舌ピ黒髪ギャルは大正義。ブーマーシューターなんてもんは知らん。『カルトに厳しいギャル』紹介

『ブーマーシューター』という言葉を初めて聞いた。代表作と評される『Wolfenstein(ウルフシュタイン)』や『DOOM(ドゥーム)』も未履修。むかしFPSの知識はありません。でも別に関係なくねって思っています。

この記事は、古典FPSに興味のなかった筆者が『カルトに厳しいギャル(以下、カルギャル)』について感じたことを書いています。自分が読みたいのは専門的なレビューではなく他人の日記みたいな文章なので、そういうの読みたい人に向けて書くことにしました。

まずは、遊ぶ決め手となった歌について触れます。

神調教と厚みあるSEでくすんだアングラ感が香り立つ

良すぎる…

このゲームを始めようと思ったきっかけは『おもひでループ』。Twitterで見つけたテーマ曲が良すぎて今作を知った。過言ではなく、この歌を見つけてなかったら遊んでなかった。ギャルが手で目を覆いながら歌ってるタイトル画面良すぎるよね。

これからゲームが始めるタイトル画面だというのに、曲をがっつり聞かせようとするマッチョな姿勢もめちゃくちゃ好き。圧倒的な胆力を感じるし、もちろんサントラも買わせて頂いた。

▼おもひでループのフルVer▼

曲だけではなく音作りもカッコいい。主要キャラには専用ボイスも用意されており、何気ない動作に音の厚みを感じる。一番のお気に入りはマチェーテをぶん回して首をぶち斬るときの”ずしゃん”ってSE。

マチェーテは刀身が薄く平たいため、ナイフとは戦闘描写が異なる。日本で言うところの鉈っぽい感じ。山刀とも言われており、植物を叩き切れるため戦闘特化の武器というよりも、元々あった農具が戦闘に使われるようになったニュアンスが近い。

戦闘部隊って感じでカッコいい

ズサっと相手を斬るんじゃなくて、殺傷部分を押しつぶすような蛮行感が強い。ちゃんと「カルトに厳しいギャル」がカルトの首をぶった斬っている。当たり前かもしれないですが、ゲームにきちんと落とし込んでるのがスゴイと思うんですよね。

雰囲気で気持ち良くなれる音じゃなくて、世界観を補強する目的で音作りをしている姿勢が好き。0から全部作っているか分からないけど、サウンドで遊び手の想像をくすぐってくる。やってることは荒っぽいのに、作りはホントに丁寧。

実際のシーンはこんな感じ

当たった時にばしゅんと鳴って、首が吹き飛ぶときにぽうんと鳴る。音の軽重があって一方に依り過ぎない感じが良い。また敵を倒した際のハンドサインでもシャキンと音が鳴る。ワンアクションに3種類のSEがあるんだもん、そりゃ分厚く感じるはずだ。

射撃も同様に音が気持ち良い。発射音、破裂音、リロードボイス。アングラな世界観は視覚から理解できるけど、音作りに関しては実際に触らないと伝わりづらいのが悔やまれる。音を通じて敵を破壊する暴力性がやんわり立ち上がってくる。

かといって、コアゲーマーだけに矢印が向いている訳ではない。ライト層に向けて「俺はこれが好きだから誰でも遊べるように工夫した。ほらやれ」的な優しいマッチョ感を感じる。いかにも『ばーすから(開発者様)』さんっぽい。

やりたいことをやりつつ遊び手を配慮する癖強ビジュアル

カルギャル代名詞『ダブルふぁっくサイン』

アイキャッチ画像も好きだけど、ゲーム中のサキちゃんも良い。マスクしているけど舌ピ黒髪ギャル。ありがてぇよな、至るよな。オールドスクール風の粗さと相まって、気の強いギャルのイメージにマッチする。『大獄院・スマッシャー・サキ』って名前も素敵だ。

右上にいるオペレーターことオペっちとのやり取りも微笑ましい。戦闘に忙しくて見れない時もありますが、ダウナーギャルと機械的なオペレーターのたわいない会話にほっこり。それとサキちゃん、予想よりもしっかりギャルです。

