資料を見れば怒られ、見なければ失敗する。対話で怪異を見抜く判別ADV『奇天烈相談ダイヤル』

奇天烈相談ダイヤル』は、怪異に悩む人々の相談役となり、それが本物の怪異か否かを判定するアドベンチャーゲームだ。テレビ電話で相談者と対話しながら、手元の資料と照らし合わせて矛盾を探していく。

ストアページでは入国管理官として書類の偽造を判定する『Papers, Please』から着想を得たと記載されており、本家作品へのリスペクトも感じさせる。口裂け女や八尺様など、100体以上の怪異が跋扈しているので遊び応えも十分といえるだろう。

またゲームボーイ風のレトロなドット絵と、無料とは思えないクオリティの高さも魅力だ。起動時のボイスと開始時のコマーシャル映像を見た瞬間、本作への期待が一気に高まった。

怪異が実在する1994年、電話相談員として働く7日間

舞台は怪異が実在する1994年の日本。かつて畏怖の対象だった怪異が、今ではイタズラや犯罪に利用され、嘘と真が入り乱れる世の中になってしまった。プレイヤーは女子大生のミサコとなり、無料電話サービス「奇天烈お悩み相談室」で1週間の研修を受ける。

電話が鳴ると、テレビ電話で相談者が映し出される。相談者の名前や遭遇した怪異の特徴、出没した時間や場所。用意された質問項目から適切なものを選んでいく。手元の怪異資料と照らし合わせ、矛盾がなければ本物の怪異、ひとつでも矛盾があればニセモノだ。

また本作は難易度を自由に調整できる。制限時間の長さやライフの最大値など、初心者でも安心して遊べる。私は最初に難易度「Normal」を選び、判定ミスを繰り返した結果「Easy」でクリアした。(泣)

プレイヤーはテレビ電話越しに怪異を見抜く

本作には100体以上の怪異が登場する。口裂け女や八尺様、そして8番出口。聞いたことのある都市伝説が次々と現れ、「これ知ってる!」と思わずニヤリとした。一方で全く知らないマイナーな怪異も数多く収録されており、資料を読むだけでも楽しめる。

怪異資料には怪異の出没時間や出くわした場所が詳しく記載されている。1つの読み物としても優れたデータベースだ。時間をかけて丁寧に読み込めば、怪異の判定精度が上がっていく。

相談者と怪異の組み合わせはランダムで決定されるため、周回プレイでも新鮮な体験ができた。相談者も老若男女幅広く、カツラの男性のニックネームが「フサフサ」など、個性が強く出ていて飽きさせない。

ただのゲームではなく相談者との対話が大切

私は深く考えずに初回プレイを遊んで大きな失敗をした。状況証拠的にほぼ確実に怪異だと判断し、あまり相談者の話を聞かずに「怪異です」と決定したのだ。そして相談者が怒りをあらわにする。

この瞬間に気づいた。本作が単なる判定ゲームではないと。たとえ怪異だと確信していても、相談者の話を丁寧に聞き、寄り添わなければならない。相談員という設定を丁寧に作り込んでいることに驚いた。

さらに驚いたのが、資料を見すぎると相談者から「目を合わせてくれない」と指摘される点だ。初めて言われた時、「そこまで想定されているのか!」と衝撃を受けた。資料の確認も大事だが、相談者とのアイコンタクトも忘れてはいけない。

こうした細かいルールが、プレイヤーに慎重な判断を促す。資料をめくって怪異の特徴を確認し、画面の相談者に視線を戻す。出没した時間や場所、特徴など質問を重ね、一つずつ矛盾がないか確かめていく。この緊張感のあるやり取りが、本作の核心だった。


HARF-WAY コマーシャル

絵を一切使わずに文字だけで作られたテキストADV『文字遊戯』。様変わりした世界観が目玉と思いきや物語は思わぬ方向に進み、プレイヤーは言葉に干渉しながら世界を書き換えて真実と向き合うことになる。


ホラー苦手でも安心、推理の達成感を楽しめる

▲怪異を特定できずに相談者が行方不明に…

電話でのやり取りが中心のため、直接的なホラー表現はほとんどない。ホラーが苦手な人でも安心して遊べるだろう。ドット絵のレトロ風画面が、おどろおどろしさと懐かしさを同時に演出している。

相談者の話を聞きながら、資料を何度も確認する。「出没時間は夜、場所は学校のトイレ、赤と青のハンカチどちらが欲しい?」。全て資料と一致している。

でも本当にこれで合っているのか?見落としはないか?もう一度確認する。やはり矛盾はない。「怪異です」と判定すると、相談者は納得して電話を切った。

この瞬間の安堵感が忘れられない。逆に、何度も確認して小さな矛盾を見つけた時の喜びも格別だった。「出没時間は夜のはずなのに、相談者は昼間に遭遇している」。この発見の瞬間、「見つけた!」と思った。

慣れてくれば、怪異の名前だけで判断もできる。資料を見なくても「この怪異はこういう特徴だから、この質問をすればいい」と分かるようになった。プレイヤーとしての成長を実感できる瞬間だ。

無料とは思えないクオリティ、都市伝説好きは必見

▲知らぬ間に都市伝説本の著者になっていた

Steam、ブラウザ版で無料プレイ可能という驚きのコストパフォーマンス。クリアまで1~2時間、全怪異登録まで約10時間以上というボリュームで、無料とは思えないクオリティだ。

都市伝説や怪異が好きな人や資料と照合して矛盾を探すのが好きな人、平成初期のレトロな雰囲気に惹かれる人には特におすすめしたい。資料は怪異のデータベースとしても優秀で、読み物としても楽しめる。

あなたは100体の怪異を正しく見抜けるだろうか?
奇天烈な1994年の世界が、相談員としてのあなたを待っている。

〈詳細情報〉

ゲーム名奇天烈相談ダイヤル
ジャンル怪異判定ADV
ストア価格無料
リリース日2024年4月26日

HARF-WAY コマーシャル

煙草を軸に交差する、ふたつの恋の物語。
無料で、どなたでも。スマホで、PCで、どこでも。
まるで文庫本のような、縦書きビジュアルノベル。

寂しさにも、熱がある。
『Keep Only One Loneliness』


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