「学園アイドルマスター」は初めてか?まあそこに座れ、俺と話そう。

こんばんは。いやこんばんはでない人もいるかもしれないけれどこれを書いている私にとっては今はこんばんはなんだ。こんばんは!元気な挨拶嬉しいね。こんばんは!イエーイ!

私?私はどうしてこんなんになってるかって、さっき姫崎莉波の!TrueEndライブに!脳を焼かれたからだよ!!!お前はまだ焼かれてないのか!?今すぐ焼かれてこい!今だ、今すぐにだ。今の意味は分かるか?

今は、今だ。

坊や、スマホは持っているか?スマートフォンの略称だ。いや、持っていないそれも結構。タブレット?最高じゃねえか。

とにかくAppStoreまたはGoogleStoreにアクセスでき、そこに並ぶアプリをインストールできる端末を持ってくるんだ。そう、お前の右手か左手または両手で握っているそれ。それが極楽への切符だ。アプリストアを開いて「学園アイドルマスター」を検索しろ。「学マス」でもかまわない。

「インストール」を押す。アプリを起動する。そこからお前の幸せが始まる。

アイドルマスターの歴史について話そうか。

なんでこんな口調になっているかってそりゃあ兄弟(学マスをインストールしたお前はもうプロデューサーという家族の仲間入りなんだ。分かるだろう?)、俺はついさっき姫崎莉波のTrueEndライブ演出に脳を焼かれたからだ。すまねえが火傷の痛みが引くまではこの調子でいかせてもらう。しかし痛みが、それすなわちアイドルのキラメキを浴びたことによる精神的負荷であるならば俺は一生をこの痛みとともに過ごしたい。そんな気持ちもある。痛みは忘れられない思い出の条件になりうるんだ。

まずアイドルマスターの話をさせてくれ。アイドルマスターの伝説は「THE iDOLM@STER」という筐体ゲームとしてスタートを切った。当時の熱狂を、すばらしさを、懐かしさを、俺は知らない。飲んでねえ酒の味を想像はできても再現はできない。それと同じだ。

アイマスの歴史はこのサイト(HISTORY OF IM@S WORLD アイドルマスターの歴史を様々なデータで振り返る)が詳細に語ってくれている。俺はこれ以上に正しく歴史を語れない。だから、俺は俺の話をする。

俺が初めて「アイドルマスター」という輝きを浴びたのは2015年のことだった。「アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ」というリズムゲームの形で、その輝きは俺の前に現れた。当時の俺はレベル15もクリアできないクソ雑魚親指ゴリラワナビだった。当時のデレステは難易度Master(だいたいレベル20〜)をクリアしないとMVを見ることができなかった。おかげで今じゃ立派な親指ゴリラだ。

最初に目を引かれたのはしぶりん。デレマスに触れてしぶりんを好きにならない奴がいるか?いや、いないね。そして初めて「プロデューサーという形で関わりたい」と思ったのは諸星きらり。その名の通り、電灯でも月でも星でも太陽でもない、彼女自身からまばゆい光を放ち、輝きが尽きてしまうのではないかという心配すらも輝きでかき消すほどのまばゆい明るさを持ったアイドルだった。いや、アイドルだ。

▲諸星きらり。独特の話し方にはじめは戸惑うかもしれねえが、それもまた彼女が放つ光のひとつだ。その明るさに、姿勢に、在り方に、俺たちはどうしようもなく惹かれ、時には人生を支えられる。

学園アイドルマスターについて話すなら、それ以前の各種アイドルマスターブランドに触れる必要がある。

・THE iDOLM@STER
・アイドルマスター シンデレラガールズ
・アイドルマスター ミリオンライブ!
・アイドルマスター SideM
・アイドルマスター シャイニーカラーズ

上記5つのブランドが築き上げてきた「アイドルマスター」。それについて語らずにはいられない。

アイドルマスターによって始まった「アイドルをプロデュースする」コンセプトを持ったゲームは、続いてシンデレラガールズで総勢190名という信じられない人数のアイドルを俺たちの前に見せてくれた。

