忙しい毎日の合間に、ふと心を休ませてくれるようなゲームはいかがでしょうか。
『わだつみのこだま』の舞台は島のはずれ。そこで主人公は、木や石、漂流物を使って楽器を作り、海から返ってくる“こだま”に音を響かせていきます。
「こだま」と聞くと山を思い浮かべがちですが、今作では海から音が返ってくるというユニークな発想を物語の軸としています。ほんわかとしたアートワークとサウンドが重なり合い、まるで波音に包まれるような癒しの体験を与えてくれる作品です。
30分ほどでクリアできるコンパクトな作りながらも、遊び終えたあとには小さな余韻が残る、そんなアドベンチャーゲームを紹介します。
わだつみ?こだま?

▲大海原に面した景色のいい岬
『わだつみのこだま』――このタイトルを聞いて、どんな光景を思い浮かべますか。なんだか聞き馴染みのない単語が並び、「どういう意味なんだろう?」と想像を掻き立てますよね。
「わだつみ」とは日本神話に出てくる“海の神”を意味します。一方の「こだま」は山に響き返す音、もしくはやまびこを返す精霊、と辞書に記されているです。
一見すると結びつかないファンタジーな二つの言葉。組み合わされることで、何か人ならざるものが海から音を出して返してくれるのを待っているような不思議な情景が広がります。
その幻想的な発想こそが、本作の核。
プレイヤーは島のはずれで楽器を作り、海へと音を響かせ、返ってくる“こだま”と向き合うことになります。
耳に残る、透き通ったサウンド

今作で一番の要となるのは「音」。作中のサウンド全てが澄んでいて、小さな島のはずれにいるような気分が味わえます。ザクザクと草原を歩く音や波が寄せる音といった環境音も心地いいです。
また楽器を奏でたときの透明感ある響きも印象的。海岸に落ちている流木やビンといった素材から鳴る音色は、どれも柔らかく懐かしい音色を持っています。それらの楽器を組み合わせれば、新たな響きを持った楽器を作ることも。
海辺にさざめく環境音と手作り楽器から鳴る音色。海の向こうから聞こえる不思議な音。それぞれの音色が重なり合って、海辺に佇んで心を撫でてもらうような感覚を楽しめます。つい、耳を澄ませてしまう人もいるかもしれません。
心が和む、ほんわかビジュアル

シンプルで温かみのあるアートワークもまた、サウンドと絶妙にマッチしています。
画面に広がる少しクリーム色がかった色彩は淡く、柔らかいトーンで統一されており、プレイヤーを優しく包み込むようです。
子どものころに読んでいた絵本から、一場面を切り取ったようなイラストレーション。そこに合わさるのは、海沿いでむかし遊んでいたときに聞こえた現実的なサウンド。この二つが調和した時、純粋な心地よさの原体験が生み出されます。
色彩も線も控えめだからこそ、音が際立ち、また音によって絵がより鮮やかに見えてくるのです。
HARF-WAY コマーシャル
絵を一切使わずに文字だけで作られたテキストADV『文字遊戯』。様変わりした世界観が目玉と思いきや物語は思わぬ方向に進み、プレイヤーは言葉に干渉しながら世界を書き換えて真実と向き合うことになる。

小屋に隠された謎とは…?

灯台の近くに設置されたぼろぼろの小屋。誰かが生活していたような形跡もあり、時間が経過して壊れかけている家具や生活雑貨も。当時そこで暮らしていた誰かの日記には、所々解読が不可能な部分が…。
ほかの場所でも同様に、主人公が判読できない文字が散見されます。主人公には難しすぎる文字や言い回しで書かれているのか、はたまた人間が使うそれとは違う文字で書かれた日記なのか、もしかしたら主人公が人ならざるものなのか…?
実はこの謎は作中では明記されません。自分の解釈や考察が広げられる余地が想像力を掻き立てられワクワクします。
多言語でも楽しめる!ほんわかした世界観に包まれて癒しのひとときを

『わだつみのこだま』は、淡白ながら幻想的な世界を通じて心を穏やかに整えてくれるゲームです。海から返ってくる音に耳を澄ます――それだけで、現実の喧騒を忘れる静かなひとときを与えてくれます。
また今作は多言語に対応しているため、母語で楽しめるのはもちろんのこと、別の言語でプレイしてみるのも一興です。
例えば、日本語ではどこか郷愁を誘う柔らかさを感じるセリフも、英語にすると少し幻想的で神秘的な響きに変わる、そんな“言葉のニュアンスの違い”を味わえるのも本作ならではの楽しみ方。
短い時間で終わる作品だからこそ、気軽に複数の言語で繰り返しプレイでき、同じ物語を異なる視点で味わうことができます。
海辺のこだまに耳を澄ませるように、この世界にそっと触れてみてください。
〈詳細情報〉
| ゲーム名 | わだつみのこだま |
| ジャンル | 探索型アドベンチャー |
| ストア価格 | 無料 |
| リリース日 | 2022年7月9日 |
HARF-WAY コマーシャル
煙草を軸に交差する、ふたつの恋の物語。
無料で、どなたでも。スマホで、PCで、どこでも。
まるで文庫本のような、縦書きビジュアルノベル。
寂しさにも、熱がある。
『Keep Only One Loneliness』

