雨で憂鬱な気分を少し和らげてくれるノベルゲーム『梅雨が明けるまで』

雨の日を皆さんはどう思うだろうか。

梅雨はジメジメして鬱陶しいなぁと思ってしまうが、ちょっと涼しくなった頃の小雨くらいなら許せる。ただ、傘を持ち歩くのが面倒だなとか、気圧で頭が痛いなとか、なんとなく雨に良いイメージがない。

梅雨が明けるまで』は、しとしと降り続ける雨が人間の姿で少女の前に現れる短編ノベルゲームだ。

寂しさを感じている少女「タマキ」と人間の姿をした雨「アメオ」が、長いようで短い梅雨の時期を共に過ごす物語を紹介したい。

主人公は引きこもり、部屋はゴミだらけ

今作の主人公である「簾谷(みすたに)タマキ」は、雨が降る空を見上げ、どこかアンニュイな表情を浮かべながら「寂しい、友達がほしい」と一人呟く。

雨の日はなんとなく自分も気分が下がるので、タマキの気持ちも少しわかる。彼女の「寂しい」はどうやら、引きこもっていて人と話す機会がない、というところから来ているようだ。

部屋の様子も荒れていて、ぐちゃっと丸まった布団にたくさんのゴミ袋。主食はお菓子らしく、机の上には薬のようなものも置かれている。

そんなタマキの部屋は三階のアパートの一室。その窓辺に、いきなり一人の男が現れる。

急に窓辺に現れた、丁寧な口調の男性

振り続ける雨を見つめて「雨と友達になれたらいいのに」、と漏らすタマキのもとに現れる一人の男性。

『雨』そのものであるという彼の名前はアメオ。本当にそのままなネーミングに少しくすりときた。

友達になりたいとは言ったけどまさか本当に人が現れるなんて!とタマキは思ったが、彼は人型を模した雨粒であり、いわゆる人外というやつだ。

終始丁寧な口調で儚げな表情の彼。人間たちのことを空から見ていて、スマホやLINEも知っているらしい。もちろん所持しているわけでもないし、雨である彼がスマホに触れると水没するようだ…。

思ってもみなかった相手との出会いにタマキは歓喜し、雨の日にだけ会える彼と友達になるべく積極的に交流を図る。

雨と話す機会なんてそうそうないので色々聞こう!

▲分岐はなく全ての会話を楽しめる

自己紹介も終えたところで、「あなたは何者でこんなところでなにをしているの?」とタマキの質問攻め。

ちなみに、チラチラ見えるタマキのTシャツには「ラーメン愛」と書かれている。特にラーメンが好きというわけではなく「安かったから」着ているそうだ。確かにこういうシャツをたまに街中で見かける…。

会話の中で、タマキは引きこもりであることを明かす。アメオはそれすらも空から見ていたから知っていて、「雨の日に窓を開けて空を眺めている様子が気になったから来ちゃいました」とのこと。確かに雨が降っていたら大体の人は窓を閉め切っているだろう。

アメオが抱くタマキへの気持ちは人間としての興味なのか異性としての興味なのかはわからないが、その優しさと「普通の人は窓を閉めて、雨を見ない」という雨からしたら少し寂しいだろうなという点が、二人を引き合わせたのかもしれない。


HARF-WAY コマーシャル

絵を一切使わずに文字だけで作られたテキストADV『文字遊戯』。様変わりした世界観が目玉と思いきや物語は思わぬ方向に進み、プレイヤーは言葉に干渉しながら世界を書き換えて真実と向き合うことになる。


お得なアメオ3種盛り

人型のアメオは雨で形成されている。つまり、体を自由自在に変形できるのだ。

初めて出会った時は男性の姿、ある日はお姉さん、またある日は幼い姿に…。大人の男性の姿では丁寧な口調で飄々としているように見えたが、子どもの姿ではしっかり照れる描写があって可愛らしい。

色が少なめに絞られたピクセルアートも幼い姿の時はやや明るい色の背景になり、寂しさを漏らすタマキの心情が明るく映し出されているように感じた。

引きこもりだ、と豪語するタマキは意外にも積極的にアメオへ質問したり、朝まで恋バナしようよ!とお誘いしたり。日が空けば「会えなくてちょっと寂しかった」と、素直な気持ちを伝えるあたりが可愛らしい。

『雨』だからこその悩み

前述の通り、アメオは雨そのものなので、雨が降らなければその姿も崩れていってしまう。梅雨の終わりを告げる時が、彼との別れになってしまうのだ。

先程まではタマキの質問攻めや、少し心を開いたアメオとの会話でなんだかほっこりしていたのに、急に悲しい現実が押し寄せてくる。

タマキにとってはやっと出来た友達で、引きこもっている時間を楽しく過ごせる大切な相手だったのに…。

アメオともう会えないことを受け入れたタマキ。せっかく出来た友達を失うのだからさぞ悲しいだろう。

お別れのハグでは「アメオさんってちょっとジメッとしているんですね」なんて軽口を叩ける関係になれたのに、消えてしまうのか…と切なくなる。

しかしエンディング後、「うわーーー!良かったね…!」と思える演出があった。ハイこれで終わり!ではなく、余韻を残してくれるのはとても嬉しい。

10分程の短い作品だが、しっかりと感動するこのノベルゲームを是非楽しんでほしい。

〈詳細情報〉

ゲーム名梅雨が明けるまで
ジャンルビジュアルノベル
ストア価格無料
リリース日2025年9月10日頃

HARF-WAY コマーシャル

煙草を軸に交差する、ふたつの恋の物語。
無料で、どなたでも。スマホで、PCで、どこでも。
まるで文庫本のような、縦書きビジュアルノベル。

寂しさにも、熱がある。
『Keep Only One Loneliness』


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