すまねえ、俺はミリオンライブ!を履修していないからここでは言及を控えさせてもらう。ミリオンPたちによる素晴らしい紹介記事がインターネットの海に存在していると確信しているから、彼ら先輩たちに説明をお任せしたい。

SideMはアイマス初の男性アイドルという驚きと新しい輝きをもたらし、シャイニーカラーズはかつてないイラストとシナリオの重厚さで俺たちをノックアウトした。

アイドルマスターシンデレラガールズの7thライブ。ナゴヤドームで「諸星きらりだにぃ~!」の言葉を聞いて流した涙は、嘘偽りなく俺の瞳から流れたものだった。美しく揺れるペンライトの森の中で、手を震わせてマイクを握る森久保を俺たちは見た。ああいや、お前には分からねえ話をしたかもしれねえな。

とにかく学園アイドルマスターってのは、これらアイドルマスターブランドの歴史と輝きを一身に受けて生まれた、祝福の申し子ってことだ。

学マスをやるつもりなんてなかったんだ、俺は。

しかし兄弟。俺は諸星きらりPなんだ。プロデューサーを名乗るってのは重いことなんだ。アイドルマスターという文化に触れたことがないなら、それがどんなものであるか理解するのは難しいかもしれねえな。結婚とも違うんだ。俺は諸星きらりと結婚したいわけじゃあない。いや、中には担当アイドルと恋仲になりてえってPもいるだろう。その在り方を俺は否定しない。ただ、多くのPってのはーープロデューサーという語には回収しきれない意味合いを「P」という一文字はその一身に背負っている。もはや単なる略称ではいられないーー愛でもあり恋でもあり、なんて言やぁいいかな、とにかく複雑な、それでいて他のアイドルには向かない圧倒的に特別な感情を、担当アイドルに対して持っているもんなんだ。

そして俺は諸星きらりPとして、学マスをやっている暇はないと判断した。

▲お前も見たことがあるだろう。俺たちの行き着く先だ。

デレステ、プロセカ、ブルアカ、リバース。ゲーム好きな俺たちの日常にソシャゲという存在は容赦なく侵食してくる。そんな中、学マスに割いている余裕はないと思ったんだ。実際俺のスマホは火を噴いていた。もう高画質3Dゲームを迎え入れる余裕はないと主張するように、少し音ゲーをやっただけでホットになりやがる。

そこに倒れてるのは原神やスターレイルに脳を焼かれた奴らだ。ほっといてやれ、すぐに起きる。向こうでコントローラーを打楽器みてえに鳴らしてるやつはスプラトゥーンに、ここまでの道のりで妙な地図を持った奴らを見なかったか?そいつらはヴァロに焼かれた奴らだ。この街にゃ狂った幸福者しかいねえ。

その目は疑ってるな。ああ、端末のせいにしているが、正直に言うと俺はもう新しいものを迎える精神的余裕がなかった。寄る年波には勝てないとか言って冒険しねえ奴らをバカにしていたが、何のことはねえ、俺もまたそれに勝てなかった。俺は若さを力と勘違いしていたんだ、いや実際若さは力だ。それを失ったとき、初めて気づくんだ。ハハ、何も知らねえでバカやって、大人から「無駄とわかり切ったことをやってらぁ」なんて指さされるのは若者の特権だよ。大いにバカをやるべきだ。

まあとにかく、俺は学マスをやるつもりがなかった。

だがしかし喜ぶべきことかな、俺の心の燃料はまだ残っていたんだ。いやどうだろう、もしかしたら新しい燃料を焚べていただいたのかもしれねえな。

ああ。「それ」は突然俺の目の前に現れた。運命みたいだった。いいや運命なんてこの世には存在しない。運命と錯覚するほどのまばゆい偶然が目の前に突然降り立った時、俺たちは無力さと諦めとあふれんばかりの幸福を胸に抱えて愛おしくなって「運命」と呼びたくなるんだ。

