『Refind Self: 性格診断ゲーム』は、人型ロボット「うつわ」を操作して亡き博士の記憶を辿る探索アドベンチャーだ。死期が迫った博士は100年後にクローンとして蘇り、うつわと再会を果たそうと奔走する。しかし、うつわに「記憶だけの存在は博士じゃない」と拒絶され続けてしまう。
また今作は「性格診断」としての性質も持つ。切ない物語とは異なる軸で23種類の性格タイプが診断され、トビラの開け方から選択肢を選ぶ速度まであらゆる行動が記録されていく。正解がないからこそ素の自分でプレイできる開放感が心地よかった。
「正解のない世界」で見つける自分らしさ

プレイヤーは人型ロボットとして博士の記憶をたどる形で探索をおこなうものの、すべての行動に最適解は存在しません。「何をしたか」だけが優劣なく記録されていきます。調べるアイテムや選ぶ順番はもちろん、探索の効率的なルートも用意されていません。
いつも現状維持を選んでいることに気づいた時、「無難な選択をする」私の一面がデータとして可視化される。その一方、ミニゲームでは反射的に最速クリアや最高スコアを狙い、パズルは力技で解こうとする。誰に評価されるわけでもないのに効率を求めてしまう。
診断結果は「番長」。自分でも薄々感じていた性格だった。力技で突破する強引さと、現状維持を選ぶ慎重さ。正解がないからこそ矛盾すらも「自分らしさ」として肯定される。効率を求める面も、無難を選ぶ面も、どちらも本当の私だ。
無機質なロボットに滲み出る人間らしさ

「うつわ」は博士によって作られた人型ロボット。感情を持たないはずなのに操作を始めた瞬間から、プレイヤーの「人間らしさ」が宿り始めます。
私の場合、道に咲く花を摘んで街灯をすべて点けて周った。収集を重視する性格がロボットの動きにそのまま反映される。心を持たないはずの存在が、私の行動パターンを忠実になぞっていく。
最も印象的だったのは、NPCとの会話での間の取り方。私は、必ず一呼吸置いてから選択肢を選ぶ。現実でも聞き手に回ることが多く、相手の話を最後まで聞く習慣がゲーム内でも無意識に現れていた。
ロボットの持つ「空っぽの器」に、プレイヤーの素の行動が映し出される。一歩引いて自己投影されたうつわを眺める構造が、自分でも気づかなかった癖や性格が浮き彫りにしていきます。
博士とうつわの記憶を巡る物語

博士の墓前から始まる今作。うつわを操作して博士の記憶を辿ると、ナノマシンの浸食により彼に死期が迫っていたことが明らかになります。どうやら博士は自分のクローンを作りあげ、うつわと100年後に再会する計画を立てていた様子。
人型ロボット「うつわ」と、彼女を作った博士。性格診断の裏側で、もうひとつの物語も静かに進行しています。それは単なる創造主と被造物の関係を超えた、深い絆の物語でした。
しかし、うつわはクローン計画を拒絶する。「過程があるから相手を愛せる。記憶だけを移植したクローンは、私の知る博士ではない」。どんなにプログラムを調整しても、うつわは必ず博士の記憶データである「羊」を破壊してしまう。
プレイヤーがどんな性格に育てても、うつわは必ず同じ選択をする。彼女はデータでは再現できない「心」を理解しているから。博士との時間は記憶の複製では取り戻せない。性格診断で自分と向き合いながら、「心とは何か」を問いかけてくる作品なんです。
HARF-WAY コマーシャル
絵を一切使わずに文字だけで作られたテキストADV『文字遊戯』。様変わりした世界観が目玉と思いきや物語は思わぬ方向に進み、プレイヤーは言葉に干渉しながら世界を書き換えて真実と向き合うことになる。

診断結果が教えてくれたシンプルで不完全な自分

本作の巧妙さは、性格診断の仕組みに「博士とうつわ」の物語を融合している点です。プレイヤーの行動を細かく記録するシステムと、周回ごとに深まるストーリー。単なる診断ゲームではなく、自己理解のための体験型ゲームとして完成されています。
一番印象に残ったのは、診断結果が見せてくれた自分の多面性でした。力技で突破する「番長」でありながら、現状維持を選ぶ慎重さも併せ持つ。矛盾する要素を欠点ではなく「個性の組み合わせ」として提示された時、複雑な自分を受け入れられた気がしました。
もしあなたが完璧主義で疲れていたり、自分の性格に戸惑いを感じているならプレイしてみてください。きっと予想外の診断結果に驚き、自分の矛盾に笑い、最後には「これでいいんだ」と思えるはずです。
Steam版920円、スマホ版600円。手頃な価格で攻略法のない約1時間の冒険が、「不完全な自分」を愛する心地よさをあなたに教えてくれるかもしれません。
〈詳細情報〉
| ゲーム名 | Refind Self: 性格診断ゲーム |
| ジャンル | 性格診断アドベンチャー |
| ストア価格 | 920円 |
| リリース日 | 2023年11月14日 |
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