪の意識を抱えつつもビシバシ試していきましょう。

本記事では、言語解読とポーションクラフトの楽しさが詰められた、魔法の小瓶のような本作を紹介します。

古文書を解読していくプロセスが気持ち良い

▲仕事場となる工房
▲古代文字で書かれた古文書

トルービズの工房に入ると、そこには一冊の古文書が。薬の調合方法が記されているようなのですが、古代文字なので詳細は分かりません。かろうじて分かるのは図解のページ。どうやら緑色の薬を二つ掛け合わせると何かが起きるようです。

思い切って試してみると、図解通り赤い薬が精製されました。古文書にはメモを書き込めるため、薬の名前を考えてあてはめていきます。

最初の薬は緑色だから「緑」、赤い薬は「赤」と筆者は名付けたのですが、少し名前が単調すぎました。「グリーンポーション」とか「レッドポーション」みたいにちょっとカッコ付けても良かったのかも。

次に薬の効能です。最初は効能が分からないため、実際に試す必要があります。しかし治験なんて出来無いので、来訪した患者で実際に試します。なので「ごめんね…!」なんて思いつつ薬を試していく事に。処方を間違えて病状が悪化した時は目も当てられません。

試すうちにメモ書きが増え、薬の効能や作り方が明らかになっていきます。そうして読めなかった古文書が読めるようになっていく気持ち良さは、本作の醍醐味と言えるでしょう。

シュールな名前の村人たち

▲「ネムレズ」「ネムレム」「ネムレナ」の不眠症三姉妹

主人公のもとに訪れる患者は名前が独特で、名前から病状が推測できるようになっています。例えば、咳が止まらない「セキナ」ちゃんや、眩暈がする「メマイア」さん。痛風に罹った「ツーフ爺」など。

特に面白かったのが「ネムレズ」「ネムレム」「ネムレナ」の不眠症三姉妹、3人揃って眠れなさそうな名前です。名前は面白いのですが不眠症の原因は色々あるので早く治してね…なんて思います。それもプレイヤーの仕事ですが。

筆者は腰痛持ちなので、出るとしたら「ヨーツ=ウー」なんて名前になるのかな、なんて思ったり。

ちなみに主人公をトルービズ地方に異動させた人は「薬師協会理事長エライ=ヒト」です。名前遊びが隅々まで行き届いていますね。

※患者の症状はアイコンでも表示されるため、実際には明確に判別できます

一筋縄では治療できない患者を助けた時のカタルシス

本作はノーマルエンドに到達するだけならそこまで難しくありません。

しかし、真エンドを目指そうとすると話が変わります。古文書を隅々まで解読する必要があるのはもちろん、工房に隠された仕掛けや、ゲーム内時間等のギミックに気付く必要があるからです。

特に難しかったのは、古文書通りに処方したのに治らなかった時。解読が間違っているのか、見落としている単語があるのか、隅々まで調査しても解決出来ませんでした。

何をやっても治せない患者が複数いる。共通点はあるのに根本的な原因が分からない。そう諦めかけていた時、とある事に気付きました。

ネタバレになるので語れませんが、この古文書はそう読むのか!と気付いた時のカタルシスは忘れられません。一筋縄では治療できない患者を助けた時の達成感は格別です。


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全ての患者を悪化させるヤブ医者にもなれてしまう

公開されているエンディングの分岐に「すべての患者を治療せず悪化させる」というルートがあるのですが、実際にやってみるとヤブ医者になった気分が味わえてしまいます。

患者を治療せず全員悪化させる必要があるため、間違えて一つでも症状を治してしまったら該当のエンディングに到達できません。そのため、治療法を知った上でいかに患者を苦しめるかを考えながら薬を処方していきます。

最初は気が進まないのですが、そうこうしているうちに感覚が麻痺していき、ヤブ医者になった気分を味わえるのです。いえ、味わえてはいけないのですが、筆者はエンディングを網羅する為に患者を陥れる悪人になっていました。

本作にはそんな悪い楽しみ方が出来るユーモラスな一面もあります。

言語解読系ジャンルが初心者の人にもおすすめしたい

本作は一周あたりのプレイ時間が少ないながらも、言語解読の達成感と薬の効能を調べる楽しさがコンパクトに収まっている遊び応えのある作品でした。

そして、比較的手軽に遊べる難易度でありながら、真エンド到達のために難しいギミックがあったりと、ほどよく頭を使うデザインになっています。薬の調合方法も複数あり単調にならないのも良いところ。

また、公開されているエンディングの条件に「すべての患者を完治させる」がありますが、本作で言う「すべての患者」には意外性のある意味が込められており、真エンドに到達した際に判明します。そういったドラマ性を兼ね備えているのも魅力の一つです。

本作は言語解読系としては手を出しやすい難易度でもあるため、この手のジャンルに興味がある方にはぜひおすすめしたいです。

〈詳細情報〉

ゲーム名トルービズの秘薬師
ジャンル言語読解
ストア価格470円
リリース日2025年11月7日

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