それは足が細すぎて折れそうな女だった。

▲俺を学マスに導く4分32秒という永遠がここにあった。そして俺の心を再び燃やし始めた。このまま焼け落ちてもいいとも思った。

初めて見た時は、「これ」がなんなのかよくわからなかった。だから、もう一回再生した。コミカルな音とともに始まる音楽、ささやくように不安定で、そしてそれがこの上なく完全な歌声。それを支える情熱的なサウンド。たくさんのものに囲まれた女の子が、自由な形になって、手をかざし、身にまとう布の裾を揺らす。「これはなんだ?」俺は自分に問うた。分からなかった。だから、もう一回見た。それから、もう一回。それから無数に。

たぶんこれは、魔法だった。

作曲者がどうとか編曲がどうとか、そういう知識が全く影響しなかったとは言えねえよ。でも、でもさ。俺はこの曲に惹かれて、この曲が示す輝きが、その輝きが俺を導いてくれるであろうその先が見たくなって、学園アイドルマスターを始めてえと思った。それを俺は運命と呼びたい。諸星きらりが放つ光を忘れたわけじゃねえ、篠澤広というこの曲を歌うアイドルが見る光景を、俺も一緒に見たいと思ってしまった。きらり、すまねえ。いや謝るのはちげえよな。1ある好きを分割したわけじゃなくて、1だった好きが2になったんだ。ありがとう。

ちょっと失礼。ああ、強いのを一杯……ありがとう。

ふう。だらだら話しちまったな。ようやく学園アイドルマスターについて話せる。続きを聞いてくれるなら一杯くらい奢ってやってもいいぜ。好きなの頼みな。

兄ちゃん、遠慮しないねえ。それもまたよし、だ。

これはカードゲーム。説明を読め、他人に頼れ、そして祈れ。

学園アイドルマスターがどんなゲームか知らねえって?そりゃそうだお前、全知なんて神様だけの特権だからな。まあ落ち着け、誰だって初めては怖えもんだ。その感情を否定しなくていい。なに?好きになっちゃいそうで怖い?ハハッ!それも今だけしか感じられないやつだ、大事にしろ。大丈夫だ。好きになっちまえばもうめろめろのどきどきのうはうはだ。

これはカードゲームだ。まず、「プロデュースアイドル」を選ぶ。なんと好きなアイドルを一人選んでSSRプロデュースアイドルをスカウトすることができる。公式ホームページにある学園名簿をじっくり読み込んで決めるもよし、一目ぼれしたアイドルを選ぶもよし。運命はそこにいる、逃げずに静かに、お前を待っている。

▲俺のプロデュースアイドルの選択画面だ。情報が多くてなんのこっちゃわからねえかもしれねえが一日で慣れる。かわいいだろ?かわいいなあ。たまらねえよ。

次に「サポートカード」を選ぶ。なにも分からなくていい、大丈夫だ。はじめっからパーフェクトな奴は存在しねえ。迷ったらとりあえず「おまかせ」を押せ。初心者はいつだってそこから始めるのが無難だ。冒険したけりゃ好きなイラストのカードを選ぶのもいい。6つある枠のうち、ひとつはフレンドから借りられる。フレンドってのは、この道の猛者だ。お前を全力でサポートしてくれる仏さんだ。全力で頼れ。

それからメモリーを選ぶんだが……これは過去の努力の結晶だ。こいつもまたサポートカードみてえに、お前と、お前のアイドルを支えてくれる。過去の努力によって、俺たちはより高みを目指すことができる。これもまあはじめは「おまかせ」でいい。

これで準備が整った。あとはチュートリアルに従ってめろめろのどきどきのうはうはを楽しめ。何度でも。

そのうちに、「担当アイドルの輝きをもっと多くの人に届けたい」と思うようになるだろう。その時のために、俺から伝えられるコツを全部伝えておく。いや、メモの用意はいらねえ。シンプルだからな。忘れようがねえ。

