布団に入ると、遠い昔の失敗や明日の予定が次々と再生され、頭の中が騒がしくて眠れない――なんて経験が誰にでもあるはず。無理やり眠ろうと目を閉じても、現れるのは思考の渦だけ。
自分のことなら正直ご免こうむりたいものですが、人の頭の中なら少し覗いてみたくなりませんか?
本作『インソムニア:頭の中の劇場』は、そんな脳内を舞台にしたポイント&クリックADV。直感的に操作できるパズルやユーモラスな世界観を通じて、不思議で愉快な思考の旅を味わえます。
布団に入ったら始まる、頭の中の賑やかな世界


「Insomnia(不眠)」というタイトルが示す通り、本作のテーマは“眠れない夜”。主人公もその悩みを抱えるひとりです。昼間は忙しく働き、帰宅後には余暇の時間を楽しむ余裕もあるのに、いざ布団に入ると眠気がすっと引いてしまう。頭の中では、今日も小さな妖精が主催する劇場が幕を開けます。
脳内の劇場はとても賑やかで、まるで主人公に数々のアイデアを見せたいかのよう。おもな舞台は同じ部屋を模した空間ですが、眠れない夜に訪れる“あるある”をテーマに、毎回ユニークなパズルが用いられます。
時計も動物も大騒ぎ?頭の中の音をゲームで追体験

チュートリアル後に訪れるのは「音が気になって眠れない」シーン。神経が過敏になり、冷蔵庫の稼働音や時計の秒針、外から聞こえる動物の鳴き声まで、普段なら気にならない音がやけに大きく感じられます。
例えば、チクタク音を立てる時計をクリックすると、動物が飛び出して鳴き出すギミックも。小さな音が重なり、まるで大合唱のように睡魔を追い払ってしまう――そんな眠れぬ夜にありがちなことをパズルとしてビジュアル化しているのが本作の面白さです。
さらに次の章では「なんだか気になってついスマホを手に取ってしまう」といった悩みまで。共感できる要素が巧みに盛り込まれています。
不安と後悔を象る脳内パズル

眠れなくなる原因は環境の音だけではありません。ふと「昨日はあんな失敗をしてしまったな…」と反省が頭をよぎり、そこから「そういえば学生時代にも似たことが…」と、嫌な記憶が芋づる式に引きずり出される経験ってありませんか?
めちゃくちゃに崩れていくビジュアルから分かる通り、本作の主人公も不安にとらわれ苦しんでいます。プレイヤーの使命は家具や羊をクリックして取り除き、散らかった頭の中を少しずつ整理し、心を落ち着かせることです。
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絵を一切使わずに文字だけで作られたテキストADV『文字遊戯』。様変わりした世界観が目玉と思いきや物語は思わぬ方向に進み、プレイヤーは言葉に干渉しながら世界を書き換えて真実と向き合うことになる。

脳内の混乱は徐々にアートへ

眠りに落ちる直前のような、混沌とした頭の中を表現するビジュアルも今作の大きな見どころです。
本作には散らかった思考をモノに見立て、それをひとつずつ片付けていく章があります。そこで使われるのは、紙をくしゃくしゃにするストップモーションや粘土で表現された部屋。質感の異なる演出が次々と登場し、思わずワクワクしました。
脳内のカオスな状態が、美しいイラストやユニークな素材を通してダイナミックに描かれているのです。
憂鬱な夜を、ちょっと特別な体験に

今作は決して不眠症を悲観的に描くだけの作品ではありません。眠れない夜も、ただ絶望感に押しつぶされながら朝を待つだけではなくていい、そんな新しい視点を与えてくれます。
現代人なら誰もが抱える悩みをテーマにしているからこそ、「眠れない夜」が苦痛ではなく、思考の迷宮をさまよう特別な時間へと変わっていくのです。
その先に見えるのは、あなた自身の心。眠れない夜に訪れる小さな冒険を、ぜひ体験してみてください。
〈詳細情報〉
| ゲーム名 | インソムニア:頭の中の劇場 |
| ジャンル | ポイント&クリック |
| ストア価格 | 291円 |
| リリース日 | 2022年12月16日 |
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煙草を軸に交差する、ふたつの恋の物語。
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寂しさにも、熱がある。
『Keep Only One Loneliness』

