モニターの縁に小さいクモが張り付いている。
息を吹きかけたら飛んでいきそうな小さな身体。なんて名前なのか知りたくてスマホで接写する。サッとグーグルを開いて画像検索をしてみた。
「これはハエトリグモだね、たぶんダニとか食ってるよ」とのこと。調べ方を知っているだけで、欲しい情報は何でも手に入る時代なんだなとしみじみ。
顔を近づけてクモを観察する。先端の白い前足でクシクシ。移動するときは跳ねるように瞬間移動している。なんだかコワ可愛い。
友達ができた、汚い部屋を徘徊してダニを食ってるような奴だけど。妙な仲間意識というか、「一緒に生き抜いていこうな」と語りかける。人間の圧を感じたのかカーテンの隙間の陰に隠れてしまった。
しかも、一匹だけではない。
ほかに2匹ほど別の個体が徘徊している。大きさも違うし、どことなく顔も違う。食うに困らないほど害虫がいるのだろうか。地味に凹む(だったら掃除しろ)。
これも調べてみると、食べるものがなくなり次第、家から勝手に去って行くらしい。パソコンの裏、本棚の隙間、クローゼットの隅っこ。クモからすれば食べ放題のビュッフェだろう。
たまに見かけるくらいには顔を見たい気持ちと、早くどこかに行ってほしい気持ち。生活が満ちていれば「うわ!クモじゃん!外に逃がして部屋でも掃除しよ~」となりそうだけどそうはならず。
ハエトリグモは害虫を捕食する公益虫であり、その見た目から不快害虫とも呼ばれている。確かにどちらに属していても頷ける。共存した方が明らかに実益があるにも関わらずだ。
ゲームでも、蜘蛛恐怖症向けの専用オプションが用意される時代。デリケートな人も増えているのだろう。自分としては、タランチュラでもない限りは問題ない。この辺は鈍感で良かったなと思う。
こういう存在になりたい。
不快な部分もあるけど実は良い奴みたいなポジションで細々と共存し、ときたま可愛がってくれる人に恩を返す。そういう生活を送れたらなと思った。
嫌いな人間の前にでたら叩き潰されるかもしれないけど、好いてくれる人の前に行けば少なからず死ぬことはない。このクモが自分と出会ったように、自分も共存してくれる人の場所に行けば良いのかもね。