読め。頼れ。そして祈れ。

以上だ。読めってのは、各カードに書かれた効果や能力を正しく把握しろってことだ。俺は……ああ、俺の失敗の話をさせてくれ。長くはならねえ。

俺は担当アイドルと長く一緒に頑張ってもなかなかいい成績が取れず悩んでいた。だから、クソ、ふがいねえ。俺は友人に愚痴を言ったんだ、俺のアイドルが全然勝てねえってな。そしたらそいつはこう言った。

「仕様を把握しないとカードゲームは勝てない」

▲友人Pにアドバイスをもらったが、このやり取りをしている時点では正直何を言われていたのか全く分からなかった。さっき(このやり取りから数日が経過している)電話で解説してもらってようやく理解した。友人は「これ自分でも何言ってんのかわかんないね」と笑っていた。アイドルへの情熱で狂う、それもまた楽しみの一つさ。

俺は俺のアイドルが勝てねえことをアイドルのせいにしてたんだ。ひっぱたくだけじゃ足りねえ。いいや、叩く手の痛みももったいねえほどの大馬鹿野郎だ。

はじめは難しいかもしれねえ。わけわかんねえ言葉が並んでるとビビっちまうよな。でも、読め。友人は学園アイドルマスターが初めて触れる「アイマス」だったにも関わらず、たったの一週間で俺を追い越して、素晴らしいプロデューサーになった。金とか、実力とかじゃねえ。その精神が、もう立派なプロデューサーだったんだ。まぶしいなあ。俺は、ああ、大丈夫だ。慰めないでくれ、その方がずっと堪える。

次は頼れ、だな。これはフレンドからサポートカードやメモリーを借りることだけじゃなく、知識の共有をしろってことだ。正直このゲームはややこしい。しかし、この世には俺なんかよりずっと有能なプロデューサーがいる。そして彼らは、その知識を惜しみなくインターネットの海に流し続けてくれている。アイドルを輝かせたかったら、まずお前の脳みそに知識を詰め込むんだ。自分で考えるよりよっぽど早い。

さっきの友人プロデューサーも、先輩プロデューサーたちから指南を受け、話し合い、道を模索したと言っていた。

もちろん自分の力だけでアイドルを最高の場所にまで連れていく、その気概もまたよし。マイペースも楽しいよな。俺はそんなお前を尊敬するさ。

そして最後。祈れ。このゲームには運も大きく関わってくる。最高のタイミングで、最高のカードを引けるよう、祈れ。とにかく祈れ。その祈りがまたアイドルへの気持ちを高め、そして祈りが届いたとき、お前は心の底から、幸福、喜び、慈しみ、そんなんじゃ足りない、言葉では言い表せないほどの感情を得るだろう。「胸がいっぱいになる」ってのはこのことかもしれねえと、歓喜に身体を震わせることだろう。

祈れ。祈りは、必ず届く。

▲これは学マスでプロデュースをした経験のあるPにしか伝わらない画像だと思う。この時、俺の手は震えていた。祈りが、届いた瞬間だった。

今すぐにお前の担当を迎えに行け。

初期登場アイドルは9名。リリースから二週間で一人の追加アイドルが登場したから、現在10名のアイドルをプロデュースできる。この記事はせっかく姫崎莉波さんのTrueに脳を焼かれたところから始めたんだ、彼女も紹介させてほしい。

なお俺は姫崎莉波さんのプロデューサーではない。ここ大事。好きだ、とても好きだ!!!!!俺が弟だ!!!!!!!!!そこをどけ、俺が莉波おねえちゃんの弟だ!!!!!!!!!でもPじゃない。まあいいから次の動画を見るんだ。

聞いた?聞いたね。う~好きになっちゃうね!!!!!!????!?!?!?!?!?