またFPSの華ともいえる銃撃戦も見どころ。ハンドガンのリロードで銃を傾けたり、マズルフラッシュで発火させたり、ベースとなる格式も押さえてある。ブーマーシューターの知識が皆無だとしても、ノスタルジックな栄養素は摂取できるんだなとしみじみ思った。

認知されにくい部分の演出も丁寧

ビジュアルでゲームを判断するのは良くないと言われるけど、遊び馴れていないジャンルに踏み出すためにも見た目はものすごく重要。今作は古典的なFPSに人を呼びこむ華があり、それでいて媚びずにアングラの雰囲気を維持しているからスゴイ。

お作法をサボらなければどうにかなるレベルデザイン

テキストが最高すぎる難易度の選択画面

難易度を下げると被ダメが減るため、クリアリング(索敵)をサボらなければ問題なく突破できるはず。ミニマップを見ながら赤い点を確認して、弾が飛んでくる場所に身体を出し過ぎなければOK。

縦方向のエイムが存在しないため、横軸を合わせるだけでヒットするのも嬉しいポイント。あんまり難しいことを考えなくても何とかなるよう設計されています。弾が当たらねぇ…とはならないのでご安心を。

とはいえ死ぬときは死ぬ

玄人には被ダメを増加させてリスクと緊張感を与え、初心者には被ダメを減らして多少のミスを許容する。双方のバランスが取れていて、慎重かつ正確に動けることが重要視されている印象でした。

また適切な武器を選んで戦うことも重要。体力の低いカルト構成員はハンドガンやマチェーテで軽く屠れるものの、後半に出現するチェーンソー男は高体力&高火力なのでアサルトライフル等で迎撃しないと処理が間に合いません。

こいつがマジでヤバイ

セオリーを学んで堅実に立ち回れば突破できるのがブーマーシューターなんだと思う。エイムが下手だと話にならないFPSも少なくないため、気軽に”おけまる”できる部分に優しさを感じる。

少なからず、入門編となる『優しいキスをして』であれば技術どうこうで詰むことはない。サボらなければ結果はでる。筋トレと同じですね。

暴力的なのに嫌悪感の薄いゴアのわんこそば

血しぶきブシャーって感じ

小細工抜きの血しぶき表現や、非人道的なクリーチャーに暴力性を見出し、美しいと感嘆の声を上げる人がいるからこそ今日に至るまでブーマーシューターが支持されているんだと思う。たぶん。

今作はどちらかというと、グロよりゴアに近い。異形で不気味な敵キャラよりも、血しぶきや暴力に比重が注がれている気がする。魅力を的確に伝えられない歯がゆさはあるものの、せめてこの領域に情熱を注いでる作り手やプレイヤーがいることだけは伝えたい。

オールドシューターから絶大な支持を集める『DUSK(ダスク)』

カルギャルは、名前も知らないけど食べてみたらおいしい異国料理みたいだった。ばーすからさんがジャンル特有の癖をマイルドにしてくれたおかげで、馴染みのない郷土感が薄れて食べやすくなっている。

残酷表現を抑えて遊びやすく大衆的な雰囲気に寄せているのに、自分のやりたいことを妥協しない。見た目こそゴアグロ領域の作品ですが、普段遊ばない人にも配慮する人柄の良さが出てるなぁ~と思う。

とにかく、粋なのよね。

「遊んでええんやで」と言われている気がするむかしFPS

暴力とは無縁のベータテスト時に掲載された立ち絵

このジャンルの経験がないからこそ書きたかった。ばーすからさんの「こういうジャンルやったことないと思うんだけど遊んでみない?」みたいな姿勢に惚れたからだ。経験者の語る濃いレビューよりも、専門的なこと良く分からないけど面白かったよ~的な記事が読みたかった、というのもある。

マチェーテぶんぶん振り回す舌ピ黒髪ギャル。オープニングで流れる重音テトの挿入歌。スクワットおばけの開発者。どれか一つでも好きならば遊んで欲しい。アングラの世界は良く分からないけど、食わず嫌いで避けるのも勿体ないかなって。

ブーマーシューターというジャンルを知らなくても面白いから大丈夫。たったそれだけを伝えるための長文を読んでくれたありがとうございました。

おわり。

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