外国の庭って、なんだかときめきますよね。
色とりどりの花が咲き誇り、真っ白な石膏像が静かに佇む、いかにも物語に出てきそうなイングリッシュガーデン。整えられた花壇や小道のある庭もあれば、野草や樹木がのびのびと生い茂る、どこか秘密めいた小さな庭もあります。
幼い頃に読んだ物語の中には、そんな魅力的な庭がたびたび登場しました。ページをめくるたび、「こんな場所に迷い込んだらどんな気分だろう」と想像を膨らませ、ひとりで空想に耽ったものです。
本作『魔女の庭にて』では、そんな憧れの庭へ主人公とともに足を踏み入れることができます。
花々が揺れ、木々の間から柔らかな光が差し込む庭は、どこか懐かしく、それでいて少し不思議な雰囲気に包まれています。まるで物語の中に入り込んだかのような感覚を味わえるでしょう。
ただし、ひとつだけ注意が必要です。
この庭には、いくつか守らなければならないルールが存在します。それを破ってしまうと、私たちは二度と外へ出られなくなり、永遠にこの『魔女の庭』を彷徨うことになってしまうのです。
美しい魔女の庭から脱出しよう

本作はいわゆる「異変探しゲーム」です。プレイヤーは主人公である少女・オリヴィエとともに、不思議な魔女の小庭へ足を踏み入れることになります。
基本的なルールはとてもシンプル。
庭を進みながら周囲の様子をよく観察し、次のルールに従って行動します。
・何か異変を見つけた場合は、ドアの前まで戻る
・異変が見当たらなければ先へ進む
・判断を間違えると、0からやり直しになってしまう
・正しい判断を9回連続で続けることができればクリア
やること自体は非常にシンプルですが、庭の中にはさまざまな違和感が紛れ込んでいます。オブジェクトの位置が変わっていたり、景色の一部がわずかに違っていたりとプレイヤーの観察力が試されます。
とはいえ、難易度は比較的易しめ。意図的に目を凝らさないと分からないような極端に細かい異変は多くありません。異変探しゲームにあまり慣れていない人でも気軽に挑戦できる作りになっています。
ただし、本作の画面は白黒のビジュアルで描かれているため、一瞬迷ってしまう場面もごくまれにあります。そんなときは焦らず、庭の隅々までゆっくりと視線を巡らせてみてください。
まるで絵本に迷い込んだような美しさ

思わずため息がこぼれてしまうほど美しいイラストも本作の大きな魅力です。画面に広がる庭はどこを切り取っても絵になるような作りになっており、探索しているだけでも楽しい気持ちにさせてくれます。
オリヴィエが身にまとうドレスのフリルやリボンの質感、庭を囲む生垣の葉一枚一枚、道に落ちる影の表現に至るまで、細かなディテールが積み重なって空気感を作り上げています。
モノクロを基調としたビジュアルでありながら、柔らかく温かみのある雰囲気を感じられるのも印象的です。
こうしたビジュアルは、本作の制作者のぎいち氏(@nogiichiro)による手描きのイラストによって表現されています。繊細な線で描かれた庭の風景からは、作品世界への強いこだわりが感じられ、プレイヤーを不思議な空間へと自然に引き込んでくれます。
さらに、本作では自作のシステムを用いた擬似3D2Dの表現を採用。プレイヤーが前へ進むごとに庭の景色が少しずつ変化し、まるで奥へ奥へと歩いているかのような感覚を味わえる設計です。
単なる平面的な背景ではなく、庭の奥行きが感じられる演出によって、探索の没入感もぐっと高まります。
多種多様な異変たちに惑わされる

異変のバリエーションが非常に豊富な点もこの作品の注目したいポイントです。
庭を一歩進むたびに、「次はどんな変化が起きているのだろう」と自然と期待が高まり、ワクワクしながら探索を続けることができます。オブジェクトの配置がさりげなく変わっていたり、風景の一部に違和感が生まれていたりと、その内容はさまざま。
単に違いを探すだけでなく、次にどんな仕掛けが現れるのかを想像しながら歩き回る時間そのものが、本作の楽しさと言えるでしょう。
一方で、異変探しゲームと聞いて気になるのが、ジャンプスケアのような突然驚かせる演出ではないでしょうか。ホラー作品の中には、急に大きな音が鳴ったり、不意に何かが飛び出してきたりすることでプレイヤーを驚かせる演出が用いられることもあります。
その点、本作は基本的に落ち着いた雰囲気で観察していくタイプのゲームですので、驚かせるような演出はありません。ホラーが得意ではない方でも楽しみながら安心して探索できる作りになっています。
考察も捗る余韻のあるストーリー

この作品では特にストーリーというストーリーは展開されていません。
しかし、主人公のオリヴィエはどうしてこの庭に迷い込んできたのか、そしてこの場所がいったい何なのかといったことは、プレイしているうちに自然と気になってくると思います。
明確な説明が与えられるわけではありませんが、庭の雰囲気や配置されたオブジェクト、そして時折現れる不思議な異変を眺めていると、どこか意味が隠されているのではないかと想像を巡らせてしまいます。
はっきりと語られないからこそ、プレイヤーそれぞれが物語を思い描ける余白が残されている静かな魅力も、この作品の特徴と言えるでしょう。
少女と庭を巡る、不思議なひとときを

豊富な異変と不思議な庭の雰囲気が魅力の本作。
難易度も比較的やさしく、異変探しゲームが初めての人でも気軽に楽しめる作品になっています。
ルールはシンプルですが、庭を歩くたびに新しい違和感が現れ、「次は何が起こるのだろう」とつい先へ進みたくなるはず。
静かな庭に隠された異変を見つけながら、オリヴィエとともに不思議な散策を楽しんでみてください。
〈詳細情報〉
| ゲーム名 | 魔女の庭にて |
| ジャンル | 異変探しゲーム |
| ストア価格 | 無料 |
HARF-WAY コマーシャル
煙草を軸に交差する、ふたつの恋の物語。
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まるで文庫本のような、縦書きビジュアルノベル。
寂しさにも、熱がある。
『Keep Only One Loneliness』