聞いてないなら聞いてから出直してください。

さてお前は楽譜を突然ほいと渡されて、その曲を完璧に歌えるか?できねえだろ!!!!!!すまねえ興奮した……この記事書くのにずっとclumsy trick聞いてて、ちょっとその、かわいすぎて。すまねえ。

完璧の定義はまあ横に置いといて、初めての演奏で満足できるわけがない。ものすごい天才であってもそうだろう。何度も譜面を読み、何度も練習するだろう。自分の演奏を録音してどこがだめだったか楽譜に書き込んでいくこともあるだろう。そうやって右往左往と失敗と失敗と失敗と成功らしきものと失敗とを重ねて、ようやく成功にたどり着くんだ。ナントカは一日にして成らずとかなんとか言うよな。

そんな試行錯誤を表情、ダンス、歌によって表現するMVに圧倒されつつ、日々のコミュニケーションを通じて、最高の舞台にアイドルを導くのが「学園アイドルマスター」だ。

▲初めてのライブは、レッスン室で、観客はプロデューサーである俺だけだった。試験に落ちてしまったから、ライブという形で練習の成果を披露できなかったんだ。ふがいなさに俺は額を地に押し付けた。その後何度か練習を重ね、学内でライブができるようになった。俺は静かに、心の中では喉の限界まで声を出して、応援した。

▲最終的にはこのような大舞台でライブを行うまでになった。それを俺は、ステージの裾から見守っていた。心は穏やかだった、驚きはなかった。担当アイドルがこの場に立つことを俺はとっくの昔に確信していたからだ。

なんかこうアイドル科ってのがある高等教育学校の一年生から三年生を、「プロデュース科」ってのがある大学に相当する教育機関(専門学校に近いのかな?)に所属するプロデューサーがプロデュースする設定とか、どうもこの世界にはこれまでのアイドルマスターシリーズに登場した事務所やアイドルたちが存在しているらしいとか、それを言うならデレマスは10歳以下のアイドルもいるが!?とかそういうことはどうでもよかぁねえがどうでもいい。

アイドルが今、お前というプロデューサーを待っている。

学園アイドルマスターを今始める理由はこれだけだ。なにを躊躇する必要がある?

上に紹介した姉崎さんのMVは「ビデオ」。録画されたものだ。これはこれで素晴らしいが、彼女とともにTrueEndの星をつかんだときにだけ拝める圧倒的ステージパフォーマンスを見ろ。「よくできました、なーんてっ」を聞いて感動しない人間はいない。

▲も~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!かわいすぎてなんもわかんないの!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

そしてそれは姉崎おねえさんだけでなく、すべてのアイドルに共通するすばらしさである。

バンダイナムコの全力に震えろ。

最後にこのゲームのビジュアル面について話をさせてくれ。

▲世界一!かわいいことね(友人提供)

一度でも3Dのライブ映像を見ればわかる、バンダイナムコはとんでもねえもんを作っちまった、ってな。いいやもしかしたら、逆に気づかないかもしれねえ。なぜならそこにはこれまでにないほどのリアリティを含んだ虚構があるからだ。「光あれ」と言った神がどれだけの労力をそこに払ったか、俺たちにはわからない。同じようにこの映像を、3Dモデルを、演出を作った奴らがどれだけの汗を流したか、俺たちは知ることができない。だけどこれだけは分かる。彼らはやり切った、そしてさらに進もうとしている。

▲こんな美しい瞳がこの世にあるのか。その瞳には一体何が見えているんだ。それを一緒に見たい、俺にも見せてほしい。俺が彼女を最高の舞台に連れて行くなんておこがましかった。俺が、彼女に連れて行ってもらったんだ。

アイドルマスターにおける3Dライブ映像の歴史は長い。俺はデレステで生まれ育ったからデレステの話をするが、あれも10年前では最先端の映像だった。現実の人間らしく少しずつズレるダンス、光の表現、アップデートによって追加された繊細な衣装の揺れ。

それにデレステはペンライトだけではなく「コール」という形で現実の俺たちを虚構の舞台に引き上げてくれた。初めて「お願いシンデレラ」のMVに「応援モード」が実装され、再生したあの時の興奮を俺は覚えている。俺はのんきにメガネ屋の隅でメガネの完成を待っていた。暇を持て余していた俺は、イヤホンをつけて追加モードを遊んでみた。そしたら俺たちがそこにいて、驚いて手が止まりライブ失敗になった。野郎どもの「フッフゥ!」の声に俺は心底びっくりしたね。

