夏になると、どうして怖い話に惹かれるのでしょう。
不思議な現象や得体の知れない影は、ヒヤッとした涼を運ぶ夏の定番。真夏が過ぎても残暑の厳しい今日この頃、静かな夜に背筋をぞわりと撫でる奇妙な物語を読んでみては如何でしょうか?
今回ご紹介するのは、日本の各地で起こる不思議なことをテーマにした短編ホラーノベル『怪話』。怖さだけではなく、不思議さや妙な余韻を残す4つのエピソードが収録されており、読後にふと後ろを振り返ってしまいたくなるような体験を味わえます。
日常に潜む怪異を描く、4本立ての短編集

本作は、日常に潜む怪異をテーマにした短編ホラーノベル集です。
全4本の短編が収録されており、いずれも「奇妙さ」や「不気味な余韻」を重視した物語になっています。各作品は前編・後編に分かれており、前半で起こる異変や小さな違和感は後半で回収され、徐々に真実が明らかになる流れです。
制作は『奇天烈相談ダイヤル』『孵道』など、直接的な怖さでなく世界観を介して恐怖を伝える独特なホラー作品を手がけてきた『法螺会』。 他作品同様、和ホラーならではの“じんわりと忍び寄る怖さ”が特徴です。
一口にホラーといっても今作に収録された怖さのジャンルは様々。オカルトチックなものから因習ものやヒトコワまで……。プレイし終わるころには、自分の好きな作品が見つかるはずです。
ホラーは好き、でもびっくりは苦手…そんな人へ

「ホラーゲームは気になるけどジャンプスケアがちょっと苦手…」という人は少なからずいらっしゃると思います。何を隠そう、筆者もその一人だからです。
ホラー自体は大好きですが、迫力ある音とビジュアル、いつ驚かされるのかという緊張感からプレイする踏ん切りがつかなかったことも数回ではありません。
そんな同志の方々へ朗報です。本作では大きな音や映像で驚かせるジャンプスケアがほとんどありません。その代わり、じっとりとした不気味さや奇妙な出来事の余韻が数多く散りばめられています。
そのため、筆者同様「ホラーは苦手だけど雰囲気は味わってみたい」という人にぴったり。心臓に悪いショック系の恐怖ではなく、読後にふと考え込んでしまうような“後を引く怖さ”を安心して(?)体験できます。
音が生み出す“嫌な怖さ”

本作の魅力を一層引き立てているのが、サウンド演出です。派手な効果音やBGMというよりも、かすかな環境音や耳に残る声といった“嫌な音”を巧みに配置。プレイヤーの想像力を嫌な方へと刺激します。
特有の静けさに混ざるノイズや湿り気のある声は、何も起こっていないはずの場面にも緊張感を生み出し、読み進めるほどにぞくぞくする恐怖感をもたらしてくれるのです。
また立体的な音声を知覚できる「バイノーラルサウンド」で臨場感も倍増。「背後で何かが起きている…!」と振り向きたくなること必至です。ぜひイヤホンやヘッドホンを着用してプレイしてみてください!
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絵を一切使わずに文字だけで作られたテキストADV『文字遊戯』。様変わりした世界観が目玉と思いきや物語は思わぬ方向に進み、プレイヤーは言葉に干渉しながら世界を書き換えて真実と向き合うことになる。

民俗ホラー好きに推したい一作「ゅべぬろ」

今作に収録されている4編に繋がりはなく、異なる主人公から構成されています。一つ一つの作品が独立しているのでサクッと楽しめるのも魅力です。
特に2作目の「ゅべぬろ」は屈指の怖さ。
事故によって記憶が曖昧なまま学校でいじめに遭う主人公。ある日の帰り道、おじいさんが教えてくれたのが「ゅべぬろさま」という願いを叶えてくれる土着の神様の存在です。しかし儀式が失敗すると代償があるといいます。主人公は記憶を取り戻すため「ゅべぬろさま」を祀る山へ向かい…。
といった内容です。
小さな伏線も端々に仕掛けられており、読み終わって真実を知ったうえでもう一度最初から読み返したくなること間違いなし。また「ゅべぬろさま」の儀式の描写が秀逸で、背景のスチルやサウンドと相まって背筋を凍らせます。
3時間で背筋ひんやり。ページを捲るように楽しめる怪談体験

ゲーム全体を通しても3時間ほどで上質な怪談が読める今作。難しい操作やギミックもないため、シナリオにどっぷり浸りたい派の方々にはもちろん、読書好きな方々にもお勧めできる一作です。さらに、各章に一度だけある選択肢によってエンディング分岐も存在するため、繰り返し読む楽しさもあります。
また、さらに多くの話数を収録しボリュームアップした『怪話2』もリリース中。夏の終わりのひととき、ホラー初心者も怪談マニアも、ちょっと怪しい世界に飛び込んでみてください。
〈詳細情報〉
| ゲーム名 | 怪話 |
| ジャンル | ホラーノベル |
| ストア価格 | 無料 |
| リリース日 | 2024年3月26日 |
HARF-WAY コマーシャル
煙草を軸に交差する、ふたつの恋の物語。
無料で、どなたでも。スマホで、PCで、どこでも。
まるで文庫本のような、縦書きビジュアルノベル。
寂しさにも、熱がある。
『Keep Only One Loneliness』

