久々にお粥を作った。
作ったと自慢できるほど難しい料理ではなく、炊飯器に残った米を鍋にぶち込んで水を足し、ぐつぐつ煮込んで溶き卵を混ぜるだけ。そこにカッコつけて小ネギを入れるのが自分流。
「ネギがイイね」とコタツを抱えて美味しそうに食べていた。その横には付きっきりで犬が寝ている。二人揃って風邪を引いたらしい。コップにウーロン茶を注ぎ入れて「あんがとね」とお礼を言いながらそっと置き、そそくさと後片付けをする。
お粥を褒められたのは人生で二度目だ。
あれは確か22歳だったと思う。一人暮らしをしていた自分に人生で初めて彼女ができて、なんかイイ感じに同棲までしちゃって、世間的にいう蜜月を過ごしていた頃のこと。
風邪を引いて寝込んだ彼女から「お粥が食べたい…」といわれ、取り敢えず台所に立ったことを覚えている。せっかくなら一番美味しく作れるレシピをと思い、色々さがした結果「白ごはん.com」というサイトに辿りついた。
そのサイトは土鍋を使って生米の状態から作る方法が書かれており、何となく一番美味しそうだと思った記憶がある。クックパッドよりも信ぴょう性が感じられたのも決め手だった。
ニトリで買った小さい鍋を取り出し、分量通りにお米と水を入れていく。弱火にかけてなるべく沸騰しないように火を見張る。焦げ付かないようにしゃもじで鍋底を撫で、じっと耐える。
お米の硬さを見ながら火を止め、溶き卵を加えて余熱で火を通す。茶碗によそって小ネギを振りかければ完成。ベットで死んでる彼女の元へ向かう。
予想よりも美味しそうなお粥と対面して元気を取り戻し、その勢いで一口、そして二口。「こんなに美味しいお粥初めて食べた…」と喜んでいた。なんか普段は料理しない人間が奇跡的に作ったみたいな言いぐさだけど、料理当番は自分だったのでそういう美味しさではないと思う。
それ以来、風邪を引いてなくてもお粥を熱望される時があり、元気バリバリの人間にしょっちょうお粥を振る舞っていた。得意料理はお粥、と太鼓判を押される時期があったことを思い出す。
料理も何でもそうだけど、結局は他人が喜んでくれるのが一番満たされるんだよなと思った。自分のために何かをしても面白くないけど、自分の行動によって誰かが満たされると許された気がするのよね。
もう一度、そういう人生を送っても良いのかなと思った。