しかしそれももうおとぎ話だ。(古臭いとか忘れたとかって意味じゃねえ。それはもう歴史の一部、礎になったんだ。)

▲俺たちはファンとして、ペンライトを振ることでアイドルを少しだけ照らす。円柱型だけでなく、様々な形の光をアイドルに向ける。叫び出したくなるほどの感情の発露として。

▲野外フェスもある。浴びてえよこの熱狂(友人提供)

ライブという空間に存在するのはアイドルだけじゃない。例えばペンライトってのは1本だけではちっぽけだが、数千、数万と並び、揺れると、本当に綺麗なんだ。また舞台上にはアイドルや照明だけでなく、歌詞を表示する装置やモニターに接続されたクレーンカメラ、そこまでアイドルに近付けない俺たちの代わりに重い機材をかついでステージ上を走り回るカメラマン、それらを繋ぐ配線、音響や全ての見えるものを管理するためのスタッフ、その他演出のためのたくさんのモノが存在している。学園アイドルマスターはそれらをアイドル以外の不必要な存在として排するでなく、よりよい映像を作る演出としてわざわざ(そう、わざわざ、だ。)ライブ映像の中に取り込んでいる。

▲アイドルの輝きを本来届き得ない場所まで届けてくれる彼らもまた、ステージに立つプロフェッショナルだ。

▲このコミカルな表情にクスッとできるのも、その周囲に存在するすべてのおかげ。ありがとう。

執拗とも言えるこの演出が、現実には存在しない架空のアイドルというキャラクターを実在に近付けてくれる。いない。いないんだ彼女たちは。だけど、いないんだけどいるんだ。むしろいないからこそこんなにも近くに感じられるんだ。そう錯覚させてくれる。錯覚は当人にとって現実だ。

▲流れる汗も顔を伝う髪も、全身全霊の証である。お前はこんなふうに死力を尽くしたことがあるかと問いかけてくる。

おそらくこの学園が開催するライブには何人ものアイドルが出演するんだろう。各自のイメージカラーがあるに違いない。目を閉じる。次の曲が始まるまでの沈黙、緊張感。前奏が鼓膜を揺らし、俺たちは次に誰がパフォーマンスするのか察する。そしてペンライトの色を急いでそのアイドルのカラーに変える。お前の手に握られているのはひねるタイプのペンライトか?ボタンを押すタイプのペンライトか?単色か?複数色か?腰につけたポーチからUOを取り出して折るかもしれねえな。それらのかすかな物音が聞こえる。それを音楽がかき消す。そして俺たちはアイドルを迎える。

待ち焦がれた存在が、ステージに上がる。

▲お前の胸を信じられないほどの力で貫く「はじまり」だ。瞬きする暇なんかない。

▲カメラサービスののちに上がる黄色い歓声、それもまた「ライブ」の魅力のひとつなんだと知らせてくれる。ちなみに莉波おねえちゃんのライブの完成は野太かった。想定ファン層で歓声を変える、なんてこだわりようだ。

横顔から正面向きへと変わるときの顔の造形、瞳の表現、まつ毛に差し込む光、ライティング、髪の毛一本一本の豊かな曲線。不自然さをも利用し尽くして作られた現実に、俺たちは魅了される。

▲大きな背中(友人提供)

▲まつ毛に乗る一粒の光が美しい。

▲どうしてこんなにまぶしくて、目が離せないんだろう。

さあ、この記事はすぐに閉じて、お前だけのアイドルを迎えに行け。以上だ。行け、振り向くな。ステージの裾で、俺たちは最高の輝きを目撃するんだ。

忘れてた、最後の忠告だ。はじめてのA+は、担当で取れ。絶対に。困難な場合もあるが、不可能ではない。

【Special Thanks】
にょんさん、ぶちょさん

たくさん時間を割いてくれてありがとう。私では知ることのできないアイドルの魅力を知ることができました。勧めてもらったIDOLY PRIDEは必ずやります。

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