今回紹介する『ゴロゴア』は、テキストや言語が存在しないゲームの1つです。登場人物は話さないし言葉によるチュートリアルもありません。必要なのはあなたの想像力だけ。
幻想的な生き物が登場する世界で、時空を超えた力に導かれた主人公がたどり着く先はどこなのか。語られない背景でなにが起こっているのか。プレイヤー自身の想像力で読み解けるのが本作の魅力です。
この記事で触れるストーリーはあくまで筆者の想像であることを念頭に置いて、「もし自分だったら」と想像力を膨らませながら読んでみてください。
謎の生き物を求めて

ある日、街に巨大で幻想的な生き物が出現しました。
それは熱帯の海にいそうな極彩色をしていて、龍のような生き物にも見えます。謎の生き物と呼ぶのは長いので、この記事では「龍」と呼ぶことにしましょう。
建物の窓からでは龍の全貌を確認できませんが、その色鮮やかさが印象に残ります。

気まぐれに現れてはどこかへと消える。
そんな龍を目撃した赤い服を着た少年がいました。
少年は本で龍について調べます。龍のために「5色のなにか」を集めようと決心した少年は、青い容器を抱えて旅に出ます。
冒頭に述べた通り、このゲームには言葉がないのでこの読み取りは筆者の想像です。
少年が本をめくり、龍の記載されたページを見つけ、そのページに5色のなにかを捧げる人間のイラストがあった。
その描かれていた人間は少年に似ていたような?そして少年と一緒に老人も描かれていたが、この老人は誰なのだろう?
この疑問の答えがゲームから語られることはありません。疑問を抱えて、予想を膨らませながらゲームの中に入っていきましょう。
分解して組み合わせる世界

▲世界は最大4つに分割が可能
このゲームの主人公は赤い服の少年ですが、プレイヤーは少年に干渉できません。できることは、世界を動かして少年に進む道を用意することだけ。
世界を動かす、とはその言葉の通りです。
ゴロゴアでは、画面に映る世界を最大4つに分割できます。例えば1つの窓の絵をスライドすると、「窓」と「景色」のシーンを生み出せるのです。
「景色」だけになった絵にズームすると、遠くにあるはずの建物に近づけます。
「窓」の絵は画面内に窓枠までしか収まっていない状態でしたが、そこから遠ざかることで窓のある室内の様子が分かるようになります。
この世界の操作にはとてもドキドキさせられました。
絵の下から絵が出てきたり、分割された絵の中を移動したり、バラバラの絵と絵を組み合わせて先に進む。選択と移動というシンプルな操作でありながら、世界を分割する謎解きによって想像の余地が広がります。
もう一つ例を出しましょう。
ここに、扉の開いた物置に少年がいる絵と、屋上と屋上に繋がる出入口の絵があります。その出入口の絵には扉がなく、扉の形に穴が開いている状態です。

屋上の出入口の穴と、物置の出入口の大きさと位置が合致しているので、屋上の絵を物置の絵の上に重ねると…

物置と屋上が繋がり、物置の中にいた少年は屋上に出られました!
さっきまで屋内にいたはずなのに、物置から出ると知らない建物の屋上にいる。繋がっていなかった道が、プレイヤーの手によって繋がってしまいました。
現実離れした出来事が起こっているにも関わらず、少年は軽く周囲を見回すだけで、さっさと歩いて行ってしまいます。
パズルのコツは観察すること

少年の旅は常識では考えられない、不条理極まりないものです。
夜空に輝く星はランタンに閉じ込められて灯りとなり、少年は写真から写真へと移動する。
絵の分解と組み合わせ、拡大や縮小、移動を駆使すると、世界は理解も空間も超えた変化を起こします。
調べられる箇所にはハイライトが付きますし、目的地や謎解きに必要なオブジェクトは背景より鮮やかな色をしているので、画面を観察してみてください。
「どこが分解できるだろうか?」「この絵に開いた穴と同じ形をしている部分はないだろうか?」「うまく絵を組み合わせたのに、なにも起こらないな?」と思う瞬間もあるかもしれません。
そんな時は立ち止まって、絵を眺めてみてください。
きっと、別の絵が浮かんでくるはずです。
時空を超える旅

プレイヤーにできるのは、少年が5色のなにかを集めるのをアシストしながら見守ることのみ。
突然街がボロボロに破壊されたり、怪我をしている人がいたり、世界には変化が起こっています。
淡い落ち着いた色合いをしていた景色が、白黒の寂しい景色になることもありますが、少年はなにも気にする様子もなく淡々と自身の旅を続けます。
龍の正体や少年の目的と同じく、ゲーム中では何も語られません。
分割された断片的な世界を組み合わせるパズルなので、いつ、どこで、なにが原因で変化が起こっているかを把握するのは少し複雑です。
それでも、このシュールな世界には一本の筋の通ったストーリーがあります。
余白が広く、プレイヤーによって様々なストーリーの想像の仕方があることでしょう。テキストのないゲームの面白いところです。
『ゴロゴア』を遊んで自分の想像が膨らんだら、他のプレイヤーの想像を聞いたり読んだりして、様々な解釈に出会うのも楽しいです。
純粋な遊びの再体験

筆者が「インディーゲーム」という言葉を知ってまもない頃に出会ったのが『ゴロゴア』でした。
当時はスマホで遊び自分の指で4分割された画面を操作して、自分の手のひらの中で美しい世界の中に没入する体験に感動したものです。
世界を動かして少年に道を与えたのはプレイヤーである自分なのに、なんだかとてもドギマギします。主人公自身に変化を与えるのではなく、世界自体に変化を起こすゲームに出会ったのは『ゴロゴア』が初めてだったので。
世界を分解して組み合わせる行為は子供の頃に楽しんだ仕掛け絵本のように、想像力を育む純粋な遊びを再体験しているようでもありました。
このボタンを押すとなにが起こるのだろう?
この場所でこの行動をしたらなにが起こるのだろう?
『ゴロゴア』はそんな純粋な好奇心に溢れ、それに応える驚きが待っているゲームです。
〈詳細情報〉
| ゲーム名 | ゴロゴア |
| ジャンル | パズルアドベンチャー |
| ストア価格 | 2,000円 |
| リリース日 | 2017年12月15日 |
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煙草を軸に交差する、ふたつの恋の物語。
無料で、どなたでも。スマホで、PCで、どこでも。
まるで文庫本のような、縦書きビジュアルノベル。
寂しさにも、熱がある。
『Keep Only One Loneliness』

