生物系三大奇書のひとつレオ・レオーニ著『平行植物』には、現実と幻想のあわいに花を咲かせ、知覚の外側に葉を伸ばす架空の植物「平行植物」が記されています。
本作『Strange Horticulture』は、そんな幻想の植物を取り扱うゲーム。プレイヤーは薬草店の店主となって、さまざまな幻想植物を鑑定して依頼をこなしていくことになります。
ゲームに登場するアイテムには枚挙に暇がありませんが、そんな中で本作は、植物に的を絞ったユニークな一品です。
幻想植物店を経営しよう

プレイヤーは、亡くなったおじさんから植物店を引き継ぎます。そこにある植物はどれも奇妙なものばかり。ゲームの目的は、店を訪れる客の注文に従って植物を鑑定し適切な植物を提供することです。
手元には幻想植物辞典があり、プレイヤーはこの辞典を頼りに外見や効果、学名といったヒントから植物を鑑定。鑑定の成功で辞典の新しいページや植物を手に入れて、ゲームを進行させていくのです。
ときには2種類の植物のどちらを渡すかという選択を迫られることも。これによってストーリーは分岐していき、プレイヤーの行動によって物語はさまざまな結末を迎えることになります。
バラエティ豊かな幻想の植物

本作の実質的な主役と言えるのが、70種を超えるバラエティ豊かな幻想植物たち。
紫色の小さな花が集まったもの、細長い葉を伸ばすだけの地味なもの、死者の手を思わせる不気味なものなど、幻想植物は現実にもありそうなものから見たこともない異様なものまで種々様々。
これらの植物にはまるで実在の植物であるかのように学名や外見、においといった特徴、服用した際の効果などが設定されています。モキュメンタリーやスペキュレイティブ・フィクションが好きな人にはたまらないものがあるでしょう。
特にその効果は、虫よけや消化促進などから
「どんな錠前でも開けられる」「探している相手の方向を指す」「通常では到達不能なレベルにまで感覚が鋭敏化する」「第三者に察知されなくなる」「血管と唇が真っ黒に染まり苦痛に満ちた死を迎える」など、いかにも幻想の植物といったものまで。
そしてこれらの効果がストーリーの分岐にも大きく影響するのです。
特徴的なマップ移動

プレイヤーが行動するのは店の中だけではありません。店に届く手紙や章の合間に手に入るカードの記述に従い、マップを移動してさまざまな場所を訪れることができます。
マップはグリッド状の店の周辺地図に分かれており、プレイヤーは各地に赴き新しい植物を手に入れてストーリーのヒントを得ます。後半になると暗号解読用のアイテムを用いて行くべき場所を特定するといった謎解きのギミックも。
この地図を用いた移動と謎解きが植物鑑定の中のちょうどいいアクセントになっており、基本的に同じことを繰り返すタイプのゲームである本作のプレイを飽きさせないものにしていると言えるでしょう。
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コンティニュー画面にもギミックがある

本作は主目的の植物鑑定を軸としながら、さまざまなギミックでプレイヤーを飽きさせない工夫が随所に見られます。そして本作には、コンティニュー画面にすらギミックがあるのです。
鑑定をミスすると「湧き上がる恐怖」というゲージが溜まっていき、いっぱいになるとゲームオーバー。そこからコンティニューする際には、正しい鍵を選んで錠前を外していく、砕け散った円盤の破片を集めてもとに戻すといったギミックを解いていきます。
大抵のゲームにはコンティニュー画面があるものですが、大半の場合はYESかNOを選ぶだけ。作品によっては、そこで没入感が失われてしまうこともあります。しかし本作はコンティニュー画面にまで本作らしいギミックを仕込むことで、プレイヤーの没入感を削ぐことを防いでいるのです。
「コンティニューで毎回ギミックを解かなくてはいけない」となると面倒ですが、本作はヒント機能もあることからそこまでゲームオーバーにはなりにくく、この要素がストレスにならないように調整されている点も注目に値するでしょう。
静謐な雰囲気で楽しめる幻想的な一本
ゲームには、大迫力のスペクタクルや激しいアクションだけでなくリラックスも求められるもの。本作は徹底して静謐な雰囲気を保つBGMと幻想植物の生み出すチルな雰囲気が大きな魅力です。
また、詳細な設定が書き込まれた幻想植物辞典は、まるで異世界の百科事典を読んでいるような気持ちにさせてくれる読み物としても魅力的。
本作は、深夜にプレイしたくなるような静謐な雰囲気のゲームを求めている人や、かつて、そして今も図鑑を読むのが好きな人におすすめしたい一本です。
〈詳細情報〉
| ゲーム名 | Strange Horticulture |
| ジャンル | パズルアドベンチャー |
| ストア価格 | 1,800円 |
| リリース日 | 2022年1月21日 |
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