幽霊からの電話を5秒で捌け!『1f y0u’re a gh0st ca11 me here!』

1f y0u’re a gh0st ca11 me here!』は、冥界コールセンターを舞台に幽霊からの電話対応をたったひとりで捌いていくアクションノベルゲームだ。文字を数字に置き換える「リートスピーク」で表記されたタイトルからも、このゲームの異質さが伝わってくる。

プレイヤーは幽霊からの電話を5秒で判断し、救助・地図案内・警察に振り分けていく。一見シンプルなゲームシステムの裏には、人手不足に悩む冥界の現実が見え隠れしていた。あの世とこの世の狭間で繰り広げられる、ブラック労働と成長の物語がここにある。

冥界コールセンターの存続をかけた6日間

主人公ヴァニタス・ヴァニタートゥムには、死神採用試験で起きた悲惨な過去があった。彼女の能力があまりに強力すぎて試験中に暴走。機械が耐えきれず爆発事故を起こしてしまったのだ。その後、彼女が新たに働くことになったのが、このコールセンターだった。

物語の舞台は死神の業務負担を軽減するために作られた冥界コールセンター。6日間という期限の中で成果を上げなければ、この施設は取り壊されてしまう。プレイヤーはヴァニタスを操作し、画面に次々と現れる吹き出しを見ながら瞬時の判断を繰り返していく。

電話の内容は「救助」「地図案内」「警察」の計3つ。さらに人間からのイタズラ電話は「切断」しなければならない。この判断を5秒以内に下すというシンプルだが、奥深いゲームシステムが本作の核となっている。

6日間を乗り切りどんなエンディングを迎えるかは、プレイヤーの腕次第だ。

幽霊からの通報電話はすべてワンオペで捌く

冥界コールセンターは死神の業務負担を軽減するため、新技術を導入して作られた施設だ。しかし皮肉にも、この最新施設もまた人材不足に悩まされていた。

死神や冥界という超常的な世界観で、人手不足という極めて俗世的な悩みを抱えているこのギャップが面白い。まるで現実のブラック企業を見ているようで、思わず顔が引きつってしまう。

特に手こずったのは幽霊たちの要求を正確に聞き分けることだった。当然だが幽霊は既に死んでいる。「助けて!」と表示されても「救助」か「道案内」かわからず、ある程度会話を聞かないと判断できない。

5つの会話が同時に出現した瞬間、私の頭は完全にパンクした。5箇所を同時に見ることなど到底不可能なのだ。結局は一つ一つの会話を素早く判断し、目まぐるしく手を動かすしかない。画面のあちこちで吹き出しが現れるたびに瞬時の判断を迫られる体験は、他の作品では味わえない独特なものだ。

慣れてきたかと思えば、新たに「電話を切る」という要素が追加される。人間からのイタズラ電話は切断しなければならないのだ。幽霊専用のコールセンターなので当然といえば当然だが、この判断がまた難しい。最初は「なんで人間から電話が?」と困惑したが、よく考えれば現実のコールセンターでもイタズラ電話の対応は日常茶飯事なのだろう。

強大な力は身をも滅ぼす

ヴァニタスには特別な能力があり、付近にいる全ての幽霊の声を聞くことができる。他の死神より優秀なはずの能力が、皮肉にも彼女の重荷となっていた。常に誰かの声が聞こえる生活の苦痛は計り知れない。

しかし、この呪いのような能力がコールセンターという形で活かされることになる。むしろヴァニタスの能力があったからこそ、このシステムが誕生したのだ。人の役に立っている実感が、彼女に自分の力を肯定する機会を与えた。

欠点だと思っていたものが、見方を変えれば長所になる。この逆転の発想に心を打たれた。誰もが自分の弱点やコンプレックスを抱えているが、それが強みに変わる瞬間があることを、このゲームは教えてくれる。


HARF-WAY コマーシャル

絵を一切使わずに文字だけで作られたテキストADV『文字遊戯』。様変わりした世界観が目玉と思いきや物語は思わぬ方向に進み、プレイヤーは言葉に干渉しながら世界を書き換えて真実と向き合うことになる。


冥界コールセンターでの勤務を終えて

プレイして最も心に残ったのは、冥界の住人たちの人間臭さだった。カルペが勤めたいと言った時にヴァニタスが即答で了承するシーンは特に印象的だ。ワンオペで猫の手も借りたいヴァニタスにとって、人手が増えるとは思ってもみないこと。ブラックな労働環境が垣間見えるこのシーンは、「あの世でもブラック労働かよ!」と思わずツッコミを入れたくなる。

コールセンターの存続とヴァニタスの成長を描く王道ストーリーは、きれいにまとまっていて後味も良い。奇抜な設定やゲームシステムに目が行きがちだが、物語の軸はしっかりとしていた。自分の欠点を受け入れ、それを強みに変えていく過程は、プレイヤーにも勇気を与えてくれる。

プレイ時間は2〜3時間程度と短めだが密度は濃い。ちょっと刺激のあるノベルゲームを求めている人には、ぜひプレイしてもらいたい。5秒間の判断を繰り返す緊張感と、人間味あふれるキャラクターたちの物語。『1f y0u’re a gh0st ca11 me here!』は、アクションとストーリーが見事に融合した記憶に残る一作だ。

〈詳細情報〉

ゲーム名1f y0u’re a gh0st ca11 me here!
ジャンルアクションノベルゲーム
ストア価格720円
リリース日2021年11月2日

HARF-WAY コマーシャル

煙草を軸に交差する、ふたつの恋の物語。
無料で、どなたでも。スマホで、PCで、どこでも。
まるで文庫本のような、縦書きビジュアルノベル。

寂しさにも、熱がある。
『Keep Only One Loneliness』


最新情報をチェックしよう!