幼稚園で仲良かったあの子、優しくしてくれた先生、小学校でも中学校でも一緒につるんでいたアイツ。
皆さまは、過去に関わりを持っていた人間のことをどれだけ覚えているだろうか。
『Who Was That ~顔神経衰弱~』は仕事を辞めた主人公が、しばらく帰っていない実家の家族の顔を思い出すところから始まる。
幼稚園、小学校、中学校……だんだんと思い出せなくなる名前のわからない大学の教授たち、そして社会人になり、顔も覚えていない仕事の同僚。
少し不穏な雰囲気だがホラーゲームというわけではなく、神経衰弱を楽しみながら過去に思いを馳せ、明るい未来へと歩んでいく本作を今回は紹介したい。
まずは家族の顔を思い出そう

「これからキミには、自分の記憶の中を探ってもらう。」という言葉から始まる本作。
並べられたカードをめくると、主人公の「僕」は最近仕事をやめ、実家にも数年帰っていないということがわかる。厳格そうなお父さんは、そろそろ定年を迎えるらしい。
ゲームとしては、頭の中に浮かんでいる顔を2枚ペアできちんと思い出せるか、というまさに「顔神経衰弱」というタイトルそのものだ。
しかしその中にもきちんとストーリーがあることや、「昔同じクラスだったあの子」を思い出す楽しさがあった。
クラスの中にこういう子ひとりはいたよなあ

Steamストアページによると、ゲーム内の画像にはAIを活用しているそうなので、画面に映っている彼らは全く知らない人間だ。
しかし何故か「クラスにこういう子いたな~!」と懐かしい気持ちにさせられる。
幼稚園・小学校・中学校・高校…と進んでいくが、「男子に人気があった」だとか「勉強を優しく教えてくれた」だとか、自分もクラスメイトの誰かに感じたことがあるような一言がカードに描かれている。
ずっとノートに細か~~~い迷路を書いていた子や、ドッジボールがやけに強い子など、なんとなく共通して「こういう子いたよね」があるのではないだろうか。

そして小学校で、主人公は「彼」に出会う。
趣味も合って、これから先俺らずっと友達だよな!というような仲になる「彼」と。
勝手に膨らんでいく妄想

絵を描くことが好きだった主人公は「彼」と出会い、中学校ではマンガ部に入部する。
美術部とはまた違う部活なのだろう。私の出身校にはなかった部活だ。
本作をプレイして、ただ神経衰弱を楽しむだけの作品ではないと私は思った。
「この人とこの人、付き合うんじゃ…?」「この人はバトル漫画が好きなのか、今だとヒ〇アカとかかな…」など、色々なことを考えてしまうのだ。
そしてそれは主人公に対してもそうだった。
というのも、幼稚園や小学校までは「ちーちゃん」「さとみん」とあだ名で呼んでいたクラスメイトのカードたちが、中学校になると「鈴木さん」「小川くん」と距離がある呼び方になり、そこまで親しくはないんだろうなぁと思わせてきた。
そんな中でも「彼」のことだけはあだ名で呼んでいて安心する。
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絵を一切使わずに文字だけで作られたテキストADV『文字遊戯』。様変わりした世界観が目玉と思いきや物語は思わぬ方向に進み、プレイヤーは言葉に干渉しながら世界を書き換えて真実と向き合うことになる。

おや?おれ君の様子が……

高校、大学、そして就職した頃はまだ覚えていた「同僚」の顔。
しかしステージが進むと、主人公はもう同僚の顔も思い出せなくなっていた。
名前も顔もわからない、特徴の一言もない「同僚」カードの神経衰弱はなかなか難しい。前髪があるかないか、髪の分け方はどうか、などうっすらとした特徴でカードをめくっていく。
本作には画面左上に「心」と呼ばれるHPのようなものがあり、同じカードを何度もめくると心がすり減っていってしまう。
そのため、めくっていないカードがわかるようにサポートモードもあるのだが、それでも難易度が上がっているのを感じるステージだ。

そして更にステージが進むと、なんと全てのカードが自分の心の声のみになる。
絵合わせではなく、説明の文章が一致するペアを見つけなければならない。
ここで主人公は「消えてしまいたい」「この世界に居場所はない」と心の叫びを漏らす。
めくるカードの枚数も増え難易度が高くなっているのはもちろんだが、「僕」の表情などは変わらず文章のみというのが苦戦した。
悲しい言葉をペアにして、主人公は心の整理をしていく。
明るい過去のことを思い出そう!

主人公は小さな頃から、絵を描くのが好きだった。
社会人になりつらい思いをして心の声を整理したあとは、学校で漫画を描いていたあの頃、それを褒めてもらった楽しい『あの頃』のことを思い出そうとする。
幼稚園から高校生まで、ずっと主人公が描いてきたイラストを振り返るシーンだが、小学生らしいおばかなキャラクターや、確かに中学生とかがつけそうな名前だな、と感じられるセンスがあった。

過去の友人を思い出し、言われた嬉しい言葉を思い出し…主人公は明るい未来へと歩んでいく。
そして、全てのステージをミスなくこなすと「ありえる未来」というステージが開放される。
もちろん通常のエンディングを迎えても満足出来るが、この「ありえる未来」はとても救いを感じたので、是非たくさんの方にプレイしてほしいと思える作品だった。
〈詳細情報〉
| ゲーム名 | 『Who Was Thas ~顔神経衰弱~』 |
| ジャンル | 神経衰弱ADV |
| ストア価格 | 450円 |
| リリース日 | 2025年9月26日 |
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