『FACEMINER』が最悪で最高だったので日記に残しておこうかなと

題名とおり、『FACEMINER(フェイスマイナー)』というゲームがクソ最悪な気持ちになれて最高だったので、色褪せる前に残しておこうかなと日記を付けています。「紹介記事を書けよ!!!」と思いましたよね。その気持ち分かります。だって俺も読みたいですもん。いずれ書きたいですね。(たぶん書かない)

このゲームを超ざっくり説明すると、人の顔をマイニング(クリック)する超楽ちんな仕事にのめり込む人のお話です。Googleの認証システムみたいな感じで、正面を向いた人間の顔を選ぶだけでOK。たったそれだけお金が貰えるんだから飛びつくに決まってる。

BPM早めの作業用BGMが鳴り響き、イイ感じのブレイクコアみたいな音楽がヘッドホンに流れる。メールボックスに「テンポの良い曲を聞くと作業効率が40%アップします」みたいな、やかましい情報が送られる。すっかり作業者の気持ちになって意気揚々と画像をクリックしまくった。

そしてもちろん、自動化もできる。最終的には手放しで勝手にお金を生み出すモンスターPCが爆誕。メモリ積んで、CPUを乗せ換えて、ストレージを爆盛りして。自動化ソフトを限界までアップデートしつつ性能を引き上げて、超高速で誰よりも稼ごうぜ~的な感じ。途中までは。

稼げば稼ぐほどランクが上昇し、テンプレお祝いメールが機械音声で読み上げられる。「おめでとうございます。新しいランク:トレーニーに到達しました」。業務連絡といえど、ランクが上がるのは嬉しいものだ。引き続き眺めるだけの業務に励む。

気合いを入れてマイニング。高速でアプリを動かすほど電気代がかかるらしく、みるみる赤字が膨らんで凄まじい勢いでお金が減っていく。ソーラーパネル等で電力設備を設置するのも重要そうだ。最終的には電力が間に合わないので発電機を設置することになる。「環境に優しい方で!」なんて生ぬるいことはいえない。ちなみに、借金返済が3回遅れるとゲームオーバー。

電力を賄えても油断はできない。パソコンに負荷がかかると熱暴走のリスクも生まれる。よって水冷設備の強化も必要。PCの水冷機能だけ上げても水道代がバカ高くなって収益を食いつぶすので、自宅の水資源リサイクル機能を同時に強化していく。超ハイスペックパソコンを維持するためにはお金がかかるのだ。

謎のジンメンマイニングで荒稼ぎするゲームに擬態してるけど、実態は借金しないようにチュー二ングするリソース管理が骨格を担っている。数字とにらめっこしながら徐々にファーミングしていく流れがゲーマー心をくすぐる。途中までは。

最初こそ、なんの意味があって人の顔をクリックしているんだろうと疑問に思っていたけど、徐々にどうでも良くなる。自動マイニングの速度を上げるためにPCスペックを上げて、電気代や水道代で破産しないように外堀を埋めていく。自動化が安定するまでに時間は掛からなかった。

ときおり、受信ボックスにメールが届く。たわいない参加者同士のやり取り。カクテルを片手に優雅なマイニングを楽しんでる人、仕事中に別ソフトを立ち上げて注意勧告を受ける人、退屈すぎて愚痴を溢す人。誰かが行方不明になるなんて不穏な雰囲気もない。見えないゴールに向かって全員がマイニングを進める。

このゲームを要約するとこんな感じ。ハッキリ言おう。面白くないのだ。最初は面白いけど、急速につまらなくなる。プレイヤーができることはパソコン環境の最適化。何か特別な操作が必要なわけでもない。誰でもできることを自分の意思で進めるだけ。あまりにも介入できる箇所が少ないからクソつまらない。快感は増えても確実に飽きていく。

そして、お金が増えても何も起きないことに気づく。一定値を超えるとマイニングの速度は固定され、どれだけハイスペックPCにしても電力が増えるだけ。処理速度は平行線。手にしたお金で豪遊するわけでもない。なんの意味があって続けているのか分からなくなる。それでもお金は増え続けていく。

限界を超えて自動運転するパソコン。目の前には手持ち無沙汰の人間。プレイヤー以外も同じ人間がごまんといる。メールのやり取りから察するに、何のためにマイニングしているのか悩む人もいる様子。それでも雇い主は「慢心せずもっとシステムを強化しましょう」と煽る始末。当然、健康被害が後を絶たない。

パソコンのアップグレードに目途が付いた中盤、徐々に世界が騒がしくなる。どうやら機械から発せられる熱が環境にダメージを与えているらしい。あり得ない話だと思うだろう。たかだかパソコンの熱ごときに何ができるとタカを括り、プレイヤーもライバルマイナー達も目を背ける。

このゲーム、別にオカルトじみた事件に巻き込まれているわけでもない。ただマイニングしているだけ。続けようが、辞めまいが、何かが起きるわけでもない、と、誰もが思い込んでいる。もちろん、プレイヤー例外ではない。ほんとうに何も起きない。途中までは。

『FACEMINER』をやたらと推している理由は、マジで虚無な時間を過ごした挙句、最終的に胸糞悪い終わりを迎えるから。そして、それに抗えないから。ゲームとして進めたいからじゃなくて、ここまで来てしまったのだからどうしようもない、の方が近いかもしれない。この嫌な気持ちは能動的に手を動かせられるゲームだからこそ生成される。自ら手を下す。ワンクッションで人は最悪な気持ちになれる。

読後感や後味。作品の良し悪しを決める指標だ。良ければ良いほど快活な気持ちを与え、悪いものに関してはネガティブな評価が付く。でも、突き抜けて気持ち悪いものに対しては不思議と評価が逆転する。映画や本では珍しくない。このゲームの良さは嫌悪感にある。ゲーマーとして最適化することの虚しさ、状況が悪化しているにも関わらず数字を見つめてしまう哀れさ。罪悪感ではない。あくまで嫌悪感を与えてくる。

自分のやっていることに価値がなくなり、緩やかに絶望へと向かっていくあの感じ。最悪な気持ちになる。見届けなきゃと思うのに、終焉はじっとりへばりついて訪れない。虚無と苛立ちがずっーーと続く。合間には環境がボロボロになっていく緊急動画が常時放映され、メールボックスは暴言と許しを請う人間と割り切った人間が混在していて阿鼻叫喚。

くだらない顔認証によって見事なまでに当事者意識を植え付けられ、どうにもならない地獄を責任持って最後まで走り抜けろと強制される。あぁ、なんて胸糞悪いのだろうか。最悪過ぎて最高だった。ちょっとでも気持ち良いと感じたからこそ、逃げるなんてできない。クリア後も嫌悪感でびしょ濡れだった。

ここまで読んだあなたも是非遊んでとても嫌な気持ちになって欲しい。

ストアリンク
https://store.steampowered.com/app/2276980/FACEMINER/

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